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コラム

「オリンパス・ショック」の全貌とこれまでの信用ガタ落ちのまとめ


オリンパスの元専務である宮田耕治さんが、もう一度会社をなんとかしようと呼びかけるサイトを立ち上げました。愛するオリンパスのために立ち上がったという宮田さんの熱いメッセージは非常に多くの人の心を打ち、一時的にアクセスが集中してサイトがダウンするほど。しかし、果たして本当にオリンパスは変わっていけるのでしょうか。今回の「オリンパス・ショック」の全貌をざらっとまとめてみました。

Olympus Grassroots



「Olympus Grassroots」はオリンパス株式会社の元専務取締役で、オリンパスメディカルシステムズ株式会社の元社長でもある宮田耕治さんが立ち上げたサイト。オリンパス従業員へ向けた、熱いメッセージが掲載されています。

2006年までオリンパスに勤務しましたOBの宮田耕治です。この数週間、オリンパスに関する耳を塞ぎたくなるようなニュースが新聞、テレビで報道され、客観的に見てオリンパスが独立した企業として存続できる可能性が日ごとに減少しています。

愛するオリンパスが消滅するかもしれない、このような状況をこのまま何もせず座視することに耐えられなくなり、昨日朝日新聞のインタビューを受ける形で私の気持ちを公にしました。きっと皆さんもショック状態の中、「信じられない、そんなはずは無い、きっと何とかなるはずだ・・・」と毎日願っておられると思います。しかしオリンパス丸は沈没寸前で、今までオリンパスを支え続けてくれた関係者が、どんどん離れてゆきます。私は離れる選択肢などない、あるいは考えてもいない皆さんに「まだチャンスはある、今行動を起こせば」と呼びかけたいと思います。社外にいるからこそ見えてくるオリンパスの危機の深さ、深刻さをできるだけ正確に理解し、それをチャンスに変えるための方策を自分なりに考えてみました。それを皆さんと共有し、今こそ立ち上がろう、と呼びかけたいと思います。

実はオリンパスは内視鏡の世界シェアで約75%を占めているわけですが、だからといって盤石ではない、という指摘がまず入ります。

しかしより現実的なタイムリミットは「内視鏡事業が致命的なダメージを受ける前」だと考えるべきです。オリンパスの事業で、今社会が消滅させるには惜しい、と考えてくれるのは残念ながら内視鏡事業だけでしょう。もしも内視鏡事業が主要顧客から見放され、国公立の入札から全面的に締め出されれば、それをきっかけに大きなダメージが生じます。内視鏡は磐石だ、などと勘違いしないでください。顧客は汚れた企業から商品を買い続けたいと思いませんし、代わりはいくらでもありますから。

次にガバナンス体制がいかにひどいものかというのを端的に示しています。

日本の首相にまで「オリンパスのガバナンスの酷さが、日本の他の企業までそうだと世界から見られることが無いように・・」といわれるほど、オリンパスのガバナンスは「形は立派だが魂が入っていない」ガバナンス体制の代名詞となってしまいました。この状態から、「もう再発は無いだろう」と社会に納得してもらえる、魂の入った一流のガバナンス体制を短期間に構築し、実行に移さなければなりません。今の経営陣にこれが出来るでしょうか?これが二番目のハードルです。

そして最後にどうすべきかというのをまとめています。

以上1-5で述べたとおり、私が理解するオリンパスの危機の深刻さ、残された時間内にオリンパス復活のきっかけを掴むには、次のことが必要です。

1) 我々の不明を恥じ、行動する勇気が無かったことを率直に認め、その上でウッドフォード氏に対する故の無い中傷、名誉毀損に対して、心から陳謝すること。

2) オリンパス復活の「奇跡」を引き起こすため、声を一つにして氏の復職を嘆願すること。

3)そしてウッドフォード氏が復職し、上記2-4の課題をクリアできた暁には、オリンパスは完全に膿を出し切ったクリーンな身体で、二度と不祥事を発生させない立派なガバナンス体制を持ち、そして毀損した株主価値を出来るだけ早期に取り戻すべく、全社一丸となって大改革に挑戦する、「真のグローバル企業」のモデルケースとなりうる道が開けることを信じて立ち上がること。

私の呼びかけに応じて行動を起こそうと考えてくれる人の為に、こののウェブサイトを立ち上げました。このサイトに応募してくれることで、我々の声の大きさを日本の、そして世界の人たちに、そして誰よりもウッドフォード氏に伝えたいと思います。現役の従業員の方はもとより、OBも歓迎いたします。出来れば実名で、もしそれが難しければ匿名で、応募欄に記入をお願いします。またその前に納得するために私に対して質問があれば、出来る範囲でお答えするQ&Aのセクションを併せて設けたいと思います。限られた知識と時間の中で始めたことゆえ、走り出してみていろいろな問題に直面するであろうことは容易に想像できます。でも「座して死を待つ」よりは、と思い、走り出しました。

手を貸してください。


ちなみにOlympus Grassroots公式Twitterアカウントによると、このサイトは11月10日からスタートしたようです。

◆FACTAの報道で幕が上がる
一番初めにオリンパス問題に切り込んでいったのはFACTAの2011年7月号でした。8月号でもオリンパスのことを取り扱っており、こちらはネットでも読むことができます。

オリンパス 「無謀M&A」巨額損失の怪:FACTA online


6月29日、東京・西新宿の京王プラザホテル南館で精密機器大手オリンパスの株主総会が開かれた。菊川剛会長(70)ら経営陣首脳は内心ハラハラしていたのではないか。
その5日前、本誌が5項目の詳細な質問状を送ったからだ。広報部から総会直前に電話で「M&Aについて必要な情報開示はしている。それ以上、申し上げることはない」という木で鼻をくくったような回答が届いた。その裏では株主質問が出たらどうするかと、想定問答集づくりに大わらわだったはずだ。が、議事進行はすんなり進み、会社提案の1~6号議案は無事可決された。
胸を撫で下ろすのはまだ早い。本誌はやらせ総会など目じゃない。調査報道のトドメはこれからだ。


◆10月14日のウッドフォード社長解任から10月26日の菊川会長退任まで
この時点ではまだ「FACTAの言っているM&Aってなんのこっちゃ?」と思っている人が多かったはず。しかし、すでにFACTAは数々の疑惑を押さえていたのだということが、あとから見るとわかります。10月14日に社長を解任されたウッドフォード氏が2011年10月15日・16日付けのフィナンシャル・タイムズ紙に語った内容は、FACTAの「やらせ総会など目じゃない」が本当だったことを裏付けています。

オリンパス、解任のウッドフォード氏が真相を語る 実態が分からないケイマン諸島の企業に消えた6億ドル


ウッドフォード氏の話では、彼はその後も問題を追及したが、彼が得た答えは曖昧で、具体性を欠いていた。同氏はいろいろ調べていく過程で、2008年の英医療機器メーカー、ジャイラスの買収に絡んだファイナンシャルアドバイザーへの多額の支払いについて懸念を抱くようになったという。

本人の話によると、ウッドフォード氏は、オリンパスが総額6億8700万ドル――22億ドルの買収金額の約3分の1に相当する額――を、同社が最終的な所有者を確認していない、ケイマン諸島に登記されている会社AXAMに支払ったことを発見した。「どんな基準で見ても、馬鹿げた金額だ」と同氏は主張する。

オリンパス前社長、解職は過去の買収を調査したためと主張-英FT紙 - Bloomberg

オリンパスが14日に社長を解任したマイケル・ウッドフォード氏が、解職の理由は4月の社長就任前の2006年と08年に同社が行った企業買収に関する調査を行ったためだと主張している、と15日付の英紙フィナンシャル・タイムズがインタビューを基に報じた。

ウッドフォード氏の解任を受けてオリンパスの株価は14日から急落。各証券会社は投資判断を引き下げていきます。

オリンパス、社長解任で相次ぐ評価引き下げ、野村証は目標株価39%カット/ 株式NEWS /モーニングスター

コスト削減やカメラ事業の構造改革への強い意志を示していたウッドフォード氏がトップから退くことで、各証券は今後の同社の収益へのマイナス影響を予想。また、今年4月に就任したばかりの同氏の解職という異例の事態に、会社の経営体質そのものへの懸念を指摘するアナリストもいる。

オリンパス株が09年5月来安値に、前社長解任で投資判断下げ相次ぐ - Bloomberg

投資判断を「買い」から「中立」に下げたゴールドマン・サックス証券の播俊也アナリストは、オリンパスの取締役会はウッドフォード氏の4月1日付の最高執行責任者(COO)就任以降の業績を高く評価し、10月1日に最高経営責任者(CEO)に指名した矢先の出来事だけに、「市場にとって大きなサプライズ」と15日付の投資家向けリポートで指摘。播氏は、CEOに復帰する菊川剛会長は記者会見の席上、「コスト削減は継続する」と述べたが、同会長のトラックレコードを考えると、「市場が今回の発言を額面通りに受け止める可能性は低い」との見方を示した。

17日にオリンパスは、これらの報道についてのコメントを発表しました。

オリンパス お知らせ:当社に関する一部報道について


マイケル・ウッドフォード取締役の代表取締役及び社長執行役員の解職について、一部、憶測等に基づく報道がなされておりますが、解職の理由は、これまでもご説明しております通り、他の経営陣との間に経営の方向性・手法に関して大きな乖離が生じ経営の意思決定に支障をきたす状況になったためです。また、すべてのM&Aは適正な手続き・プロセスを経たうえで会計上も適切に処理し、実施しております。

すべてのM&Aは適切に処理して実施=オリンパス | Reuters



しかし、もはやオリンパスの言葉が信用されるわけもなく、続報がどんどんと飛び込んできます。

オリンパスは英社買収の顧問料で調査を、当局が関心も-外部報告 (2) - Bloomberg

PwC報告書は支払い増大の要因として、ジャイラスの優先株を挙げている。優先株は顧問料の一部として08年に発行され、当初の評価額1億7700万ドル。しかしFA側の要請を経て、最終的には昨年3月にオリンパスが6億2000万ドルで、この優先株を買い戻した。
報告書は最終的な買収コストが極端に大きかったと指摘。「不適切な行為が行われたと確信することはできない」ものの、現段階ではその「可能性を排除できない」とコメント。この他にも違法性の有無に関する検討が必要な事項が多数あると指摘。その中には不正な会計処理や財務支援、取締役会の注意義務違反が含まれる、とした。

さらに、ウォールストリートジャーナルにウッドフォード氏のインタビューが掲載されます。これによると、ウッドフォード氏はFACTA7月号の記事を読んでオリンパスによる小企業3社の買収への疑問を持ち、菊川会長と森副社長に会ったものの「心配する必要はない」と言われたそうです。FACTAに記事が載るようになって、ウッドフォード氏は菊川会長らへの疑念を拭いきれなくなり、菊川会長と森副社長へ辞任を求める書簡を送っています。

【インタビュー】オリンパス社長解任劇の背景=ウッドフォード前社長 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

ウッドフォード氏は、中でもジャイラスの案件で、買収アドバイザー会社に対して支払われた、高額の報酬について懸念を感じたと述べた。 また同氏は、このアドバイザー会社についての情報が非常に少ないとも語った。
同氏は2週間ほど前にプライスウォーターハウスクーパースに依頼して、この買収について詳しく調査したという。同氏によると先週30ページの報告書がまとまり、本紙はそのコピーとされる文書を閲覧した。
この報告書で、プライスウォーターハウスは、「不適切な行為が行われたと確信することはできないが、現段階では不適切な行為が行われた可能性を排除することはできないと考えられる」としている。また虚偽の会計処理や取締役義務違反などの可能性も考えられると指摘している。

ウッドフォード氏は12日夜に菊川氏に対しこの報告書とともに、菊川氏と森氏の辞任を求める書簡を送ったという。
同氏が本紙に提供した書簡には、「現状に至ってはもはや擁護できない事態であることが明白であり、これから前向きに進む上での対策として、あなた方2人が取締役会から辞任することが必要」と書かれ、これらの買収案件における「非常に多くの悲惨な誤り、そして並外れてお粗末な判断力」の結果として、株主がショッキングな額の損失を被ったとされていた。
さらに、「もし、あなた方に辞任の意思がないならば、信認義務の下、私は当社のガバナンスに関して持っている基本的な懸念をしかるべき団体に提起することとなる」としていた。

オリンパスショックについてはとにかくFACTAが先行していましたが、10月20日に現代ビジネスが「疑惑の取締役会資料」をスクープとして公開しました。この記事は、前述のFACTA8月号に掲載されネットでも読める「オリンパス 『無謀M&A』巨額損失の怪」を書いた経済ジャーナリストの山口義正さんによるもの。

これが杜撰経営の核心!ほとんど価値のない会社を700億円で買収したオリンパス「疑惑の取締役会資料」をスクープ公開  火付け役となったジャーナリストが緊急寄稿 | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]



最初にウッドフォード氏のインタビューを掲載したフィナンシャル・タイムズはかなり厳しい論陣を張っています。

[FT]見て見ぬふりが招いたオリンパスの危機  :日本経済新聞

オリンパスをのみ込んでいる危機は間違いなく目を引く。説明不足の巨額損失が絡んでおり、企業の頂点で内紛が勃発するという全く日本らしからぬ事態になっている。先日解任された英国人前CEO(最高経営責任者)は、同社の活動に関する証拠書類を英重大不正捜査局(SFO)に提出した。コンセンサス経営も、もはやこれまでだ。

ウォールストリートジャーナルは実際に買収された3社に取材を行っています。

オリンパス、国内3社の買収総額は734億9000万円 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

3社がオフィスを構える都内の何の変哲もないオフィスビルをのぞいてみると、それら企業と親会社とがいかにかけ離れているかかが分かる。

3社の経営幹部は取材に応じ、突然会社が注目を浴びることになり驚いているとし、メディアに対して話をするのは今回が初めてだと述べた。3人の経営幹部は連れだって取材の場に現れ、笑いながら自分たちを「兄弟」と呼んだ。3人はいずれもオリンパスの買収後に入社したため、買収の詳細は分からないと述べた。
また、オリンパスの主力事業であるカメラや内視鏡などの事業と、彼らが手掛ける老化防止クリームやプラスチック製食品容器の製造事業の間に大した相乗効果があるともみていない。
ニューズシェフの林幸一郎・業務部長は、今回の件について「違う世界の話という気がする。一般のお客にオリンパスの子会社だと伝えても業務が関係ないのであまり意味がない」と述べた。

どんどんと事実が明かされていく中で、ウッドフォード氏は身の安全の不安を感じ、ロンドン警視庁に保護を求める意向を明らかにしています。ちなみに、ウッドフォード氏はオリンパスの疑惑を報じた経済ジャーナリストに、身の安全に気をつけるようにと人を介して助言していたそうです。

再送:「身の安全に不安感じる」 オリンパス<7733.T>前社長、警察保護求める意向 | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters

マイケル・ウッドフォード前社長は20日、2008年頃に同社が関わった最低4件の買収案件絡みで不透明かつ巨額の支払いが明るみに出て以降、身の安全に不安を感じているとし、警察に保護を求める意向を明らかにした。

そして、ついに株主が動きます。

オリンパス株主の米投資会社が会社側に調査要求 - SankeiBiz(サンケイビズ)

オリンパスの株主の米投資運用会社ハリス・アソシエーツは20日、オリンパス取締役会に対し、解任されたウッドフォード前社長が不明朗と指摘している買収案件について、詳細の説明を求める手紙を送ったと発表した。
英医療機器メーカーを含む最近の案件について、買収金額の決定方法や、意思決定に誰が関わったかなどを尋ね、第三者が検証するよう求めた。

ブルームバーグのコラムニスト、ウィリアム・ペセック氏はこの騒動を「オリンパス・ショック」と表現。日本の企業文化を痛烈に批判しています。

【コラム】「オリンパス・ショック」は世界の反面教師-ペセック (1) - Bloomberg

日本のコーポレートガバナンス(企業統治)は不十分であり、厳しい監視が必要だ。日本企業の取締役会では議論が白熱することはまれだ。その理由の一端は、あ然とするほどの高額を得ている米国人ほどの報酬を日本企業の役員が得ていないからだ。株主は役員は頭が良く、日本株式会社のために全力を挙げていると思っている。だから株主が厳しい質問を浴びせかけることもほとんどない。

一方、当事者のオリンパスはというと、ウッドフォード氏が内部文書を外部に流したとして法的措置に出ようとしました。ウッドフォード氏はこれを「望むところだ」と受けています。

本誌独占インタビュー マイケル・ウッドフォード・前オリンパス社長 「私に法的措置? 望むところだ」 ──「週刊ダイヤモンド」10月29日号より特別先行公開|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン


オリンパスは、私が社内文書を外部に流したとして法的措置に出ると言っている。
望むところだ。ぜひともロンドンの裁判所に来てくれ。それによってさらに公衆の知るところになる。だが、より大切なのは、日本の司法が動き出すことだ。もしなにも起きないのであれば、日本という国自体がおかしいということになる。

10月26日、渦中の菊川会長兼社長が退任し、高山専務が社長に就任しました。

オリンパス、菊川会長兼社長が退任 社長に高山氏  :日本経済新聞

菊川氏は26日、辞任理由について「(14日の)社長交代に端を発する一連の報道や株価の低迷などで、顧客や株主などに迷惑をかけている。今後の信頼回復への取り組みを新しい体制で推進すべきと判断した」とのコメントを発表した。


◆「損失先送り(飛ばし)」の判明
11月になっても新たな事実がどんどんと出てくる中で、3社の買収仲介者がバブル期の「損失先送り(飛ばし)」に関与していた人物であることが判明。

オリンパス買収仲介者は80年代から関係、「損失先送り」に関与=関係筋 | Reuters

同氏はバブル期の80年代には一般事業法人に財テクを指南。その後、1990年の日経平均株価の暴落をきっかけとするバブル崩壊で、財テクにのめり込んでいた企業が一挙に損失を抱え込むことになると、損失の表面化を避ける「損失先送りスキーム」の組成に携わり、企業に持ち込んでいた。
同スキームは、投資損失が出た有価証券を決算期の違う別の企業やファンドに一時的に売り渡すなどのテクニック。政府は1992年の証券取引法改正で証券会社が顧客企業の投資損失を埋め合わせる「損失補てん」を禁止したが、損失先送りスキームが「損失補てん」とみなされるかどうかはその内容によって決まるため、「取引のグレーゾーン」(外資系証券幹部)として、90年代には損失計上を避けたい日本企業が多用し、内外の証券会社が企業に提供していた。

そして、オリンパスが買収資金をこの損失先送りに利用していたことを認めます。

オリンパスが買収資金を損失先送りに利用、含み損穴埋め認める | Reuters

ちなみに、買収仲介者のうちの1人は所在が不明になっていることが11月9日に明らかになっています。

オリンパス疑惑の中心人物、所在不明に - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

企業買収に関するオリンパスへの助言で、同社から異例に高額の報酬を受けたとされる2社の1つ、アクシーズ・アメリカを設立した佐川氏については、その実像が徐々に明らかになる一方で、不明な点も多い。
ウォール街の元バンカーの同氏がどのようにしてオリンパスと深く関わるようになったのか、2社(同氏はもう1社のアクザム・インベストメンツのディレクターも務めていた)に支払われたという6億8700万ドルをどう処理したのかもまだはっきりと分かっていない。さらに、同氏が現在、どこにいるかも不明である。

損失隠しが判明したことで、森久志取締役副社長は解任され、山田秀雄常勤監査役は辞任。

【オリンパス損失隠し】損失隠し関与の森副社長を解任 山田監査役も辞任 - MSN産経ニュース




NHKの時論公論でもオリンパス・ショックが取り上げられました。この中で下境博解説委員は、このような問題はオリンパス以外にも起こりえることを指摘しています。

時論公論 「オリンパス "粉飾決算"の衝撃」 | 時論公論 | 解説委員室ブログ:NHK


オリンパスのような問題はどこの企業でも起こりえるということです。
かつてのバブル崩壊や金融危機の負の遺産を引きずっている企業が決して少なくないからです。
バブル崩壊や金融危機から立ち直ったかに見える企業でも依然、負の遺産に苦しんでいるならば、適切な会計処理と情報開示を行う必要があるでしょう。

オリンパスがバブル崩壊時に抱えた損失は1000億円近くにもなりましたが、2000年の会計基準変更前に飛ばしを行い、特別損失として計上したのは約170億円のみでした。

オリンパス、新会計基準の前に「飛ばし」 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

01年3月期決算から会計基準が変更され、株式などの金融商品を取得時の値段である帳簿上の価格(簿価)で記入する方式から、その時の市場価格(時価)で表示する方式に改められた。これにより、同社は多額の含み損を一括処理する必要に迫られた。
ところが、同社は、この新方式の導入を見越して、00年3月期の有価証券報告書で、1000億円近くにのぼるとされる損失のうち、約170億円のみを特別損失として計上。そのほかの損失は記載せず、飛ばしなどの手法で先送りした疑いがあるという。

裏でバブルの後始末…オリンパス巨額損失隠し : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

国内3社は、高値で買収して、いったん多額の費用がかかったことにしておき、翌年に企業価値が下がったとして、減損処理をした可能性がある。これによって「投資による損失」が「企業価値を見誤ったことによる損失」に入れ替わった。

バブル期にオリンパスの社長だった下山敏郎氏は日経新聞の取材に対し、損失隠しがあったかどうか記憶にないと回答。

オリンパス下山元社長、損失隠し「記憶にない」  :日本経済新聞

社長に対して財務に関するすべての報告が来るわけではないし、記憶にない。あったとすれば財務部門がやったのではないか。当時は岸本正寿氏(93年~2001年の社長)が財務担当(の役員)だった。私は営業畑で、財務の細かいところは聞いていない

監査法人もこの損失隠しには気付いていたのですが、2009年にこの不正を指摘したあずさ監査法人は解約されていました。買収問題に疑問を持ったウッドフォード氏が解任されたのと同じ図式だったわけです。

asahi.com(朝日新聞社):不正指摘した監査法人解約 オリンパスが09年 - ビジネス・経済

◆今後のオリンパス

その後の調べで、オリンパスの損失隠しはピーク時には1300億円規模になっていたことが発覚。
オリンパス2段階で損失隠し 最大1300億円に拡大 - 47NEWS(よんななニュース)
11月10日、とうとうオリンパスの株式は監理ポスト入りしました。ロイターでは、内視鏡事業は欲しがる企業があると見ていますが、一方でカメラ事業は不振であり、今回の事件でオリンパスのブランドイメージがかなり損なわれていることを指摘。ウッドフォード氏が社長に戻ることで、確かな技術力を持って企業再建の可能性もあるとしながらも、先行きは不透明であるとまとめました。

オリンパス待ついばらの道、内視鏡狙う買収やカメラ切り離しも | Reuters

ちなみに、ロイターの記事は11月11日のもので「上場廃止が濃厚」という見方をしていますが、本日付のブルームバーグは上場廃止を回避できるという見通しが強まっているという市場の傾向を伝えています。

オリンパス株がストップ高買い気配、上場廃止を回避可能との見方(1) - Bloomberg

オリンパスが中から変わっていくことができれば、今回のように日本の企業風土のダメな部分がすべて出たような事件はもう起きないはず。上場廃止が回避できれば、新生オリンパスとなることができるかもしれません。第三者委員会の調査報告は12月上旬に出る予定です。

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in コラム, Posted by logc_nt