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解約したiPhoneにiOS 5をインストールしようとすると使用不能に、復元も不可


読者からのタレコミによると、解約したiPhone 3GSを「iOS 5」にアップグレードしようとすると工場出荷時の状態にリセットされてしまい使用不可能に、さらに元に戻すために復元しようとしてもまったく戻せなくなり、iPhoneが何もできない高級な文鎮に成り下がる、とのこと。解約した状態でも無線LAN経由であれば普通に使えていたiPhoneが使えなくなるというのは非常事態であるため、実際に何が起きるのかを編集部のiPhone 4で検証してみました。

◆iOS 5をインストール

今回実験台になるのは編集部所有のiPhone 4。さまざまなアプリをレビューするのに使った、もはや戦友(とも)と呼べる存在です。


SIMカードは通信会社からの貸出扱いになっているため、基本的に解約した場合は返却しなくてはなりません。そこで解約した状態を再現するため、SIMカードをiPhoneから取り出すことに。カードを取り出すには専用の器具か、クリップを伸ばして棒状にした物を使うと公式にアナウンスされていたので、今回はクリップで挑戦。


iPhone 4の右側面にある穴にクリップを差し込み、ぐっと力を入れると格納されているトレイが飛びだしてきます。


SIMカードを取り出すのに成功。


SIMカードを抜き、トレイを本体に戻して準備完了。


起動させると「SIMカードが挿入されていません」というアラートが表示されます。


SIMカードが入っていた時には「SoftBank」と表示されていたところは「SIMなし」に変化。これでこのiPhoneは解約してSIMカードが無い状態を再現できました。3G通信ができないだけで、無線LAN経由であれば普通に通信もでき、アプリも起動し、なんでもできます。要するに「iPod touch」と同じ状態です。


下準備は整ったので、iOS 5をインストールしていきます。iPhoneをPCに接続すると自動的にiTunesが立ち上がり、このウインドウが出るので「ダウンロードして更新」をクリック


インストールと同時に、本体側の設定のバックアップを取るかどうか尋ねるウインドウが現れるので、「更新」を押します。


利用規約を読んだら「同意する」をクリック


これでインストールするための操作手順は完了、あとは待つだけ


と思いきや、10分近く待ったにも関わらず、iOS 5をダウンロードするのにかかる所要時間がみるみる増えていきます。


ゲージが増えたので身を乗り出したのですが、待ち時間はかえって増えています。ついに80分に到達しました……。


20分近くやきもきしていたのですが、何らかの峠を越えたのか残り時間の数値が正常に減り始め、OSのダウンロードとiPhone 4へのインストールが終わりました。かかった時間は約1時間50分でした。


滞りなく進んでいるように見えたのですが、iOS 5が端末にインストールされると突然「工場出荷状態に戻します」という内容のアラートが出て、止める間もなく3秒後には再起動がかかり、気づけばこんな状態に……。勝手に生まれ変わってしまったiPhone 4は日本語表示すら忘れ去り、完全にまっさらな状態になってしまったようです。


ひとまず端末側で何とかしてインストールを終えられないか試していきます。まずは使用する言語の選択。


位置情報サービスをオンにするにチェックを入れます。


無線LANのパスワードも当然ながらきれいさっぱり忘れています。手打ちで入力して「次へ」をタップ。


「iPhoneをアクティベート」という項目が登場し、ロードが始まりました。行けるか……?


しかし無情にも「取り外してSIMカードを挿入してください」というメッセージが表示され、ここで詰まってしまいました。何度「Try again」というボタンをタップしても、「Activation Failed(アクティベーションに失敗しました)」というメッセージが繰り返し表示されるのみ。


まだだ! まだ終わらんよ!と再度PCに接続し、先ほど取ったバックアップデータからの復元を試みたところ、見慣れない画面に遭遇。「アクティベーションを行おうとしているiPhoneにはSIMカードがインストールされていません」と表示されています。


通常であれば下記のような画面が表示され、バックアップデータを端末に入れるための「復元」ボタンが表示されるはず。それが表示されないということは、SIMカードなしではPCとの接続まで遮断されてしまうということになります……。ここで自力での復旧作業は完全にストップ。お手上げです。iOS 5をインストールする際に「バックアップ」されていたはずなのですが、そのバックアップから復元して元に戻すことすらできない状態に。


こうしてこのiPhoneはホーム画面すら開けない状態になり、しかも元の状態に復元することもできず、電話もメールもアプリもカメラも使えない、ただのハイテク機器を詰め込んだ文鎮に成り下がりました。めでたし、めでたし。涙でかすんで前が見えません。


◆SoftBankへの問い合わせ
まずは販売元のSoftBankのiPhoneテクニカルセンターに問い合わせました。下記がオペレーターに受けた案内の要約です。


GIGAZINE(以下、G):
iPhone 4のOSをiOS 5にアップグレードしようとしたのですが、「SIMカードを挿入してください」という画面が出てしまってインストールが完了しないのですが、この状態はどのようにしたら解消するのでしょうか?

SoftBank・iPhoneテクニカルセンター(以下、SB):
SIMカードの刺さっていない状態では、OSアップグレード後のアクティベーションは不可能となっています。

G:
では、再び回線を契約し直すなどして、SIMカードの調達をユーザーが行う必要があるということですか?

SB:
さようでございます。ただ、SIMカードを端末が認識していることがアクティベーションの条件となりますので、3G回線のご契約が必須ということではございません。

G:
「SIMカードを挿さないとアクティベーション不可」という現象は、海外で販売されているiPhoneでも起こるのですか?

SB:
日本国内で流通しているiPhoneは独自仕様となっておりますため、日本のiPhone端末固有のものです。

G:
この現象について、おそらく他のユーザーからも問い合わせが来るのではと思われますが、今後御社のサイトや孫社長のTwitterなどで公表されるご予定はありますか?

SB:
解約の時点でお客様に口頭にて「ご解約後の正常動作は保証しかねます」とのご説明を差し上げていますため、解約されたお客様からのお問い合わせには本来対応しかねるところがございますため、今後何らかの発表を行うことは予定しておりません。

G:
ちなみに、その解約時の説明について、御社のサイトなど確認できるところに記載されているのでしょうか?

SB:
そのような記載はございません。

G:
iPhone 4が発売されていた当時、iPhoneを販売していたのは国内でSoftBankただ1社だったわけですが、それでもなお「現在」御社との契約を結んでいない場合はサポート対象外となってしまうのでしょうか?

SB:
さようでございます。大変申し訳ございません。このことは改善事項として報告させていただきます。

◆Appleへの問い合わせ

次にAppleのテクニカルサポートに問い合わせ。やりとりは下記の通りです。


G:
SIMカードを挿さずに国内で販売されたiPhoneをiOS 5にアップグレードしようとしたところ、工場出荷状態に戻った上にインストールが完了しなくなり、iPhoneとしては使い物にならなくなってしまったのですが、これはAppleでも認識されている現象なのでしょうか。

Apple(以下、A):
はい、国内向けiPhoneのOSアップグレードをSIMカードなしで行いますと、先ほどおっしゃられたような状態となることは認識しております。

G:
では、どうにかしてSIMカードを調達しなければインストールが完了しないということでしょうか?

A:
はい、そうなってしまいます。国内向けのiPhoneは、SIMフリーではないため、SIMカードのある状態でないとインストールが完了しない仕様になっております。また、iPhone 4の場合はSoftBankさんのSIMカードでないと認識しない仕様となっております。

G:
この現象について、他のユーザーからの報告はありましたか?

A:
いえ、お客様が初めてとなっております。

G:
こういった状態に陥ったiPhoneをAppleに持ち込めば復帰していただけたりはしないでしょうか?

A:
大変申し訳ございませんが、SIMカードがないと動作しない仕様となっておりますので、こちらでは復帰させることは難しいです。

G:
今回起こった現象、つまりSIMカードがない場合iOS 5のインストールが完了できず本体が動作しなくなるということは、御社のサポートページなどに表示される予定はありますか?

A:
はい、サポートページに随時追加していきます。現在は動作確認のため、調査中という段階となります。

◆まとめ


まとめると、解約済みでSIMカードのないiPhone(確認した限りではiPhone3GSとiPhone 4)を「iOS 5」にアップグレードすることはできない、ということです。機能しなくなったiPhoneを救うためにはSIMカードが必要になり、主に以下の3つの方法で入手できます。

その1:ソフトバンクモバイルにお金を払って再度回線契約を行う
その2:周囲の誰かからSIMカードを借りる
その3:ネットオークションで売られているSIMカードを購入する
その4:ダミーのSIMカード「アクティベートカード」などを購入する


また、SIMカードを自力で調達する際に気をつけなければならないのは、iPhone3GSとiPhone 4はそれぞれSIMカードの形が異なるという点。自分の手持ちのiPhoneと同じ種類のiPhoneのSIMカードを調達しないと労力がムダになってしまいます。

なお、現時点ではソフトバンクモバイルはこの件についてサイト上で公式な発表やアナウンスを一切する予定はなく、Appleはサポート扱いでサイトに情報を掲載することは考えているとのことです。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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