スマホのカメラで放射線を検出する無料アプリ「GammaPix Lite」


DARPA(米国国防総省)・米国国土安全保障省および輸送調査委員会(米国国立科学アカデミー)からの約250万ドル(約2億円)の支援で開発され、オークリッジ国立研究所およびアメリカ国立標準技術研究所(NIST)で実際にテストされて動作確認済みというアプリがこの「GammaPix Lite」です。スマートフォンのカメラを使って放射線を検出するという技術が使われています。

gammapix Radiation Detection System - Image Insight, Inc.
http://gammapix.com/sites/

GammaPix Lite - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ImageInsightInc.GammaPixLite


まず、初めてアプリを使う前に過度の放射能が無いところで約20分間の初期化が必要で、最良の結果を得るために光がカメラの受光部に入っていない状態にする必要があります。具体的にはレンズにカバーを付けるなどして真っ暗にしておき、しばらく待つとスマートフォンがバイブレーション機能で震えるため、初期化が完了したことが分かります。


動作させると、危険がない場合には約5分ほど読み取りを行い、安全であることを教えてくれます。


もしただちに危険なレベルの放射線があれば以下のようにすぐにレポートしてくれるので、今いる場所からできるだけ早く離れましょう。


測定結果はこのように記録可能です


技術的にはチェルノブイリのときに観測された「カメラのフィルムが強い放射線・中性子で感光してしまって白く明るい点がたくさん写った」というのを今のスマートフォンのカメラレンズとチップで行う、というような仕組み。


実際には、ガンマ線がチップにぶつかった時に、暗い背景上に出てくる明るいピクセルの数をカウントし、より多くのピクセルがあるということはより高い放射能レベルであるというように判断する、というわけです。


その仕組み上、Motorola Atrixのように低い光量の際により明るく自動補正する機能があるカメラを搭載している場合には使えないとのこと。そのためキャリブレーションは一定の範囲のモデルにまだ限定されており、大部分のメジャーなスマートフォンでも動作するように現在急ピッチでキャリブレーション中だそうです。


要するに、健康被害がすぐに起きるレベルの放射線、たとえば原発が爆発事故を起こすであるとか、核攻撃であるとか、あるいはダーティー・ボム(爆発させて放射性物質をばらまくという爆弾攻撃)、さらにはサイレント・ソース・アタック(致命的なレベルの放射線を放つ物質を持ったまま何百あるいは何千もの人々がいる競技場あるいは他の公共の空間に歩いて行き、周囲にいる人々を次々と被爆させるテロ攻撃)レベルの放射線を検知するためのものであり、ガイガーカウンターや本物の放射線検出器の代わりとして使うものではない、とのこと。


なお、起動するにはオンライン接続が必要で、この無料のライトバージョンは2012年6月30日まで利用可能となっており、さらに高機能な有料版やiPhone版(4.99ドル、約400円ほど)も予定されているそうです。

また、開発は3.11以前の2002年から行われており、奇しくも3.11によって開発が加速、スマートフォンでも動作できるようにするべきだと言うことで日本にもテストバージョンを送っていろいろな人にテストしてもらい、今回の完成にこぎ着けることができた、とのこと。実際にベータテストに参加した人のツイートが以下にまとめられています。

GammaPixで遊んでみた。 - Togetter(2011/08/26)
http://togetter.com/li/179674

さらに下記ページに2012年3月19日付で開発者のインタビューが掲載されており、どういう仕組みなのか、なぜ開発に至ったかが詳細に語られています。

Dirty Bombs: A Smart Phone Application That Measures Radioactivity Could Detect Dirty Bombs - Courant.com
http://www.courant.com/business/connecticut/hc-smart-phone-geiger-counter-20120319,0,1075051.story


すでにワシントンD.C.の地下鉄に最初の例として採用されており、将来的にはこのソフトウェア技術を使ったウェブカメラも登場予定で、アプリとスマートフォンのGPSによるネットワークを作ってどこに放射性物質があるかをすぐ検知することも可能になる、とのことです。

テストした人の感想を見る限り、どうもフェイクやネタではないようで、放射線検出器のようなレベルのものではないものの、常にガイガーカウンターを持ち歩くわけにはいかないので、既存のスマートフォンをそのまま使えるというのは「いざというとき」には確かにかなり役に立ちそうです。

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