Facebookが元iPhone開発者を雇い入れて独自のスマートフォン開発を推進か

By emilsjoblom

GoogleがMotorola Mobilityの買収を完了し自らスマートフォンを作り出せるようになりましたが、ネットサービス界の別の巨人であるFacebookも独自スマートフォンの開発を推進しています。Facebookによるスマートフォン生産計画はこれが3つめで、また、Facebookブラウザを作るのではないかという話も出ています。

Facebook Might Have a Smartphone in Its Future - NYTimes.com

Facebookの新事業プランによって採用された技術者たちによると、Facebookは来年までに独自でスマートフォンを出す予定だそうです。匿名希望という技術者によると、FacebookはすでにAppleでiPhoneやiPadの開発に携わっていたハードウェア技術者、ソフトウェア技術者を6名以上雇い入れていて、Facebookにとって3度目となるスマートフォンへの挑戦を始めるとのこと。

最初の挑戦は2010年。TechCrunchが「Facebookが秘かに電話機を作っている」と報じたもので、このときはAndroidをカスタマイズして参入の予定だったようですが、結局、この計画は頓挫しました。

2回目の挑戦は2011年、「Facebookが「Buffy」というAndroidスマートフォンを作ろうとしている」とAllThingsDが報じたもの。これはHTCと共同でスマートフォンを作る計画で、現在はさらにプロジェクトを拡張しているとのこと。

By Photo Giddy

今回、3度目の挑戦はこのBuffyと並行して、すでにスマートフォンを作ったことがある技術者を集めて新たなスマートフォンを作ろうとしているというもの。なお、BuffyのようにOSがカスタムしたAndroidなのかどうかは不明です。

かつてAppleでiPhone設計に携わったという技術者はマーク・ザッカーバーグと会ったとき、スマートフォン内部のことについて質問を浴びせられたそうです。「ザッカーバーグ氏は、どういったチップを使っているのかというような込み入った詳細について聞いてきた」と、技術者はザッカーバーグが遊びの知的好奇心から話をしていたわけではないと語っています。また、別の元Appleのハードウェア技術者も、Facebookはハードウェアについて調査をしていると語りました。

スマートフォンを作る計画があるのかという質問にFacebookは無回答でした。しかし、昨年の段階でAllThingsDに対して「我々はモバイル産業全体を横断して動いている。オペレーターとして、ハードウェアメーカーとして、OSプロバイダとして、アプリケーション開発者として。」と語っています。かつて、PCや家電メーカーがいくつも携帯電話にはチャレンジしましたが、ヒューレット・パッカードもデルも敗北。記事を執筆したNick Bilton氏は、ソニーすらろくな携帯電話を作ってこなかったと切り捨てています。

しかし今、Facebookがモバイル分野へ進出しようとしている動機は明らか。新しい財源を見つける必要があり、また、有望な成長株であるモバイル分野で置いて行かれるわけにはいかないという恐怖もあるからです。技術者は「マークは近い将来、携帯電話を作ることができなければ、Facebookがモバイルプラットフォーム上のアプリと化してしまうことを懸念している」と語りました。TwitterがiPhoneに完全に統合されて誰でも自由にメッセージや写真を送れるようになっている一方、FacebookはAppleと諍いがあったため、iOSに統合されていません。

もしFacebookが自前のチームでのスマートフォン製作に失敗した場合は、すでにあるスマートフォンメーカーを買収することになるかもしれません。たとえば、Blackberryで知られるリサーチ・イン・モーション(RIM)は評価額が60億ドル未満(約4800億円)。Googleがモトローラを買収したことで混乱中のHTCは118億ドル(約9400億円)。一方、先日のIPO(新規株式公開)によってFacebookは160億ドル(約1兆2700億円)を調達済みです。

ちなみに、この160億ドルを根拠として、FacebookにはOperaを買収してFacebookブラウザ化するという話も出ています。

Is Facebook about to buy Opera to create own Facebook browser? - Pocket-lint

Operaはモバイル向けにここ2年で高い伸びを見せている優秀なブラウザで、その開発元であるOpera SoftwareをFacebookが買収すれば、1からブラウザを作らなくてもよいことになります。Facebookがモバイルでの浸透を狙っていくのであれば、ブラウザ買収にはなんら不思議はありません。ちなみに、Operaにはすでにプラットフォームを横断して2億人のユーザーがおり、これを取り込むこともできます。