取材

角川書店社長もマチ★アソビを絶賛、徳島の夜が熱く燃えた「業界関係者トークイベント」レポート


アニメ業界やゲーム業界の関係者が一同に会して業界内の濃い話など、ここでしか聞けないぶっちゃけトークが飛び交う「業界関係者トークイベント」が、「マチ★アソビ vol.8」で開催されました。今回は2部に分けて、前半と後半で出演者を入れ替えてのイベントとなりましたが、どろりと濃厚なトークが4時間以上にわたって繰り広げられました。

今回の会場は3月にオープンした「ufotable CINEMA」の2階ギャラリー部分でした。


アニプレックス 高橋祐馬(以下、ゆま):
アニプレックスで宣伝を担当している高橋祐馬と申します。よろしくお願い致します。


(大歓声)

ユーフォーテーブル 近藤光(以下、近藤):
すごいことになってきたね……なんかローカルタレント的な。吉本では47都道府県に芸人さんを1組ずつ「地元に住みます芸人」として置いているんだって。そんな感じ?

ゆま:
そうですね、出身は神奈川県なんですけれど、第2の故郷として徳島にはまたお世話になれればと思いますので、よろしくお願いします。というところで、近藤さん。

近藤:
ユーフォーテーブルの近藤です。今日は徳島初、マチ★アソビ初の方も何人か来ていて、みんながビックリする方も混じっています。そして今、Twitterを見たらグッスマの安藝さんがやって来るとのメッセージも来ています。3時間の長丁場、よろしくお願いします。

(会場拍手)

ゆま:
今までは3時間ぶっ通しでやって来ましたが、皆さんが座っていてお尻が痛くなるのもあるし、こちらのバランスもありますので、今回は2部制にチャレンジしてみます。第1部は20時20分までの約80分一本勝負、そのあと皆さんがお手洗いへ行ったり飲み物を買ったりする20分の休憩をはさんで、20時40分から22時までが第2部となります。どっちの時間がどうだ、ということはないですが、楽しくやれたらと思います。

近藤:
今日は配信はしないと決まりました。

ゆま:
はい。

(会場大拍手)

近藤:
配信をやらないって言っただけだよ?拍手の意味が僕らはわからない(笑)

(会場笑)

ゆま:
では、皆様と約束をさせていただけたら始められるかなと思います。はい、皆様には人を殺す力があります

近藤:
お決まりの言葉です。

ゆま:
これは、これ以上もこれ以下も無い言葉でございます。皆様には人を殺す力があります。その力の源はインターネットです。

近藤:
せっかくなんでもう一つ言っておこうよ。

ゆま:
はい、そして皆さん、いろんなところでいろいろ書かれると楽しいじゃないですか。「あいつはああだ、こうだ」みたいな。違いますよ、皆さんのやることは「褒めて伸ばす」です。

近藤:
この2点を守ってください、そうしたら僕たちの口もちょっと柔らかくなるので。

ゆま:
この後ゲストの皆様をお呼びしていろいろお話していければと思います。我々も、今日この場限りの場ですので、一生懸命皆さんと楽しむべくいろいろ頑張ります。今日ここで見聞きしたことはTwitterに書かない、ブログに書かない、掲示板に書かない、これ大事です。

近藤:
褒めてくれるならいいよ。

ゆま:
あぁ、それいいですね。

近藤:
マチ★アソビのタグを入れて全部褒め言葉っていうのは、ちょっとおもしろくない?

ゆま:
今回約束を守っていただければ、第9回もまたあると思います。一緒に楽しいイベント作ってくださる方、拍手を頂いてもよろしいですか?

(満場の拍手)

ゆま:
ではでは、固い契りがかわされたところで、先ほど第1部への出演依頼ということでお声をかけさせていただいた皆様にお越しいただければと思います。まずはニトロプラスの代表、小坂さん。弊社アニプレックスのプロデューサー、岩上さん。バンダイナムコゲームス、「アイドルマスター」総合ディレクターの石原さん。「ゴッドイーター」、「魔法少女まどかマギカ ポータブル」を作られております、バンダイナムコゲームス富澤さん。あと飛び入りでいらっしゃる方など……ここからだと見えないので、直接ちょっと見てきます。

近藤:
じゃあ紹介もしつつやっていきましょうか。でじたろうさん、お願いします。

ニトロプラス でじたろう(以下、でじたろう):
ニトロプラス代表取締役でじたろうこと小坂崇氣です。よろしくお願いします。今回が4回目かな?3回目かな?

近藤:
今年のマチ★アソビはどうですか。

でじたろう:
今年もいいですね。すばらしいです、年々クオリティがあがっていて。しかも今回のトークはufotable CINEMAでということで。

近藤:
次はアニプレックスですね、どうぞ岩上さん。

アニプレックス 岩上敦宏(以下、岩上):
アニプレックスの岩上です。近藤さんと一緒に「Fate/Zero」のプロデューサーをやっております。今回徳島に来るのは多分8回目です。人生でこんなにも徳島へ来るとは思ってもみなかったですが、来ると落ち着くようになってきました。よろしくお願いいたします。

近藤:
彼はマチ★アソビ皆勤賞の一人なんですよ。vol.1から見捨てず、付き合っていただいております。

ゆま:
あとお三方お呼びしたいと思います。まずはコミックス・ウェーブ・フィルムの川口さん。

(川口さんの名前を呼ぶ人が多数)

近藤:
すごい人気。僕の横が指定席で、もうワイン用意してあるから。アイドルみたいですね。


ゆま:
次は角川書店で「ストライクウィッチーズ」等々の宣伝をなさっている宣伝部の西山さん、どうぞ。

近藤:
ここで西やんを選ぶとは、勇気あるなぁ。

ゆま:
今回2部制ですので、1回あたり10人弱くらいでいこうと思います。最後は、お仕事の関係で冒頭の挨拶だけ頂く、角川書店の井上社長です。では改めて一言ずつ頂けたらと思います。バンダイナムコゲームスの石原さん、お願いします。

バンダイナムコゲームス 石原章弘(以下、石原):
普段緊張はしないんですけども、あまりにも場違いな感じにどうにもならないくらい緊張しています。バンダイナムコゲームスという会社でアイドルマスターを企画からやっています。本日は後ろの方に隠れていこうと思っております、よろしくお願いします。

バンダイナムコゲームス 富澤祐介(以下、富澤):
同じくバンダイナムコゲームズから参りました富澤です。マチ★アソビはvol.2だけ欠席してしまって皆勤賞にならずすごく悔しかったので、ufotable CINEMAのオープンに無理矢理来て回数を稼いで皆勤賞と同じ8回に揃えました。よろしくお願いいたします。


ゆま:
川口さんお願いします。

コミックス・ウェーブ・フィルム 川口典孝(以下、川口):
コミックス・ウェーブ・フィルムの川口です。大人としてちゃんとしようと思ってます。よろしくお願いします。

ゆま:
では、続きまして西山さん。

角川書店 西山洋介(以下、西山):
お約束の挨拶をさせてください。今回もオレは観光客で来ていて、トークに出たいということは言っていないんですが、ここにあげさせていただいております、角川書店でアニメの宣伝を担当している西山です、よろしくお願いします。

ゆま:
そして、その角川書店の代表を務めるこの方から一言頂戴できればと思います。

角川書店 井上伸一郎(以下、井上):
角川書店の井上でございます。今回はじめて徳島にきました。マチ★アソビのことは記事とかいろんなところで読んでおります。あと西山が、毎回観光客としてなんか流しのギター弾きみたいに来ているみたいで(笑)今回はぜひ見学させてもらおうと思い、来させていただきました。ほんとにいい感じのイベントですね。お昼に、南さんと近藤さんと山本さんのトークを聞いていたんですけども、ああいうトークもあり、川辺でいい感じのイベントです。東京だと時間がきちきち決まったりしていますが、こういうとこだと自由ですね。

近藤:
僕らがきちきちできないってのもあるんですけども(笑)

井上:
号外新聞が出たりして、こういうのはすごく好きです。その場その場の雰囲気がとってもいい。

近藤:
ありがとうございます。

ゆま:
それでは乾杯をしたいと思います。この後、もしかしたら飛び入り参加があるかも知れませんが、まずはこのメンバーで楽しい時間をご一緒できればと思います。ご唱和ください、乾杯!


(乾杯!)

近藤:
あら、話が始まっていないのに飛び入りが来たよ。

ゆま:
サイバーコネクトツーの代表、松山さんです。

サイバーコネクトツー 松山洋(以下、松山):
すいません、完全にタイミング悪い入り方をしてしまいました。いつもお世話になっております、サイバーコネクトツーというゲーム会社で「NARUTO -ナルト」のゲームや「.hack(ドットハック)」など、いろいろなタイトルを17年ほど作っています。マチ★アソビには定期的に参加させていただいております。今日はよろしくお願いいたします。


ゆま:
マチ★アソビも2日目がほぼ終了しましたね。

近藤:
何がツイてるって天気です。一週間前の天気予報だと5月3日が雨、5月4日が曇りのち雨、5月5日が晴れだったんですよ。それがフタを開けてみるとしょっぱなから晴れで、東京は雨。そりゃ、ツキを持っている人がいっぱい来ているもんね。

ゆま:
では、まずは二日間の感想からうかがいたいと思います。この2日目まで、本当に大きく盛り上がっている印象を受けますが、近藤さんから見ていかがですか。

近藤:
今までも本当に人が多かったけれども、特に春はみんな知ってる通り、川沿いがメインなのでエリアが秋より狭くなっていて、すごく人がいっぱいの印象がある。「Kalafina」さんのライブのとき、ライブ会場の新町橋東公園、それから新町橋、対岸の川沿いとコの字型が全部埋まってしまってびっくりしました。そして、先ほど、近くにある焼き鳥屋さんから、プレシャスメモリーズの袋を持った20名の団体様が入ってきたらしく「ありがとうございます」って連絡がきました。貢献できたなぁ……。

ゆま:
すごいことですよ。そこで恐らくカードバトルが繰り広げられる(笑) ご列席の皆様はいかがでしょうか。2日目までの印象、感想などあれば……皆さん、そんなに牽制し合わないでください。では、岩上さん。

岩上:
今回はFate/Zeroのオンエア中っていう絶好のタイミングでした。Kalafinaと春菜るなさんのライブがあり、大塚明夫さんの講演会もあったし、明日は小山力也さんと川澄綾子さんと大塚さんのトークイベントありと、我々的にはFate/Zeroのイベント盛りだくさんで、それを見に来ました。初日のライブの盛り上がりも非常に気持ちよかったです。

ゆま:
オンエア中にこういうイベントがあるのはありがたいですね。

近藤:
僕と岩上さんは関係者のところでKalafinaのコンサート見てたんですけど、そのとき、めったにコンサートのとき歌わない「空の境界 第二章 殺人考察(前)」の歌を歌っていたんです。第二章の野中監督は徳島にいるんですが、ちょうど目の前に普通に座っていて、びっくりしたよね。

ゆま:
そう、目の前に普通に座られてました。

岩上:
びっくりしたと思うんですけどね、本人も。

近藤:
いきなりかかったんでね、ちょっといいなと思いました。

ゆま:
では、バンダイナムコゲームズのお二人。マチ★アソビ全体、イベントも含めてどうですか?

石原:
僕はマチ★アソビには去年の秋からやってきました。そのときは山でのイベントで、風が気持ち良かったです。今回は、ちょっと吹きすぎですけど(笑)


近藤:
今日の風はちょっと吹きすぎですね。パラソルが吹き飛んだのを初めて見ました。もうちょっと風は弱めでいい(笑)

石原:
熱気というか、温度感がすごくいいかんじ。イベントでも1時間、2時間としゃべっていられそうで、これはロケーションがいいからだなと思います。こういうところでやるのは楽しいです。

ゆま:
アメリカのフェスみたいにみんなが節度を守りながらも楽しくやる、決してギスギスしてない感じですよね。では、富澤さん。

富澤:
僕は石原さんと違ってもう8回目ということで、ほぼ全部出させてもらったんですけど、やっぱり今回は空気が違うなっていうのをすごく感じました。気候が良かったのもあって、バカンス気分でぷらぷらとビデオを回していました。

近藤:
超短パンだったよね。

富澤:
ほんとに気持ちがよくて。毎年そうなんですけど、ほんとに楽しめる3日間になるんじゃないかと。去年の1月のマチ★アソビからスタートした「まどか☆マギカ ポータブル」の企画が無事に3月に発売になりました。僕とニトロプラスのどいさんとで、1年ちょっとを駆け抜けましたけども、それが無事発売になり、今回のマチ★アソビではアートワーク展もやらせてもらっています。個人的には徳島での出会いや皆様の応援もあって、短期間でゲームも発売できたという、その思いを感謝として表したいなと思って、展示もさせてもらっています。

ゆま:
結果が生まれるみたいなところがあって、面白いですよね。

近藤:
結果といえば、小説はどうなったの?

ゆま:
僕にもトークのプランがあるんです(笑)、それはあとで!では、井上さんお願いします。

井上:
アニメのイベント展は本当にいいですね。今、私は角川書店の社長とか角川グループホールディングスの常務とかをやっていて、映画とは少し遠くなっちゃったような気がするんですけども、古くからのファンの人は知ってるかと思いますが、いまだに私はアニメ野郎なんです。よく見てもらうと、今着ているこれはネルフのウインドブレーカー、これはエヴァストアで買いました。中を開けると「Another」です。


近藤:
社長、ガチンコですね。

井上:
普段からこうです(笑)。徳島に来る前は博多にいて、博多でもずっとこれで通しました。Fate/Zeroってほんとうにすごいアニメで、シネマ新宿でアニメイベントをやっていただいたんですけども、本当に出来が良いなと思っています。私は、自分の家で「自宅居酒屋」をやっていて、これはお金は取らずに無理矢理私の料理を食べさせる会なんですが(笑)、いろんな人を呼んで過去の映像や特撮の映像とかを見てもらったりしています。今の若い人は昔の映像を見る機会が無いので、私の料理と酒を飲ませて、その代わりに「これを見てくれ」ということで時々やっています。実写の人って意外と今のアニメのことを知らないので、この間も実写の某監督と某プロデューサーを呼んで「最先端はFate/Zeroだ」と見せたら「今のアニメってこうなってんのか」と実写の人は驚くんです。すごくうれしかった。

近藤:
角川シネマのパブリックビューイング上映会に僕はもちろん行っていたのですが、井上さんもいらっしゃってて、どうしてこんな偉い人が来ているんだろうと。最後に感想まで頂けてほんとありがたかった。

井上:
ほんとうに好きだからです。見ていないと自分が衰える。好きだから見ているんです。この場も、ほんとに仕事ではあるけど好きで来ています。良い場所に来させていただきました。それでは、西山を代わりに置いていきます(笑)

でじたろう:
一言いいですか。僕は27年前に井上さんの下でニュータイプの編集を手伝っていたんですよ。

井上:
はい、ちょうどニュータイプの創刊の時期ですね。

でじたろう:
そのとき僕は絵描きだったんです。それで、自分の作品がニュータイプの表紙を飾るというのが夢だったんですよ。その長年の夢がFate/Zeroでかなっちゃったんです。

(会場拍手)

でじたろう:
井上さんとこういう公衆の面前で並ぶの初めてなんです。ほんとに感無量です。こういう機会を作っていただいた近藤さんには感謝が絶えません。

近藤:
すごい話ですね、ほんとうに。

でじたろう:
震えるくらいうれしいです。

ゆま:
無茶ぶりですが、井上さんと小坂さん握手していただいていいですか。このステキな出会いにお疲れ様です。

(会場拍手)

ゆま:
井上さん、ありがとうございました。では、もう少し感想をうかがいたいと思います。松山さんお願いします。マチ★アソビには、複数回ご参加されているかと思いますが、いかがですか。

松山:
私はゲーム会社をやっているんですけども、映画もやっています。今日もufotable CINEMAで映画「ドットハック セカイの向こうに」を上映していただいています。全国では1月から公開していたんですけども、シネマがオープンしますということで、「うちが映画やってるから3月以降でもいいので、かけてもらうことはできますか」とお願いから実現したんですよね。元々2週間の予定だったんですけども結果的に3週間やっていて、ほんとうにありがとうございます。

近藤:
この映画館では3Dもかけられますし、パブリックビューイングもできます。中身は本当にハイスペックでやっております。

松山:
すごいですよ。定期的にまた今後も来させていただきます。今日印象的だったのはお客様で、ものすごく話かけてくれるんですよ。

近藤:
松山さんだからって話じゃないですか?(笑)

松山:
いや、東京とかだったら、ちょっと遠目から見てたり、遠くからパシャって撮られたりとかです。こちらでは、けっこう近い距離感でぐいぐい来て、一緒に写真撮りましょうとか言ってくれるんです。「けっこうぐいぐい来るね」って話をすると、「東京だと無理だけど徳島だといける気がする」って(笑)

近藤:
テイルズオブシリーズのプロデューサーをしているバンダイナムコゲームスの馬場さんも全国をまわっていたとき、みんな遠目からなんだって言っていました。一番きつかったのは「馬場さんトイレなう」って書かれたことだって(笑)

(会場笑)

ゆま:
僕もFate/ZeroのEDを歌っている春菜るなさんとFate/Zeroショップにいたら「ゆまとるな嬢がデート」ってTwitterで書かれた。ないですからね(笑)

近藤:
そういうことあるよね。

ゆま:
では、川口さん。何度か徳島いらっしゃってますが、今回のマチ★アソビはいかがでしょうか。

川口:
僕は3度目です、徳島。今回は2日間ツーリングに行っていて、イベントはほとんど見てないんです……すいません。

ゆま:
到着なう、みたいな(笑)

川口:
今回は西山さんと一緒でプライベートで来ているのですが、徳島県はすごくきれいでした。125ccのバイクを借りて、3人でザーッと百何十キロか走ってきました。こちらにいる皆さんはしっかりしゃべられるし、井上社長さんは立派な方です。今日は僕も皆さんと一緒でお休み気分というか、やらないといけないミッションが無いので参加者気分です。すいません。あと、僕が入ってきたときに「ワイン!ワイン!」って言った方がいらっしゃいますが、あとでいただきます(笑) 今日は酔っ払いキャラはやめたいと思って来たんですが……。

松山:
あの、既にもうそうなってますけどね(笑)

川口:
もう43歳なので、ちゃんとします。すいません、締まりませんで。

ゆま:
よろしくお願いいたします。では、小坂さん。劇場にも感動されてましたけど。

でじたろう:
近藤さんにすごく細かく説明いただいて、感動しきりでしたね。こだわりがつまっているんですよね。皆さんご存じなんですかね、この設備のこと。すごいこだわってるんですよ。デザインとか手配とか全部やられてるんですよね、ほんとうにすごいです。

ゆま:
8回目をむかえるこのマチ★アソビ、ニトロプラスさんは「橋の下美術館」で関係作品4作品を含めて非常に深い関わりですが、いかがでしょうか。

でじたろう:
毎度毎度新しい挑戦をさせていただいています。2回前には「ニトロプラス10年の軌跡」という講演会をさせていただいたんですけども、それがとても印象的で思った以上に反響いただきました。確かGIGAZINEさんの記事になっていたんですけども、業界のさまざまな方から「あれ読んだよ、こういうことだったんだね、ニトロプラスは」っていうことで、意外にまじめに考えているんだなとか苦労してるんだなというところをご理解いただけたりなど、かなりうちにとって助かりました。ブランディングの修正ができました(笑) 今回はニトロプラスミュージアムというショップをTOYPLAさんとコラボでやっていて、徳島に特別なお店を出しています。ぜひ皆さんにご覧いただきたいと思います。そんな感じでニトロプラスはマチ★アソビにグイグイ食い込んで、次回はもっとすごい感じでやれたらいいなって。まだ何も決まっていないんですけども(笑)、そういう野望はありますね。


ゆま:
ぜひこれからのニトロプラスさんのご活躍にもご期待ください。せっかくなので、会場の皆様からいただいた質問にも答えていきます。アニメ業界の方に対する質問で、「ぶっちゃけアニメの作品本数が多すぎるんですが、こんなに必要ですか」という質問です。

岩上:
これは需要と供給なので、逆に聞きたいところですね(笑)

ゆま:
ちなみに、一週間で5本以上継続的にアニメを見ているって人どれぐらいいますか。挙手をお願いします。……では、10本以上の方は?やはり、結構多いですね。三分の一以上は5本以上見ているようです。アニメ業界の皆さん、本数は減るって話ありましたけど、ちょっと増えましたでしょうか?

岩上:
通年単位で見るとちょっと増えたり減ったりしています。適正がどのくらいかっていうのはちょっとわからないですが、多くあるってことはそれによって発掘される才能もあるし、作れるということは幸せなことでもあるんですよね。だから多すぎると言われたらそうかも知れないけれど、我々としては幸せな状況であるかなと思ってます。

ゆま:
実際、見る見ないは皆様それぞれの判断でいいかと思います。作り手としては、オンエアの本数は気になるものでしょうか?

近藤:
今、テレビのシリーズはどの会社さんもほんとに頑張っていて、今日の昼間、南さんやヤマカンと一緒に話をしたんだけれど、みんなクオリティがすごく高いです。ほんとにみんなよく頑張っていると感心しています。

ゆま:
ゲームチームの皆さんから見て、アニメ業界はどう映っているのでしょうか。同じ質問をゲーム業界の皆さんにも伺えたらと思います。

でじたろう:
PCの美少女ゲームって月に多分40本以上出てるって思うんですよ、ですから年間だと400本~500本が出ています。さらに、コンシューマーゲームはもっと多いんですよね。

近藤:
それ、アニメと違って400タイトルってことですよね。

でじたろう:
はい。

近藤:
すごいな。

でじたろう:
そう考えたら、そんなに多くないんじゃないかと思いますけれども(笑)

松山:
コンシューマーゲームは、今「新作ゲームソフト」って言われている家庭用ゲームは1年間に1200タイトル出ています、ベスト版とかも含んでですが。毎週木曜日がゲームソフトの発売日なので、毎週どれだけ出すんだと。そして、12月など年末のほうが1日で発売するタイトル数が増えてきます。どうですか皆さん、ゲームソフトを年間何百本買っていますか?

(会場笑)

松山:
まぁ、買わないですよね。東京ゲームショウでのアンケートなどで出てくるデータで分かっているんですが、普通の家の子で、年間だいたい2本から3本なんです。ゲームショウにいらっしゃるような熱心なファンの方で、だいたい年間7本から8本なんですよ。中にはもちろん15本、30本と買っている方もいますが、平均すると7、8本なんです。

近藤:
でも、7、8本てすごいですよ。だって、映画は年間観る本数は2本と言われてるじゃないですか。

松山:
2本!?

近藤:
それを考えると、7000円、8000円するゲームが年間7本、8本売れているというのは驚異的なことだと思いますよ。

富澤:
テレビアニメはお客さん視点だと無料で見られます。知ってもらえるっていうところは、我々からするとすごくうらやましいところなんですね。ゲームはやっぱりプレイしてもらわないと良さもわからないし、キャラクターもわからないですから。

松山:
ゲーム機を持っていないとソフトも楽しめないし。

近藤:
いま、アニメの本数はゲームに比べて少ないというのをエクセルで計算してみました。岩上さん、今、アニメの新作って年間200タイトルぐらいでしたか?

岩上:
もうちょっと少ないかも知れないけれど、その規模でしょうね。

近藤:
200本あるとします、これを1クール13話としましょう。それで、1話あたり動画枚数を5000枚使いました。皆さん計算してみて。5000×200×13、年間1300万枚。僕らは動画を1年間に1300万枚描いているんだって。すごいよね、めくれないよ、1300万枚。つまり、どこも楽な業界はないってことだね。

ゆま:
では、次の質問です。「最近、売り上げが成功の是非みたいな空気になっていますが」……

近藤:
なってないよ、僕は。

ゆま:
この方の感じとしてですね、「アニメでいうとBD、ゲームでいうとソフトの売り上げが少なくともすごくいい作品が多いと思います。売るしかないとすれば、なにか付加価値を今以上に乗せていくしかないと思いますが、商業的な部分、ソフトと作品などの部分で業界として何か考えていることなどありますか?」という質問です。

近藤:
岩上さんが「化物語」のパッケージに満足されていたのは記憶に残っているね。「これはほんとにいいものができた」って形で彼は言っていて。作品だけじゃなく、パッケージ力としてね。

岩上:
さっき富澤さんも言っていましたけれども、テレビアニメはタダで見てますからね。その上でパッケージとして買っていただくというのは、Appleじゃないですけど開けたときのおもてなし感を含めて、おもしろいパッケージになってないといけないという気持ちでは作りましたね。僕らも会社でやっていますから、売り上げは確かに大事ですけれど、でもそれだけじゃないですよ、確実に。


近藤:
売り上げだけを考えたら「アニメ文庫」とかできないよね。アニメ文庫、ぜひ見てください。いきなり「買って」とは言わないですが、これは続けたいなと思っているので。南さんも言っていたけれど、続けるためにはみんなの力が必要なんです、本当に。この会場には150人くらい来ているのかな……ここにいる人が仮に「みのりスクランブル!」を全部買ってくれたとするじゃないですか。そうしたら、アニプレックスの営業は「何が起こったんだ!?」と、徳島で何が起こっているのか、絶対に調べますよ。

岩上:
そうですね、大事件になります。

近藤:
そういうことなんです。

ゆま:
次は「作ったものの感想を目にすることがあると思いますが、ユーザーの意見や感想は参考にしますか」という質問です。作り手としてどう感じているのかをうかがえればと思います。では、石原さんお願いします。

石原:
そうですね、基本的に全部見ています。Twitterとかもちゃんと追います。もちろん叩く人もいますが、叩く人には叩くなりの楽しみがあって、アイドルマスターで楽しんでるんだから構わないんじゃないかと。それで1年、2年頑張って叩き続けても、その人の人生の生き甲斐になっているんだったら、生き甲斐を提供できているので、構わない。


近藤:
それは僕も思いますよ。いま、Fate/Zeroは17話まで来ています。17話を見て「僕が思ったFate/Zeroはこうじゃない」と叩くのは。ただ、叩いてる人の中には1話から叩き続けている人もいるじゃないですか、好きじゃないのに17話まで見続けているというのはすごいと思います。僕は「伝説巨神イデオン」という作品が大好きなんです。大好きなんだけれど、テレビシーズンのイデオンを見て発動編まで行くのはすごく大変です。

ゆま:
関係者から拍手が。

近藤:
発動編を見終わったときに「頑張ってよかった」と思うんですが、そうじゃないのに、よくぞここまでというね。

ゆま:
エンターテイメントは料理と同じで、好き嫌いがあって当然ですよね。僕だって好き嫌いはありますし、皆さんもあると思います。

石原:
人によって楽しみ方っていろいろだと思います。全員じゃないですけど、女の人って悪口をいうのが好きだって言うじゃないですか、それはそれでそういう楽しみ方もあるし、逆に人を褒めて盛り上がってという楽しみ方もあると思います。でも、僕はどっちも楽しんでいるのに変わりはないと思っているので、あんまり気にしたこともなく、気にしてたらとっくにもう精神を病んでると思うので、全然気にならないタイプです。

ゆま:
石原さんは、やっぱり強いですよね。

石原:
んー、多分気にしてないんですよ、いろんなことを。

近藤:
ほんとにアイドルマスターは息が長いですよね。

石原:
そうですね、もともとアーケードから始めていますから。

近藤:
アイドルマスターを仮に10年続けたとするじゃないですか。そうしたら、今井さんとか皆さん、ステージに行っちゃうんですかね。

石原:
サクラ大戦というすばらしいものが……。

近藤:
それがあった!今井さんが60歳になってステージで跳ねてたら、僕は拍手喝采しますよ。

石原:
ファンも一緒に年齢があがっていくんで、相対的には変わらないんじゃないかな。

近藤:
60歳の今井さんと60歳のファンがアイドルマスターを歌って跳ねる、これは結構かっこいいよね。

ゆま:
そのときに僕は60ちょいですけど、司会しますよ(笑)

近藤:
けっこう今日、いい会。

ゆま:
松山さん、マイク持たれましたけれどもリアクションどうですかね。

松山:
我々、やっぱりお客様の無関心が一番怖いんですよ。話題にもならないし、叩かれることすらないのが一番怖いんですね。最近はよくピラミッドで例えていて、「サイバーコネクトツーのタイトルだったら何でも買います」って言ってくれている熱狂的なファンの方、「タイトル次第やなぁ」「ナルトだったら買うわ」という人、「.hackシリーズなら考えてみてもいいかな」という人……と、下に向かってだんだん緩くなっていくんです。一番下にはほとんどサイバーコネクトツーのことを知らない方がいらっしゃるんですが、ピラミッドの端っこのところには、何をやっても文句を言う人がいるんです。でもここが大事で、この人たちが増えれば増えるほど全体のピラミッドはめっちゃでかくなっていくっていう。

近藤:
そうなんだ。

松山:
そう……思わないとやってられない(笑)

近藤:
一つ聞いていい?松山さんはパリのマラソンを走ってたじゃないですか。この中で松山さんがパリを走ってたと知ってる方はどのくらいいます?

松山:
お、知ってる人いるんですね。足がちぎれるかと思ったんですよ。

近藤:
彼はナルトの格好でパリを走ったんですよ(笑)。

松山:
しかも、事前には何も知らされていませんでした。パリに行って現地の方から、バラエティ番組でよくあるあのCCDカメラを装着されて……私の顔と前方が映って、バッテリーが6時間くらい持つものらしいです。それで結局4時間くらい走って22キロまでは頑張ったんですけれど、途中で足がちぎれかけてそれ以上無理で、完走できなかったんです。

近藤:
ほんとに頑張ってるんだ(笑)

松山:
けど、まだまだやなぁ……けっこう体張りましたけど、走ったことを知っているお客さん、二人でしたよ。

近藤:
でも、ここの人たちは熱い人たちだから。約束しよう、1月に1回でいいから、CC2のブログを読むこと。

松山:
見てください(笑)

富澤:
ブログでは主に松山さんの顔芸が楽しめます(笑)

ゆま:
基本的に、ここにいる人は褒めることしか知らない方なんで。

近藤:
その通り。

ゆま:
じゃ、この質問は川口さんと小坂さんにそれぞれいきましょうか。川口さんにはまず、「コミックス・ウェーブ・フィルムとしてもそうですし、新海誠さんの新作など、この後何か計画したり考えていますか」と。いろいろあるかと思いますが、差し支えなければ何か。

川口:
差し支えはあるよね~、差し支えるよね~(笑)

ゆま:
会社として何か計画していることとか。

川口:
会社は常に貧乏なんで「1日でも生き延びる」という、そんなレベルです。良い才能がいっぱい集まってきてくれたんで、ちょっとずつ大きくなっています。1日でも続ければ、いつかまた跳ねるかなと信じてます。あと、去年21歳でここにきた山本蒼美という女の子の監督は、次回作に入っています。BLです(笑) これが徳島で出させてもらっただけで100倍くらい認知度があがってほんとに近藤さんにも感謝しております。次回作は10月にはちょっと見せられると思いますので、どうかご期待ください。新海は元気でやっています(笑)

ゆま:
ではでは、小坂さんも何かあれば。

でじたろう:
7月末頃に発売を予定している「ギルティクラウン ロストクリスマス」。アニメの「ギルティクラウン」の10年前の前日談ということで、うちの鋼屋ジンというライターが参加させていただいています。一緒になってアニメも作らせていただきながら、鋼屋ジンがPCゲーム用にシナリオを書き下ろしていて、それをゲーム化して発売します。ここにはProduction I.Gさんと一緒に作った新作アニメも入っていて、アニメファンの方にも喜んでいただけるパッケージになるんじゃないかなと思っています。

ゆま:
あとはやっぱりこの方にこれを聞いてから終わりにしようかと思います。結構な数の質問をいただいていますが、角川書店の西山さん。「今後プライベートではなく、社員として参加する予定はありますか?」

西山:
予定があるかと言えば無いのですが、参加はしたいと思っています。とはいえ、会社に戻ってうまく説明できないまま2回3回と一般参加を繰り返しているんですが、今日、うちの切り札の井上社長が登壇しましたし、どんなイベントかわかってくれたはずなので、次は本腰入れてうちの作品プロモーションしませんかという話がしやすくなったかなと。これから社内のネゴシエーション、頑張ってみたいと思います。


近藤:
最後はいい話ですね。

ゆま:
思うんですけれど、みんなもなんかやればいいと思うんですよ。

近藤:
小説書くとか。

ゆま:
……。

近藤:
マチ★アソビに、どんどんみんなが参加できるものを増やしていこうと思ってるんですよ。コスプレファッションショーってやってますけど、あれはめちゃくちゃ人は来るんですよ。ある方が「コスプレのレベルがあがっている」と言っていました。

ゆま:
衣装のディテールとか。

近藤:
そう、こだわりの部分が増えてきたんだと思う。それに加えてお客さんの数がすごい。東新町がすごい人。秋も変わったこと、みんなが参加できることをやりたいなと思っています。コスプレをしなくてもいいのですが、眉山をみんなでかけあがってみようとかね。

ゆま:
でも、そういうのも楽しいですよね。

近藤:
一緒にみんなで走れば楽しいじゃないですか。どんどんみんなが参加する場所を作っていければなと思っています。先ほどの話じゃないけど、Kalafinaさんが歌っているときに、対岸で子どもがじゃれていたんですよ。それを見て、僕は本当に嬉しくて。みんながステージにかぶりつくだけじゃなくそれぞれの楽しみ方があって、そうやって大きくなれればいいなと。

西山:
ちょっと一言いいですか。ほんとにそれ思ったんですけれど、アニメのイベントの中でも、マチ★アソビってファンの中でもガチで濃い方々と地元の普通の住民の方々がほんとに溶け込んでいて、これはすごいなって思ったんです。ヘタすると引かれるところじゃないですか。俺、いろんなイベントに行ってるんですけれど、アニメのお客さん、特に日本のアニメのお客さんは世界で一番マナーがいいんですね。それはオンオフをちゃんと切り替えてて、盛り上がるところでは参加者としてガンガン盛り上げて我々を助けてくれるじゃないですか。

近藤:
ただのお客さんじゃないよね。

西山:
かたや、街の人に迷惑かけないようにって、いわば人として当たり前のことだけどそれをちゃんとやってくれてるから、それがマチ★アソビってもろに出てると思うんですよね。

近藤:
今Fate/Zeroというのをやってるんですが、それで女性のお客さんが急にカフェにくるようになりました。一方で男性の方は来づらくなったかもしれませが……変な意味には捉えて欲しくないんですけれど、アニメファンに見えないというか、すごくちゃんとしている人が多くて、「アニメを好きな人」が従来のアニメファンだけではなく、一般ユーザーの中にもアニメが溶け込んできているんじゃないかと僕は思っています。コミックマーケットは50何万人が集まるんですよ。50何万人が集まるイベントに来ている人を、そもそもオタクと言えるのだろうかと。

西山:
普通にユニクロでアニメの服を売ってますからね。

近藤:
そういう意味ではすてきなバランスでやれてるなと思っています。

ゆま:
最後にみなさまから一言ずついただいて第1部を締められればなと思います。2012年の強気な抱負とともに、まずは小坂さん、お願いします。

でじたろう:
ニュータイプの表紙を飾れたら幸せですね。抱負というか、裏の野望でいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

ゆま:
では、岩上さん。強気な抱負とともにぜひ。

岩上:
強気な抱負をずっと考えてたんですけれども、何も無いですね(笑) そういえば、祐馬くんの直属の上司が僕なんですよ。宣伝チームのチーフを祐馬くんがやっていて、そのチームを僕が見ている感じなので、部署として抱負は祐馬くんになにか大きなことを言ってもらおうかな。

ゆま:
あちゃちゃちゃ……

岩上:
僕はまず、Fate/Zeroを完結まで頑張ります。

ゆま:
リアルタイムにブーメランというものを感じていただけたかなと思います(笑) では、石原さん。

石原:
そんなに大きなことは言えませんが、今年も「変わったことしてるな」ということをどんどんやっていきたいなと思っています。

ゆま:
続きましては富澤さん。富澤さんはビッグなことをおっしゃってくれます。

富澤:
2年前に「ゴッドイーターは50万本行きます」と言わされて、無事達成しました。2012年ないし2012年度みたいな抱負はいろいろありますが、今年度は担当するタイトルもいろいろ増えていて、まだ言えないものもいっぱいあるんですけれど……前回言ったらうまくいったんで、全部合わせて100万本いきたいなと思います。いろいろ足して100万本にすると思いますけれど(笑)、頑張りたいと思います。


ゆま:
続きまして、西山さんお願いします。

西山:
割とちっちゃい抱負になるかも知れないんですけれど、昔「聴く映像特典」っていうコンテンツをやっていたことがありまして、またちょっとそういう独特な宣伝をしてみたいなと今年は思っています。おとなしく生きてきたんで、今年は新しいことをやりたいなと思っていて、実現できるといいかな。ひょっとしたら協力を仰ぐかも知れません。

ゆま:
僕はアニメ業界のサーヴァントとしてなんでもしちゃいます。

西山:
ということで、一風変わった宣伝で話題をふりまきたいなと思っております。よろしくお願い致します。

ゆま:
では、松山さん。

松山:
これ完全にオフラインですよね?多分、今から言う話をつぶやいたりすると私が死にますから。

近藤:
そこまでして言わなくていいんじゃない?(笑)

松山:
あの、言いたいの(笑)

ゆま:
書かない、言わない、皆さんそっと胸に秘めていくということで一緒に楽しい場を作れればなと思います。……では、次は川口さん、強気な抱負と共にぜひ。

川口:
なにも無いなぁ~楽しくなってきちゃったよ。みんなも笑顔だしね。周りのみなさんが立派でしょ、オレもこういう大人になりてぇなぁ。もうちょっとちゃんとします。みんなありがとうございます。

ゆま:
じゃあ、さきほど直属上司から強めにというお言葉をいただいたんで……今年、発表してる作品だけでも5、6本あって、発表してないものでも同じくらいテレビアニメの新作があります。劇場も何本か予定しているのですが、えー……全ての戦いに勝って来年帰ってきたいと思います!それでは、第1部を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

(会場拍手)

夜が更けていくにしたがって、話すネタの密度が増していく「業界関係者トーク」。ヒートアップしたトークに会場は熱気に包まれていましたが、これからまだまだ続きます。


第2部も会場は満員状態。大勢の人が今夜限りのトークを楽しみに来ていました。


ゆま:
それでは、第2部をはじめさせていただきたいと思います。また、ゲストの方を一人ずつお呼びいたします。まずは、ニトロプラスの副社長でもある、プロデューサーのどいさんどうぞ。続きまして、皆様もご存じ株式会社ブシロードの田中ブンケイさん、どうぞ。

近藤:
この方もけっこう危険なんだよ~。

ゆま:
続きまして我々「Fate/Zero」を一緒にやらせていただいている、星海社でアシスタントエディターをされております岡村さんどうぞ、よろしくお願い致します。続きまして、「STEINS;GATE」等いろいろな作品をされておりますフロンティアワークスの松永さんどうぞ。そして、もう一人お呼びしたいと思います。今まで以上に盛大な拍手で迎えていただければと思います。Ordet代表取締役、山本さんです、どうぞ。


近藤:
ヤマカン大人気ですね。

Ordet 山本寛(以下、ヤマカン)
あはは。

ゆま:
まずはこのメンバーで進めていければと思います。皆様、お飲み物ご準備いただきまして、第2部も楽しく参りたいと思います。乾杯!

(乾杯!)

ゆま:
ここは完全にオフラインでございますので、皆様の特殊能力「殺人」を行使しないようにお願いします。いろいろ答えますので、この場限りの楽しい場にしましょう。まずは、皆様からみたマチ★アソビを少しうかがえればと思います。そういうことで、山本さん。昼間のイベントお疲れさまでした。

ヤマカン:
頑張りました。

ゆま:
山本さんからみてイベントもそうですけれど、マチ★アソビってどんな風にうつりましたか?

山本:
近藤さんが意外に優しくて。数年前にニコ動で話をしたときには、夜のあいだずっと「お前は間違っている」と問い詰められてシュンとして帰りました。今回は優しいこと、優しいこと。あれ、みんなひいてる?(笑) もう、言いたいことは全部Twitterで言う!……ダメか(笑) 徳島がこんなに情緒豊かな街なんて知らなくて、ほんとうに無学でごめんなさい。僕の父親が香川の方に住んでいたので、香川のイメージがすごく強くて、まぁ僕の地元みたいなもんだからいいけど、香川は何も無いんですよね(笑) 徳島はうってかわって非常に文化的なというのかな、金沢を思い出しました。そこにこれだけアニメ文化が根付いてる!根付いているっていうのが非常にすばらしくて。Twitterにも書きましたけど、近藤社長はほんとうにすばらしい。

近藤:
書いたんですか?

山本:
書きました。ダメでした?

近藤:
別に構わないですけど(笑)

山本:
近藤さんを絶賛しました。ほんとうにマジな話です。僕の地元の大阪でもこんなイベントは無いのに、徳島でここまでやっちゃうのはすばらしいことだと思います。

ゆま:
ありがとうございました。では、松永さんまいりましょうか。

フロンティアワークス 松永孝之(以下、松永):
フロンティアワークスの松永と申します。よろしくお願いいたします。マチ★アソビはさっきからお話に出ている通り、僕も山本さんと南さんと近藤さんのトークを聞かせていただいた後に焼きそばを食べたり川沿いを歩いたりとかしていまして、非常にゆるいイベントです。このゆるさがいいなと思いながら楽しんでいます。皆さんも楽しんでいただければなと思います。よろしくお願いいたします。


ゆま:
よろしくお願いいたします。

ゆま:
では、ブンケイさん。よろしくお願い致します。

ブシロード 田中ブンケイ(以下、ブンケイ):
今日は皆様と一緒にお祭りを楽しむつもりでいろんなところブラブラと歩いたりご飯食べたり、ブラブラとしたりご飯たべたりとかしていました(笑) 一応、誰かが挑んでくるかと思って、ずっとカバンの中にデッキを5つ入れて移動していたのですが、誰も挑戦してこず「オレに恐れをなしたか」と。そんな感じで、明日もちょろっといると思いますので、よろしくお願い致します。

ゆま:
では、岡村さん、よろしくお願い致します。

星海社 岡村邦寛(以下、岡村):
星海社で編集をしております、岡村と申します。僕は今回初めて徳島に来させていただき、パラソルショップでサイン本とかを売らせていただきましたが、おかげさまで大好評で完売しました。みなさまのおかげで仕事が無くなったので、あしたは一日遊びたいなと思っています。僕、売り子っていうのは初めてでしたが、ほんとうにここに来てくださっているファンの方はあたたかくてモラルが高い人だなと思いました。僕らの方が心が洗われるというか、「魔法少女まどかマギカ」でいうとグリーフシードの黒いのが吸われるみたいな、そういうのを徳島でいただいたので、秋もぜひ来たいですね。よろしくお願い致します。


ゆま:
よろしくお願いいたします。この方もマチ★アソビ、キャリアは非常に長い方でございます、ではどいさんよろしくお願い致します。

ニトロプラス どいよしなお(以下、どい):
ニトロプラスのどいと申します。よろしくお願い致します。4回目から来ているので、今回で5回目ですかね、おかげさまでもう古株のなかに入ってしまいました。今回はうちはポッポ街でニトロプラスミュージアムというものをやらせていただいていて、あとはバンダイナムコさんと一緒に「魔法少女まどか☆マギカ ポータブル」の原画展をしています。どなたかが「マチ★アソビは大人の文化祭だ」という話をしていましたが、今回もバンダイナムコの富澤さんと一緒にまどか☆マギカのパネルを作ったり設営をしたりして、本当に文化祭みたいで楽しかったです。

ゆま:
いいですね。

どい:
腰は痛くなりましたけれども(笑)

ゆま:
ということで、みんなで手作りもありながらの楽しいイベントですよね。

どい:
ユーザーさんも業界の作り手側も両方一緒に楽しめてる、ほんとうに楽しいイベントです。今回は今まで以上に楽しませていただきました。

ゆま:
今、お話にも出てきましたが、一つうかがえればと思います。これは、最終的にはそうじゃないって話を伝えたいんですが、こういう質問がきています。「ぶっちゃけ地方でのイベントってしんどく無いですか」と。徳島発でも、これだけオンラインの時代なんで情報がどんどん外に伝わると思うんですよね。東京にいて徳島のことを知るすべはあるし、それを広げるツールもあるので、どこでやっても面白いことさえすれば広がる。しかもこういう環境で、わりと自由にできるというのはマチ★アソビのすてきさかな、と思います。

近藤:
現実的なことをいうとすごくハードルは高いです、やっぱり地方に行けば行くほど難しいと思います。ただ、皆さんが来てくれて結果を生んできたので、こういう形になっています。でも、なかなか「アニメで人が来る」ということは、わかってもらえないことがあります。「カムチャッカ何とかってごはんがあって、むちゃくちゃ美味しいので、ブラジルに食べに行きましょう」って言われても「何のこと?」という話になりますよね、それぐらいにわからないんですよ。

阿波おどりのポスターについて昨日イベントをさせてもらいました。阿波おどりのポスターをアニメでやろうよと声をかけさせてもらって、よくあの時に担当の方がOKしたなと。ほんとうにありがたいことに、「わからないから任せる」って言ってくれたんですよ。そういうことを言ってくれる人はほとんどいないですね。

僕は東京にほとんどいて、20年間徳島に帰ってきてなかったから今よく徳島が見えるんですよ。やっぱり、東京の方が自由です。圧倒的に自由です。東京はやっぱり人口が多いから、需要と供給があるんです。マチ★アソビがうまくいけた最大の理由は、とりあえずやらせてくれたこと、それに対して僕の仲間たちがみんな「もう近藤がなに言ってるかわからないけれども、とりあえずつきあってやろう」って言ってくれたこと、それに対してお客さんがちゃんと来てくれたこと。そのちっちゃいスタートが今のマチ★アソビにつながったってことで、結果が結果を生んでるんです。

松山:
私は家が福岡で、本社も福岡なんですよ。福岡本社に170人くらい、東京スタジオに40人くらいいて、あくまで拠点は福岡なんですね。福岡のゲーム産業を盛り上げるためにGFFっていう任意団体を作って、今11社くらいゲーム会社が集まっています。毎月会議をやって、福岡のゲーム産業、エンターテイメント産業をもっともっと盛り上げていこうとしています。いろいろやっててイベントもやっています。「東名阪」ってあるじゃないですか、東京、名古屋、大阪。福岡はその次ですよね。でも、オタク人口は少ないんです。東京はオタク人口がむちゃくちゃ多いです。福岡ではお客様がイベント慣れしていないから、声優さんに来てもらってイベントをやっても、300人集めるのがけっこう大変なんですよ。

近藤:
マチ★アソビは、結構な奇跡なんです。僕はこのあいだ北九州にお店を出しました。北九州市は100万人都市で政令指定都市です。やっぱり、人口が多いっていうのはすごいことで、北九州と徳島を比べると、圧倒的に北九州が有利です。でも、その徳島でこれだけマチ★アソビが広がって認知されたっていうのは、すごいことだと僕は思います。ほんとうに奇跡的です。仮にマチ★アソビがなかったとして、もう1回やれと言われてもできないと思います。あのタイミング、あの状況でスタートしてよくぞここまで来たなと。……あなたも司会、うまくなったしね。

ゆま:
今日の大塚明夫さんの司会は、ほんとうに緊張した(笑)

近藤:
第1回、第2回の業界関係者トークイベント来た人はいますか?(何名かが挙手)あっ、すごい。あのとき、僕が司会をやってたのを覚えていますか?僕、ゆまくんがうまくなったと思ったので、彼とチェンジしたんです。

ゆま:
よりスキルアップしたサーヴァントということで(笑)、ありがとうございます。

ブンケイ:
地方の話、ちょっとだけ一言いいですか。

ゆま:
ブンケイさんは、地方をよくまわられてますよね。

ブンケイ:
少しだけ宣伝すると、ブシロードのカードゲームの大会を沖縄でもやります。確かに地方の人数は東京に比べると少ないけれども、でもやっぱり自分のいるところの近くで自分の好きなカードゲームをまわせる、しかもメーカーが主催してくれる大会があるというのは、やっぱり嬉しいらしくて、わざわざ足を運んでくれる人もいます。ここ徳島でも2年前にやらせていただいたときは、この部屋におさまるような感じだったのが、今ほんとに今回の会場でも入りきらないほどでして(笑)、やっぱり地方でも続けていくと広がっていくなと感じます。その最初の種を植えられた近藤さんは偉いなと、そしてありがたいなと思います。


近藤:
今、ブシロードさんに熱い企画を持ち込んでいますので、マチ★アソビのvol.9を期待していてください。かなり熱いです。もうブンケイさんは知っていて、アツアツですよね。

ブンケイ:
けっこうやばいね。

近藤:
やばい。

ゆま:
なんですか?ブシロード木谷社長のプロレスですかね?(笑)

(会場笑)

近藤:
この流れでいくと眉山の山中でプロレスすることになっちゃう(笑)

ゆま:
今のブンケイさんの話にも通じますが、この質問にいきたいと思います。「マチ★アソビに出てみて、こんな収穫がありましたというのはありますか?」というご質問です。では松永さん、かなり回数を重ねられていると思いますが、こんな手応え、収穫があったというのはありますか。

松永:
今回、7回目の参加になるかと思うんですけれども、1回目にお話が来たときは「何だろう?」と思いましたね。「この方は何を言い出しているのだろう?」と(笑) 収穫というと、僕自身が来て楽しんでるってのが一番大きいですね。東京とかでイベントをやらせていただいてもちろん楽しいのですが、マチ★アソビでは外のロケーションで皆さんと一緒に僕も自然に列に並んで焼きそば買ったりとかして、僕自身が参加者として楽しんでるってことがやっぱり一番の収穫なのかなって気がします。

ゆま:
やっぱりそこに得るところがあるということですね。では、どいさん、かなり回数を重ねられているかと思いますが。

どい:
先ほどバンダイナムコの富澤さんもおっしゃっていましたけれど、まどか☆マギカ ポータブルは徳島で生まれました。このトークイベントのあとに業界の方々との打ち上げがあるんですが、その席で富澤さんから「まどか☆マギカのゲーム作りましょうよ」と持ちかけられました。自分としては待ってました、と(笑)

松山:
ちなみに私もその場にいました。その時点でちょうど第4話の放送が終わったあとで、富澤さんはこっちに来てたから、まだ第4話を見ていないところだったんです。「第4話はまだ見てないのでネタバレしないでください」ってのをトークで一緒にやった夜に、その話をしていて……。

どい:
自分としては「徳島マジック」だと思っています。

ゆま:
これからまたどんどん出会いの席に新たな何かがあって、それを皆様にお届けできれば面白いですね。正直、ここにいる方々で打ち合わせしましょうって言ったら、多分無理です。このように集結するのはすごいことだなと思いますね。

近藤:
あれ?松山さん、どこ行くの。

(松山さんが後方からレッド・エンタテインメントの伊東さんを連れてくる)

松山:
おいで!

ゆま:
はい、伊東プロデューサーどうぞ!

近藤:
伊東さんかなってずっと見てたけど、目が悪くて全然わからなかった。

レッド・エンタテインメント 伊東愛(以下、伊東):
レッド・エンタテインメントの伊東と申します。今回は「スカーレッドライダーゼクス」で参加をさせていただいております。よろしくお願い致します。

ゆま:
イベントがあるのは明日でしょうか。

伊東:
声優の藤原祐規さんをお迎えして、スカーレッドライダーゼクスのトークイベントをやらせていただきます。


ゆま:
さて、次の質問は「昨今クオリティがチキンレースのようになっています。限られた予算と時間のなかで、どのように判断されて、クオリティを高めて作品作りを行っているんでしょうか」というものです。

近藤:
もう松山さんが構えているから。

松山:
先にぶっちゃけときたいんです。

近藤:
ぶっちゃけたうえで、ヤマカンに振ると(笑)

松山:
うちのようなゲームを作る会社だと、企画をうちが立てて、メーカーさんからお金をもらってゲームソフトを1本作りあげます。我々は開発者も含めてですけれども、自分たちが勝負できる自信のあるタイトルにするまでは完成にはできません。物理的な時間の問題は当然ありますけれども、そこは制作側のある種の覚悟です。それがいいとは当然言いませんが、そういう意味だとチキンレースって言い得て妙だなと思います。

近藤:
では、ヤマカンの話にいきましょうか。

ゆま:
みんな、もう1回だけお願い。オフライン。

近藤:
ほんとうに彼がしゃべったらやばいから。絶対だめよ。

ヤマカン:
じゃあ振るなよ(笑)

ゆま:
昼間の放談をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、すごくエンターテイナーなんですけれども……

ヤマカン:
みなさん、フォローをお願いします(笑)

ゆま:
いいですかみなさん、何かあったら僕はvol.9は降りますので!(笑)

近藤:
僕が今、Twitterをずっとチェックしてるので大丈夫です。

ゆま:
というところで、いかがですか山本さん。

ヤマカン:
本当にまじめな話をしますと、これには一回、「オトナアニメ vol.17」で言及したことがあるんです。そのときに僕はクオリティバブルと言いました。でも、お客さんも賢いから、最近はクオリティには関係なく、面白い作品になびいているという傾向がちょこちょこ見られます。「シナリオ、お話がいい」「単純に萌えられる」、そういうことで作品を選んでいるところがあると思います。これは、お客さんを含めて次のステージに行こうとしているのではないかというのが、感じとれるようになりました。


ヤマカン:
もちろん手間暇かけるのはいいのですが、そこにどれだけの面白さを加えるのかっていうのが、今後のアニメに課せられた使命なのかなと思って、僕は次のことを考えています。

近藤:
マジメな話をすると、フランシス・フォード・コッポラの作品に「ワン・フロム・ザ・ハート」という映画があります。これはコッポラが「地獄の黙示録」であまりにもつらい撮影を延々と繰り返して「もう嫌だ」といって作った、ラスベガスを舞台にした映画です。これを、セットでラスベガスを作って撮影して、70億円かかったそうです。そして、惨敗。背負った借金は無限。でも、僕はやっぱりそこに夢を感じたりするわけです。

ヤマカン:
だから、近藤さんはすごく優しくてロマンがある。なんで僕の方がシビアになってるの、逆だろこれ(笑)

近藤:
ジェームズ・キャメロンという監督は「ターミネーター2」とかいろいろやっているヒットメーカーです。で、「タイタニック」をやって、あれだけのヒットを出しました。もう「あがり」どころか、島でも買って終わりじゃないですか。でも、またそれ以上のお金を使って借金までして「アバター」を作る。おかしいよね、でも、そんなところに僕らは惹かれちゃうんだよ。だから、行くしかないと思っています。

ヤマカン:
そうですか……今日はほんとうに近藤さんにほれこんだ一日です。

近藤:
じゃ、次の話題へ。

ゆま:
では、ゲームというところで伊東さんとどいさん、お願いします。

伊東:
レッド・エンタテインメントも、主に受託でゲームを作っています。

近藤:
彼女は「ぼくらはカセキホリダー」という大ヒット作を作っています。

伊東:
カセキホリダーは90万本売れました。クオリティが高かったからこそ続編につながりましたので、会社として続編もクオリティを重視してやりました。

ゆま:
ありがとうございます。どいさん、PCゲーム、コンシューマーゲーム、共により高いものが求められる時代になってきていますが、いかがですか。

どい:
自分もクオリティ至上主義なんです。10年間、アニメやゲームのプロデューサーさせていただいているのと同時に、現場のディレクターもやっています。最近ですと「ROBOTICS;NOTES」のメカ系のCGは自分の部署で作っています。スケジュールは守らないといけないので、スケジュールを守る範囲でとにかくやるだけやれということをやって、要求以上のものはできたかなと思います。自分としてはやっぱりクオリティは高くないとユーザーさんには申し訳ないっていう気持ちがありますし、後は、自分自身がいい絵を見たいという思いです。


ブンケイ:
シナリオのクオリティもいいですよ。

どい:
ありがとうございます。シナリオは社内でダメ出しとかないですね。ライターが自分でレベルを上げてくるからだと思います。

ゆま:
岡村さん、出版、本作りに関してはなにかございますか。

岡村:
本作りは簡単にいうと夢がありますね。出版というのはシステム化されていて、部数の条件はありますが、全国の書店さんに届くようにできている。最小の人数で影響力のあるコンテンツが作れる。出版は低調だと言われますが、まだまだ夢が眠っている業界です。

ゆま:
続きまして、ブンケイさん。カードゲームのクオリティについていかがでしょうか。

ブンケイ:
幸いなことにアニメ業界、PC、テレビゲーム業界と比べて関わっている人数が少ないってこともあって、クオリティを追究してもそれほどお金が飛んでいくってことは無いし、恐らくケタが違うと思います。もしかしたら、出版さんと近いんじゃないかなと。

近藤:
今日(5月4日)の徳島新聞、見ました?

ブンケイ:
見ました。

近藤:
一面がヴァンガードの「ブラスター・ブレード」でしたよ。

ブンケイ:
思わず買いました。

近藤:
あれ、けっこう木谷さんに自慢できるんじゃない?

ブンケイ:
一番のおみやげになります。

近藤:
僕、夜中にテレビをつけたままにして仕事してますが、そのときにダルビッシュが投げている映像が映っていました。そしたら、何か見慣れた絵が映る。メジャーリーグで投げてるはずなんですが、なんか違う。あったはずのものが消えて、仕事して顔を上げたらまた映ってる。気付いたら、バックネットのところに「ヴァンガード」って書いてあるんですよ。


(会場笑)

近藤:
ビックリしたよ、本当に。去年のワールドカップも、それから野球のオールスター、そして日本シリーズもあったかな。

ブンケイ:
それからフィギュアスケート。三回転の後ろのところに「ヴァンガード」というのは社長が自画自賛していました、「2011年度宣伝大賞はこれじゃー!」って(笑)

ゆま:
では、次の質問です。「私は将来アニメの制作プロデューサーとなって、国内外問わず活躍したいと考えています。そんな私は何を学んでどういった行動をすべきでしょうか」

近藤:
アニメーションのプロデューサーは、ディレクター以上に全部のポジションの関われる唯一のポジションです。そういう意味では非常におもしろいです。まじめな話をすると、どこの会社も同じですが、20代、30代で役割が変わります。20代で褒められたことを、30代でやっても褒められない。だからプロデューサー、制作プロデューサーっていうのは自分でどれだけ能動的にやれるかどうか、それにかかっているんですね。マチ★アソビはその典型的なパターンで、能動以外のなにものでもない。制作プロデューサーになるのにはどうすればいいか、「動くしかない」。どうですか、松山さん。

松山:
本当にその通りだと思いますよ。アニメのプロデューサーもゲームクリエイターも同じだと思うんですけれども、どうすればなれるっていう教科書が無いです。あまり一般的な仕事でも無いから、なにを勉強すればなれるのかって皆さんもボンヤリとしていると思います。実際になった人たちも、決定的な要因はない。気がついたら、そうなっていると。

ブンケイ:
プロデューサーという職になりたくてなったわけじゃないですよね。

近藤:
作りたいものがある人って実はなかなかいないんですよ。無理できた人間か、無理できなかった人間か、どうかなんです。

松山:
そうなんです、一番大事なのは無理できるかどうかなんです。「無償の愛」って言葉をあまり軽はずみに使うべきでは無いと思いますが、結局はそれなんですよ。それが評価されてプロデューサーになったり、クリエイターになったりしているのです。

近藤:
僕らの業界だけではなく、やっぱり話を聞いていると年功序列は世の中全体的に崩れていっていて、自分で動けて結果を出す人間が出世しやすい形になっています。山本さん、どうですか。

ヤマカン:
30代でプロデューサーも含め、経営面も含めやろうかなというところに差し掛かっているんですけれども……

近藤:
ここはあんまりサービス精神いらないから。

ゆま:
皆さんお気づきの通り、山本さんはとってもいい方なんです。

ヤマカン:
経営者としての自分、プロデューサーとしての自分は実際最悪だと自覚していて、これはサービスでもネタでもない。僕は監督、演出としては偉そうに言ってますが、プロデュース方面の力量っていうのは全然足りない。だから、大きくならないのは重々自覚しているわけです。業界入って偉くなったらプロデューサーになれるっていう感覚では、やめたほうがいいです。偉くなりたいという意識だけでやったら、とんでもないです。プロデューサーと監督って二人三脚、一心同体だと僕は思っているんで、同じ人間が二役やるっていうのはなかなか難しいです。

近藤:
松山さんはやってらっしゃいますよ。基本的にプロデューサー業とものづくりって一緒ですよね。

松山:
一緒、一緒。

近藤:
喜んでもらうためにどうするか。そのときに現場作業をやるか、遠隔作業をやるかだけですよね。そのとき余力があれば現場作業もやるし。ところで、僕、今「かんなぎ」の再放送を全部見ていってるんですよ。オープニングすごく好き。

ゆま:
かんなぎ、めっちゃおもしろいですよ。


ヤマカン:
ありがとうございます!

ブンケイ:
みんなブルーレイボックスを買おう。

ゆま:
イェイ!

近藤:
おとといかな、「BIG WEDNESDAY」って企画をufotable CINEMAでやってて「銀河鉄道999」をみたんです。うちのスタッフも含めて20代、30代の人たちは、びっくりするくらい昔のアニメみていません。「マクロスシリーズ」でいえばマクロスFrontierは見ているけれど、初代マクロスは見ていないんですよ。銀河鉄道999も見ていないんですよ。この中で銀河鉄道999を見た人はいますか……ほら、意外といないでしょ。

松山:
どうやって大人になったの!?

近藤:
本当に見ていないんですよ。じゃ、「人狼」を見た人は?ほら、ここも減る。じゃ「ユンカース・カム・ヒア」はどうでしょう。ほら、ここも減った。

山本:
王立宇宙軍 オネアミスの翼」は?

近藤:
……会場の20%くらいかな?これは、見ていないことが悪いわけじゃないんです。BIG WEDNESDAYのコラムにも書いたんですけど、見ていないことをうらやましいと思いました。だって、まだまだ感動できるってことですよ。で、「銀河鉄道999」を見たんですが、すごくよかった。あのまま「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」を見たくなったもんね。

(会場拍手)

近藤:
どいさんも一緒に見たよね。

どい:
はい、30年ぶりに劇場で見ました。

近藤:
最高だったよね。

松永:
劇場で見るとまたいいですよね。

近藤:
泣いている人を何人も見たもん。

どい:
子どものときの感動を今でも得られるって、すばらしいですよね。

近藤:
あのとき、手で描いていた「思い」みたいなものがフィルムに粘着してて、やっぱり燃えるの。最後、鉄郎くんがメーテルを送って走りだすときに、もうね、どうしようも無く……

ゆま:
涙なくしては語れない。

近藤:
もうね……今、アニメイトさんでBDを売っているので、気になった人は買ってください。余っていたら僕が買いますから。ufotable CINEMAで見てくれた人が買ってくれたらいいな、そう思って残しています。

ヤマカン:
「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」もいいですよ。

近藤:
パルチザンのところなんて最高。そして、メーテルと鉄郎の再会のシーンのメーテルの美しさ……

山本:
そこを指摘するとはすばらしい。


近藤:
銀河鉄道999が完成して、さらにそのスタッフがもう1本作ろうって言ったときの気合いがほんとうに全然違う。とにかく美術、作画のレベルが一気にあがった。ああいうことをやって業界がインフレをおこし出すんですよ。

(会場拍手)

近藤:
このあとマクロスが出てきて、僕が人生で一番見たテレビシリーズの1話は、たぶんマクロスの「愛は流れる」です。これのLDを持っている人はいますか?「パインサラダ」と「愛は流れる」が一緒になっているものを持っている人。(数名が挙手)あれ、すばらしいよね。A面とB面が逆になっていて、「すいません」って書いた紙が入っているんです

(会場笑)

近藤:
「すりきれるほど見た」とはあのことで、僕は「愛は流れる」のカット割りをほとんど言えるもん。それぐらいインフレを起こしはじめて、「愛・おぼえていますか」の一番始め、バルキリーがスタート失敗するあたりの作画のレベル、あれ以上はないよね。

松山:
もう、異常です。

近藤:
はい、ではここで大塚明夫もどき(ゆま)がお手洗いに行きます。

ゆま:
見ないでください!(笑)


(会場笑)

この後もトークショーはオフラインでしか話せない内容などで盛り上がりを見せ、最後は近藤プロデューサーから今後はパーソナルスポンサーを募集していくという発表がありました。「みんなが欲しいものを提供できて、かつそれがマチ★アソビのスポンサーになる形が一番望ましい」というもので、スポンサーならではの特典もあるようなので、今後の発表に注目です。


もう一度会場の皆で乾杯をし、それぞれが熱いトークの余韻を楽しみました。


最後に、全員集合の写真撮影があり、4時間30分にもわたったトークイベントは幕を閉じました。


近藤さんは翌日もしっかりTwitterをチェックしていましたが、誰も今回のイベントのことをツイートしていなかったので「みんな、えらい!」と大絶賛でした。トークイベントには参加券が必要で、マチ★アソビのイベントの中のどこかで配布されることになっているので、次回以降、これを生で見てみたいと思っている人はじゃんけんの腕を鍛えておいた方がよいかも……。

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