ハードウェア

暖房機に最適な状態を突破して熱暴走の果てに強制シャットダウンしてしまう原因を探ってみた


使用しているデスクトップPCが昨年夏ぐらいから徐々に不調になり始め、高負荷時に勝手にシャットダウンするようになってしまいました。さらに、ここ最近はアイドル状態で放置しているだけでもCPU温度が100度に達してしまうにもかかわらずファンが猛烈に回転している様子もなく、冷却が正常に行なわれていないことが明らかになったので分解して修理を試みることにしました。

熱暴走と思われるトラブルを抱えているのは2008年に購入したこのデスクトップマシン。搭載しているCPUはCore i7-920(2.67GHz)で、ネットで調べてみると「暖房機に最適」「温度が高い」「アイドルで50度以上」などというコメントが見つかったので、比較的熱をもちやすい製品ではあるようです。


ハードウェアの状態を監視できる「Speccy」を使用して計測したところ、起動後何もしなくてもしばらく時間が経つとCPUの温度が100度まで上がっていることがわかります。温度を示す文字が赤字になっており、かなり危険な感じ……。


BIOSから確認しても84度になっています。なお、画面上はシステムファンが停止しているように見えますが、ちゃんと作動していることを確認したのでファンが不調の原因ではありません。


という訳で、サイドパネルを開いて中の状況を調べてみることに。まずはCPUクーラーを外してみましょう。


一見するとホコリもそれほどたまっておらず問題はなさそうですが、中央を見るとグリスが劣化していることがわかります。


本来のグリスはゲル状でクーラーとCPUの隙間をふさいで効率的に熱を受け渡す役目を果たしますが、長期間CPUの高温状態を放置してきたせいなのかひび割れてカチカチに固まり廃熱の役に立たなくなっています。


CPU本体も見てみましょう。


こちらのグリスも固まってしまっています。これでは乾いたご飯粒と同程度にしか放熱の役に立たないはず。


まずは、この劣化したグリスをウェットティッシュで拭き取ります。


CPUクーラーの方もゴシゴシとこすって古いグリスを落とします。


新しくグリスを購入してきました。価格は上は1500円ほどから下は300円まで、さまざまな製品がありましたが、冷却性能に劇的な差がでることはないはずなのでとりあえず一番安いもので様子をみるために「シリコングリス(300円)」と塗布用の「グリス用万能へら(160円)」を選びました。


中身はこんな感じです。


グリスは注射器の中に入っています。


こんな感じでCPUの背面にグリスを出します。塗りすぎは逆に冷却の妨げになるので注意が必要。


次はへらを使ってグリスを薄くのばして行きます。


このように均等にのばせばOK。


あとはクーラーを元に戻して作業完了。


起動直後の温度は58度で、熱くなりがちなCore i7-920であることを考えれば許容範囲内。


しばらく時間をおいてBIOSで確認すると71度となっています。


YouTubeで動画を再生しつつタブを5個開くと一瞬だけ90度まで温度が上がりますが……。


その後はすぐに65度まで下がるので、グリスをつけたことでCPUからクーラーへの廃熱が正常に行なわれるようになり冷却能力を取り戻せたことがわかります。


グリスをつけても高負荷時にはかなりの温度に到達してしまうので安定して冷却をするにはクーラーの置換が必要になりそうですが、とりあえず今回の作業を終えたあとは熱暴走によってPCが落ちることはなくなりました。

もしもどういうわけかOS的な原因がほとんどないにもかかわらず強制終了が頻発するようになった場合、リーク電流やファン故障の可能性をチェックするだけでなく、CPUのオーバーヒートが原因の可能性があるため、グリスが劣化していないかどうかも忘れずに確認することを記憶の片隅にとどめておけば、今後の問題特定が容易になるはずです。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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