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2012年のF1はベッテルが史上最年少でチャンピオンシップ三連覇を達成

By Michael Elleray

2012年11月25日にブラジルのサンパウロにあるインテルラゴス・サーキットで2012年F1世界選手権の最終戦となるブラジルGPが行われました。今年のチャンピオンシップは7戦目まで毎回勝者が入れ替わるという戦国模様の中、フェラーリのフェルナンド・アロンソが一歩抜け出してリードしましたが、後半にレッドブルのセバスチャン・ベッテルが大きく巻き返し、最終戦段階でチャンピオンの可能性が残されていました。

レースでは結局、マクラーレンのジェンソン・バトンが今季3勝目を挙げ、アロンソは2着に入りましたが、ベッテルも6着に入り、ポイント数の差でベッテルがワールドチャンピオンに決定しました。ベッテルは2010年、2011年に続くチャンピオンシップ3連覇で、25歳での3連覇は“皇帝”ミハエル・シューマッハよりも若い、史上最年少の記録です。

Race - Button first, Alonso second, Vettel champion - The Official F1™ Website
http://www.formula1.com/news/headlines/2012/11/14126.html



◆ブラジルGPまでの流れ
今シーズンは8レース目にアロンソが2勝目を挙げるまで、開幕戦オーストラリアGPでバトンが勝利したのを皮切りにアロンソ、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、ベッテル、マルドナード(ウィリアムズ)、マーク・ウェバー(レッドブル)、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)と7人の勝者が生まれる波乱の幕開けとなりました。

そんな中で着実にポイントを稼いだのがアロンソで、折り返しとなる第10戦ドイツGP終了時点で154ポイントと、2位のウェバーに34ポイント差をつけて独走。ベッテルは第4戦バーレーンGPで勝利したものの、ポイントなしに終わるレースもあり、第13戦イタリアGP終了時点ではハミルトン、キミ・ライコネン(ロータス)にも抜かれてランキング4位にとどまっていました。


しかし、第14戦シンガポールGPから第17戦インドGPを4連勝しアロンソに13ポイント差をつけてトップに立ち、第18戦アブダビGPではアロンソが2位でベッテルが3位、第19戦アメリカGPではベッテルが2位でアロンソが3位とポイント差が変わらないまま最終戦ブラジルGPを迎えることになりました。

◆ブラジルGP結果
予選の結果、ポールポジションはルイス・ハミルトン、2番手がジェンソン・バトンとマクラーレンの2台で、その後ろにマーク・ウェバー、セバスチャン・ベッテルとレッドブルの2台が続く形。この時点でドライバーのポイント首位はベッテルの273ポイント、逆転する可能性があるのは唯一、フェラーリのフェルナンド・アロンソ(260ポイント)でしたが、ベッテルは4位以内に入れば優勝が確定というかなり優位な状態で決勝に挑むことになりました。

レースは1周目第1コーナーでそのベッテルが接触に巻き込まれて最後方からのレースを強いられるなど波乱含みの展開。途中で激しく雨が降るなど、気象条件もころころ代わり、ベッテルも一度はタイヤ選択に失敗して先行したアロンソに差をつけられた場面もありましたが、序盤のハンデをものともしないレースで6位に入賞しました。

8位スタートだったアロンソはスタートで順位を押し上げ、その後も前を走っていたハミルトンとヒュルケンベルグが接触してハミルトンがリタイアしたりしたために2位に浮上。アロンソがチャンピオンになれる条件は「自身が優勝してベッテルが5位以下」「自身が2位でベッテルが8位以下」「自身が3位でベッテルが10位以下」の3パターンでしたが、最終的に先頭を行くバトンに追いつくことができずに2位でフィニッシュ。ベッテルのワールドチャンピオン獲得が決定しました。

ベッテルのワールドチャンピオン獲得は2010年、2011年に続く3連覇。F1では2年続けてチャンピオンになるケースはそこそこ見られるのですが、3年以上連続となると一気に数が減り、1954年~1957年に4連覇したファン・マヌエル・ファンジオと2000年~2004年に5連覇したミハエル・シューマッハの事例があるのみ。ファンジオは3連覇を達成時点で45歳、シューマッハは31歳でしたが、ベッテルは25歳と記録を大幅に更新しました。

今季のポイント推移を上位6人だけ抜き出したものはこんな感じで、中盤まではアロンソが差をつけているものの、4連勝からベッテルが一気に巻き返し、最後は2人の争いに。ライコネンは第18戦アブダビGPの1勝のみですが細かくポイントを重ね、ノーポイント(11着以下)がわずか1度という堅実な走りで3位を確保。ハミルトンは4勝して大きくポイントを稼いでいますが、一方でノーポイントのレースも6度あります。ちなみに、ベッテルがノーポイントだったのは3度、アロンソは1度。


こちらは1ポイント以上獲得したドライバーのポイントをまとめたもの。横軸がドライバー(左が上位)、縦軸がレース(第1戦から昇順)。また、1位は赤背景、2位はオレンジ背景、3位は黄背景、ポイントありが桃背景となっており、白背景の部分はノーポイントに終わったところ。グロージャンはイタリアGPは出場停止となったため×としています。表彰台に上がるチャンスが多いということはポイントを稼ぐチャンスが多いと言うことなので、左側に集まるのは当然なのですが、そんな中で第5戦スペインGPを勝ったマルドナードは他の入賞4回と少なく、4位が1回あるほかはすべて6位以下だったディ・レスタよりもポイントが少ない結果になっています。


◆2013年に向けてのチームとドライバー動向
・レッドブル
チャンピオンとなったベッテルは2013年も同じくレッドブル・ルノーで戦うことがすでに決定済み。2007年から在籍するウェバーとの契約を1年延長することも7月に決定しています。

・フェラーリ
中盤までは首位を走りつつも最後にはベッテルに競り負けたアロンソは来年もフェラーリのエース。パートナーとしては2006年から在籍するマッサの残留が10月に決定済みです。

・マクラーレン
2007年に「マクラーレンの秘蔵っ子」としてデビューし2008年のワールドチャンピオンになったハミルトンと、2009年にブラウンGPでチャンピオンを獲得して移籍してきたバトンのダブルチャンピオン体制でしたが、来年はハミルトンが抜け、ザウバーからセルジオ・ペレスが移籍してきます。「オール・ブリティッシュ」とも表現されるチームで、ハミルトン&バトンという英国人ドライバーコンビもそれに合っていましたが、英国色を薄めてほしいという意向もある模様(ペレスはメキシコ人)。

・ロータス
2007年のワールドチャンピオンであるライコネン、今年は1勝にとどまりましたが、確実にポイントを稼いで3位に食い込みました。来年はライコネンのパートナー探しになるかと見る向きもありましたが、どうやらグロージャンの残留となりそう。「危険なドライバー」として知られ、今シーズンのリタイアは出場19戦中7回ありますが、そのうちマシントラブルは1回だけ。特に1周目での事故が多いことから、スタートと同時に放たれる「グロージャンミサイル」「グロージャン砲」とも表現されていますが、2013年はどうなるのか……。

・メルセデスAMG
1度引退して再び復帰していた“皇帝”シューマッハはすでに今季限りでの引退を宣言しており、7位で現役最後のレースを終えました。2013年も残留するロズベルグのパートナーにはワールドチャンピオン経験者のハミルトンがマクラーレンから移籍してきます。

・ザウバー
ペレスはマクラーレンへの移籍が決定済み、F1唯一の日本人ドライバーとして戦ってきた小林可夢偉は3年契約が切れて契約更新がなされなかったため、シートは2つとも入れ替わり。1人は、メインスポンサーであるテルメックス(メキシコの通信事業者)との関係からメキシコ人ドライバーであるエステバン・グティエレス。もう1人はフォース・インディアからニコ・ヒュルケンベルグが移籍で、ほぼ確定済み。

・フォース・インディア
2011年から在籍しているディ・レスタの残留が確実。ヒュルケンベルグがザウバーに移籍する後任としては2011年まで在籍していたエイドリアン・スーティル、現在リザーブドライバーのジュール・ビアンキのほか、小林可夢偉や現ウィリアムズのブルーノ・セナ、2009年から2011年までトロ・ロッソに在籍したハイメ・アルグエルスアリらの名前が挙がっています。

・ウィリアムズ
マルドナードは残留が濃厚ですが、セナは放出されるとみられています。代わりには現在リザーブドライバーを務めているバルデリ・ボッタスらの名前が挙がっています。

・トロ・ロッソ
10月31日に、今年と同じくダニエル・リチャルドとジャン=エリック・ベルニュの2人で戦うことを発表済み。

・ケータハム
2010年に「ロータス・レーシング」として参入、2011年には「チーム・ロータス」に名称を変更し、今年さらに「ケータハムF1チーム」へと名前を改めたケータハム。チーム発足から在籍しているヘイキ・コバライネンと、2012年から在籍のヴィタリー・ペトロフで戦ってきましたが、来年は総入れ替えで、1人はマルシャのシャルル・ピックが決定済み。もう1人はリザーブドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデが昇格すると見られています。

・マルシャ
2010年に新規参入したチームの1つ、ヴァージン・レーシングがロシアのマルシャ・モーターズに株式売却した「マルシャF1チーム」。今年はヴァージン時代から在籍するティモ・グロックと新たに加わったピックのコンビでしたが、ピックはケータハムへの移籍が決定。来年のシートがどうなるかは不明。

・HRT
ケータハム(ロータス)、マルシャ(ヴァージン)とともに2010年に新規参入したHRT(ヒスパニア・レーシング)。今年はペドロ・デ・ラ・ロサとナレイン・カーティケヤンの2人で戦い、デ・ラ・ロサは2013年も残留すると見られていましたが、そもそもチームの存続自体が危うく、買い手を探している状態。2011年7月に野村證券がHRTを買収するのではという話もありましたが、野村證券が報道を否定、続報もありません。

2013年は2012年のレギュレーションが継続され、大幅なルール見直しは2014年に行われる予定となっています。

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in メモ,   乗り物, Posted by logc_nt

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