サイエンス

印刷限界の10万dpiを実現する金属ナノ構造体を用いた技術が登場

By Queralt jqmj

印刷可能な解像度は可視光線の回折限界によって決まっていて、その値は10万dpiほど。しかし、多数の染料を調合するような方法ではとてもこの限界に到達することはできず、インクジェットプリンタやレーザープリンタの限界は1万dpiほどです。そもそも、人間の目では20×30μm(マイクロメートル)よりも小さいものは識別不可能で、光学顕微鏡であればその解像限界は0.2μm程度とされています。しかし、Karthik Kumarさんの共同研究により、染料によらない、光回折限界の解像度並の印刷技術が開発されました。この論文は「Nature Nanotechnology」に掲載されます。

Printing colour at the optical diffraction limit : Nature Nanotechnology : Nature Publishing Group

Colour printing reaches its ultimate resolution : Nature News & Comment

コレがその仕組み。4つのナノディスクを備えたピクセルが2つ、近接して配置されています。ここに白色光を当てると、ナノディスクの直径(D)とその間隔(g)によって、色によって光の波長が異なることから、それぞれに異なる色が反射する、というもの。顔料や染料を吹き付けて印刷するのではなく、金属ナノ構造体の表面に微細なナノ単位の出っ張り(ナノディスク)があって、表面プラズモン共鳴によって色が決まるというわけです。


このナノ構造体の作り方は、まずシリコン基板をHSQ(水素シルセスキオキサン)で95nmの厚さでコート。


続いて、ナノポスト・ナノディスクとして不要な部分を取り去り……


ナノディスクとバックリフレクターとして金属(金や銀)を蒸着させてコート。


上述のDとgの数値によって色は決まりますが、金属蒸着コートをさせない状態だとこのようにグレイスケールになります。


金属を蒸着させると色が表現可能になります。


実際に画像サンプル「レナ」を印刷したものがコレ、金属蒸着コート前のグレースケールのもの。


そして金属蒸着コート後は、色こそオリジナルとはちょっと違うものの、たしかにレナです。上記とこの画像の右下に表示されている白いスケールバーの長さは10μm。


こちらは目尻部分を拡大したもの、スケールバーの長さは1μm。


研究チームではこの印刷方法の特許を申請中だとのこと。極小サイズでも明瞭な印刷が可能になり、また、書き換えが不可能なため、たとえばアーカイブ情報の蓄積や、DVDのような光学メディアに今まで以上に密にデータを書き込むことなどが期待されています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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