取材

オリンパス巨額損失隠し事件の舞台、税金の無い島ケイマンへ行ってみた


カリブ海にある英国領ケイマン諸島には島内で事業を行わない会社は法人税などを払わなくて良い、という変わった法律があります。これは観光以外に特に大きな産業も無く人口も4万人程度であることから、そこから徴税を行うより非課税措置により外国企業を呼び込み雇用を生み出すほうが得策であると考えたことから生まれたシステムで、タックスヘイブン(租税回避地)と一般的に呼ばれるバハマイギリス領ヴァージン諸島などでもこれに似た法律が採用されているそうです。

タックス・ヘイヴン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/タックス・ヘイヴン


そのため、ケイマン諸島にはさまざまな会社が節税目的で集まるようになり、現在では570以上の銀行や430以上の保険会社に1400以上のファンドが同地に
設立されているとのこと。また、オリンパス事件において同社が過去の損失を隠すために行ったM&Aの報酬約6億ドル(48億円前後)を支払った会社AXAMがケイマン諸島に登記されていたことから日本でもこの島の名前が知られるようになりました。

「オリンパス・ショック」の全貌とこれまでの信用ガタ落ちのまとめ - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20111114_olympus_shock/


というわけで、きっとこの島には映画「ウォールストリート」のゴードン・ゲッコーのような敏腕投資家やカジノ王にロシアンマフィア、アラブの石油王などが札束を持ってゾロゾロと歩いているに違いないので、実際に現地に行ってどんな場所なのかを確かめてみることにしました。

アメリカ東海岸の南端、フロリダ州にあるマイアミ(地図中A)からケイマン諸島(地図中B)を目指します。

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アメリカン航空の出発待ちロビーはこんな感じ。まだここでは億万長者や石油王の姿は見当たりません。


機内の様子はこんな感じ。


マイアミから90分ほどの飛行で首都ジョージタウンがあるグランドケイマン島の上空にやってきました。


島の入り江には巨大な客船が停泊しており、中ではきっとセレブたちがパーティーを繰り広げているはずです、たぶん……きっと。


空港に着陸。


飛行機からタラップを降りて、滑走路を歩いて空港のビルに向かいます。


巨額の経済事件の舞台という割にはあまりにも爽やかな南国の景色。


パスポートチェックの列はこんな感じ。


ロビーに出ると、ツーリストインフォメーションを発見。


まずは、市内のマップをゲット。


空港を出てすぐの景色はこうなっています。辺りには敏腕投資家もセレブも1人としておらず、のんびりとした田舎の景色が広がっているのみ。


タクシーカウンターでお金を払って島の中心地であるジョージタウンに向かいます。


ものすごくテンションの高いアフリカ系のおばちゃんがドライバー。


移動距離は3~4kmで、料金は18USドル(1476円前後)。


車窓からの景色はこんな感じ。


ビルもなければコンビニもないのどかな景色が続きます。


というわけで、ジョージタウンの街中を歩いて見つけたものは以下の通り。

セレブや石油王の代わりにニワトリが道路をかっ歩しています。


トカゲも発見。


ちょっと見慣れないフォントで書かれた看板が掲げられたケンタッキー。


国際郵便サービスのフェデックス。


旅行客向けとみられる高級時計ブランドのロレックス。


音楽と食事が楽しめるハードロックカフェ。


大型バイクの有名ブランド、ハーレーダビットソンの店舗。


街中をスケートボードで走って行く少年。石油王やセレブは一体どこにいるのでしょうか……。


謎のトカゲ像。


またしてもニワトリ。


海辺の景色。


海沿いの道路。特に高級車がたくさん走っている様子はありません。


潜水艦。


ジョージタウンの中心と思われるエリアで郵便局を発見。


建物の外側、道路のすぐ脇にズラリと並ぶ私書箱。


壁に取り付けられたプレートには「KY1-1103」と書かれており、これがこの棚の住所。


さらに、無数の小さな郵便受けが棚の中に並んでいます


私書箱そのものはだいたいどこの国にもあるごく普通のサービスですが、コンビニすらないような小さな街にこれだけの規模のものがあるのは、やはりこの地に実態を持たずに住所だけを置くペーパーカンパニーが無数にあるためではないかと思われます。しかし、中身を確認することはできないので真相は謎のまま。

というわけで、実際にケイマン諸島に来てみると世界を股にかけた経済事件の舞台の割には相当にのんびりとした場所であるというのが正直な印象。街中に並ぶ私書箱などがどこか普通の所とは違う雰囲気を漂わせているものの、歩き回るだけでは怪しげな物や人を見かけることはありませんでした。


とは言え、このまま帰るわけにもいかないので、ローカルフードのレストランから銀行まで、現地のディープな場所に潜入して記事にしていく予定です。

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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