45GHzのCPU並みの演算能力を並列処理で実現、安価にスパコンを作ることが可能なオープンソースプロジェクト「Parallella」とは?


スーパーコンピューター並のシステムすら構築できる強力なハードとソフトオープンソースで開発、誰でも99ドル(約7700円)から利用できるようにしよう、というプロジェクトが「Parallella」です。

Parallella: A Supercomputer For Everyone by Adapteva — Kickstarter


「今、私たちは1つのプロセッサーが1つのタスクを行うというシングルスレッドコンピューターを使っています。それはそれですごいことなのですが、処理頻度の限界やメモリーのボトルネックという問題に直面し、近年パフォーマンスの改善は望まれているレベルに達していません。この状況が続けば、過去30年間我々が経験してきた、毎年毎年コンピューターのパフォーマンスが向上するという状況は終わります。そして、その問題を解決するための答えがパラレルコンピューティングです」と語るのがこのプロジェクトを主導するAndreas Olofssonさん。


「私は半導体業界に15年関わり、2008年にAdaptevaという会社を興しました。私たちはハードウェアデザイナーで、低消費電力でシンプルで使いやすいチップの開発を行っています」とのこと。


彼らが作っているのは16コア、65nmプロセスルールで作成されるチップ。そして、現在は64コア、28nmプロセスルールで作るチップの試作品も完成させているそうです。


1セント硬貨よりも小さいチップ。


実際に動作させることが可能な基板は以下の通り。


箱に入ったチップ。


「Parallella」は45GHzで駆動するCPU並の演算能力を持ち、5ワットで動作、C、C++、OpenCL、Pythonなどの言語でプログラミングが可能。ハードウェアの仕様や制御ソフト、SDKなどのコードなどは全て公開される予定です。「私たちは皆オープンソースソフトウェアの恩恵を受けていますが、ハードウェアでもそれと同じ事を目指すつもりです」とOlofssonさんは語っています。


64コアのCPU「Epiphany-IV」」のパフォーマンスデモの様子は以下の通り。一般的なデスクトップPC向けCPUが4秒かかる処理を219ミリ秒で完了している様子が見られます。

Epiphany-IV Performance Benchmark - YouTube


同プロジェクトに参加しているMassimiliano Versaceさんは「例えば、ロボットが光学機器やセンサーなどから取り込んだデータをリアルタイムで分析し効果的に周囲の環境を認識、活動するためにはかなりのマシンパワーを必要とします。そこで(Parallellaのような)強力な計算能力を持つ製品があれば、今日では夢のとされているようなレベルで対象物の認識やナビゲーションなどの作業が行えるようになります」と述べています。


「Parallella」が想定している最初のユーザーはパラレルコンピューティングを学んでいるような学生ですが、そういった専門家だけでなく、99ドル(約7700円)でものすごいパワーを持つコンピューターを使いたいという人たちもターゲットであるとのこと。マルチコアではなく、マルチCPUを使って並列処理をするような爆速のマシンが自宅でも使用可能になる、ということのようです。


実際にLinuxディストリビューション「Ubuntu」を「Parallella」上でサクサク動かしている様子は以下のムービーで見られます。

Prototype board running Ubuntu - YouTube


「コストが高く、中身はブラックボックスというようなコンピューターではごく少数の人にしか利用できません。そこで、私たちは99ドル(約7700円)でキットとツールを提供します」と語るOlofssonさん。


ムービーの最後には「コンピューターの未来はパラレルにあり。あなたの協力があれば、Parallellaプロジェクトはパラレルコンピューティーグを誰もがアクセス可能なものにできます」というメッセージが表示されます。


なお、このプロジェクトは日本時間の2012年10月28日(日)午前7時までKickstarter上で出資を募っており、15ドル(約1300円)以上を支払えば「parallella.org」というこのプロジェクトのポータルサイトに協力者として名前が掲載され、進捗状況などのアップデートが送られてくるとのこと。また、99ドル(約7700円)(約8613円)以上ではParallellaのボードとコントロール用のソフトのセットを受け取ることができ、5000ドルを払った場合は他のユーザーより3ヵ月早くParallellaのプラットフォームを利用することが可能になり、SDKや後に開発される最新モデルなどを利用する権利が発生するそうです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log