取材

南スーダンでも誤解を受けていた日本の「トイレバイク」


こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。2011年7月、世界で一番新しい国家になる南スーダンが誕生しました。これは同年1月に実施されたスーダンからの分離独立の是非を問う住民投票の結果を受けてのことです。この南スーダンの新聞を、隣国であるウガンダの首都kampalaで手に入れました。「Abyei(アビエイ)」や「東アフリカ共同体」と、気になる単語がならびます。そして日本でも騒がれた「トイレバイク」が紙面を賑わせていました。しかも、誤解されているようです。

世界で一番新しい国家の南スーダンはこちら。

大きな地図で見る

ウガンダの首都Kampalaの中心部を歩いていると、びっくりするものが目に飛び込んできました。路上の売り子が販売している新聞の一つに南スーダンの文字がありました。

新聞の名前は「ACTIVE NATION」、表紙はリビアのカダフィ大佐が飾っています。


SOUTH SUDAN NEWSという南スーダンの表記が目を引きます。


「Kampalaになぜ南スーダン?」と首をかしげましたが、新聞内にKampalaと南スーダンの首都Jubaを結ぶバス会社の広告がありました。Kampalaから南スーダンまでは直線距離で約500kmほどなので、陸路で南スーダンへ向かう中心だったのです。


興味があったので、1500ウガンダシリング(約50円)で一つ買ってみました。新聞は南スーダンの公用語である英語で書かれているので簡単な内容なら分ります。

その南スーダンの新聞では何が取り上げられているのか見出しを紹介していきましょう。

「Gaddafi Dead; Who Pulled the Trigger(カダフィ死す; 誰が引き金を引いたのか)」。表紙をめくった三面を使って亡くなったカダフィ大佐が大々的に取り上げられています。


「Give them deadline" South Sudan urge IC over Sudan's withdraw from Abyei(彼らに最終期限を"南スーダンは国際社会を通してスーダンがアビエイから引くように主張する)」。スーダンから南スーダンが独立してもなお、アビエイと呼ばれる地域の帰属はどちらになるのか決まっていません。


「USA,Russia vow to support South Sudan in Military Defense(アメリカ、ロシア、南スーダンへの武器輸出を明言)」。南スーダンへの武器輸出をめぐって、アメリカ、ロシアと主導権をめぐる駆け引きが繰り広げられています。


「South Sudan readies to join East African Community(南スーダンは東アフリカ共同体参加への用意をしている)」。南スーダンはケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジの5カ国で構成される東アフリカ共同体(EAC)への加入を考えているようです。このEACは、ヨーロッパにおけるEU型の地域統合を目指しています。


アフリカ内のニュースを扱うAFRICAN NEWSの項目は欠かせません。

「Kenya troops advance into somalia near Afmadow Al-Shabaab threatens Kenya revenge attacks(ケニア軍はソマリア国内のAfmadow近くまで進攻した。
アル・シャバブはケニアでの報復テロを警告)」。ソマリアの武装組織アル・シャバブはケニア国内に侵入しテロ攻撃や外国人誘拐を繰り返していました。こうした状況からケニア軍はアル・シャバブが支配するソマリア南部へ軍隊を進攻させます。ケニアに滞在中はこのソマリア進攻のニュースが否応なしに耳に入りました。


「Liberia vote: Prince Johnson backs President Sirleaf(リベリア選挙:プリンス・ジョンソン候補がサーリーフー大統領への支持を表明)」。西アフリカリベリアの大統領選挙において一回目の投票で過半数を占めた候補者が出ず、上位二名による決選投票に持ち込まれました。一回目の投票で三位の得票率だったプリンス・ジョンソン候補は決戦投票へと進む現職のサーリーフー大統領の支持を表明します。


裏表紙はSPORTSが一面を占めていました。アーセナル(イングランド)やバルセロナ(スペイン)といったヨーロッパのサッカーはアフリカでも人気があります。


SUDOKU PUZZELS(数独)もありました。


広告にも注目してみましょう。

SOUTH SUDAN HOTEL、空港までの送迎、発電機を備えた24時間の電気供給、ランドリーサービス、セーフィティーボックス、Wi-Fiサービスと立派なホテルです。


JIT SUPERMARKET、アフリカによくある輸入品で占められていて、その商品が日本より高いというスーパーマーケットでしょう。何でも揃っていそうなのですが。


アフリカ以外のニュースも紹介されています。そこにJapanの文字がありました。

「Obama Look Alike Famous in Indonesia(オバマ大統領のそっくりさんがインドネシアに)」。オバマTシャツ、オバマサロン、オバマモーテル、オバマキーホルダーとアフリカでのオバマ人気はとどまることを知りません。なので、オバマネタは新聞でも使っていきたいのでしょう。インドネシアのオバマさんとは彼のことでしょうか。


Google画像検索で調べてみるといっぱい画像が出てきました。

Google画像検索「Ilham Anas bares」の結果はコレ



そしてそして……「Bike That Runs on Feces Unveiled in Japan.(日本で、うんちで走るバイクが登場しました)」


これは日本でも騒がれたみたいですね。

座席は便器、トイレバイク登場 TOTOが節水型をPR



記事の一部を訳してみました。

Recently it was announced that a scientist had created a way to turn human feces into edible "meat."
つい先日、科学者によって人間のうんちを有効に利用する方法が発表されました。

big thing , Japanese toilet maker "TOTO" has created the Toilet Bilke Neo, a bike that runs human waste.
日本のトイレメーカー"TOTO"によって作られたトイレバイクネオは人間のうんちで走ります。

Whatever method it requires, the fecal matter is converted into biogas which powers the bike.
何であろうとバイクのエネルギーとなるにはうんちがバイオガスに変換されることが必要とされます。

と明らかに誤解されています。

全文はこちら


TOTOでは「トイレバイク ネオはライダーのうんちで走れるわけではありません」とホームページに注意書きがあります。

TOILET BIKE NEO



『トイレバイク』誤解で反響…米サイト『人糞が燃料』と紹介」……と世界を騒がせた「トイレバイク」、なんと南スーダンにまで誤解が広がっていました。


この南スーダンの新聞であるACTIVE NATIONはホームページもありました。

ACTIVE NATION



日本にいると考えもしませんが、こうして外国の新聞をみてみるのも面白いものです。それが、世界一新しい国家であったらなお更でしょう。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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