取材

驚くほどの小型、はやぶさの実物大イオンエンジン模型


「CEATEC JAPAN 2011」のNECブースに、小惑星探査機はやぶさで使用されたマイクロ波放電式イオンエンジンの実物大模型が展示されていました。

上の写真で撮影者が手に持っているiPhone 4と比べると分かるとおり、実際のイオンエンジンは極めて小型です。この小さなエンジンが、はやぶさを無事小惑星イトカワに着地させ、延べ4万時間超の稼働で大気圏再突入を実現したという事実に改めて驚かされます。


はやぶさ、7年間の旅 | NEC

CEATEC JAPAN 2011のNECブース。


はやぶさ関連の模型が展示されています。


これは2000分の1スケールの小惑星「イトカワ」。


中央部からやや右寄りの位置にはやぶさが着地しています。


そしてこれが「マイクロ波放電式イオンエンジン」の実物大模型です。


iPhone 4とのサイズ比較。かなり小型のエンジンであることが分かります。


こちら側からマイクロ波電力を供給します。


そしてこちらがスラスター。


スラスター上部には中和器が設置されています。


はやぶさ実機にはこのイオンエンジンが4基取り付けられ、3基ずつ運用が行われました。


模型展示の横では、スクリーンではやぶさの偉業と機能が紹介されています。


小惑星探査機として多くの機能を備えたはやぶさですが、実際のサイズは1m×1.6m×2m、重量510kgで、軽自動車よりも小さく軽い機体でした。


その燃費の良さではやぶさの航行を支えたイオンエンジン。どのくらいの燃料が積まれていたのでしょうか。


はやぶさに積まれた燃料はキセノンガス約50kg。これで7年もの間、はやぶさは宇宙を旅しました。


NECは1970年に日本初の人工衛星「おおすみ」を開発して以来、40年以上にわたって人工衛星などの技術開発に携わって来ました。


はやぶさは2003年5月9日に打ち上げられ、同9月12日イトカワに到達、9月から10月まで科学実験を行い、11月にイトカワにタッチダウンしました。


その後一時通信が途絶したはやぶさでしたが、2006年1月23日、通信が復活。3月に通信制御が復活しますが、2009年11月にはイオンエンジンが寿命停止します。A、Bエンジンの作動可能な部分の組み合わせによりなんとか運転を再開し、2010年6月13日、ついに地球へと帰還しました。


はやぶさが着地した小惑星イトカワは、地球から約3億km離れた位置にある直径約500mの物体でした。


これに到達するというのは、JAXA関係者のメッセージによると、東京からブラジル上空の蚊を射止めるような的の小ささとのこと。着陸の難しさを例えるなら、ジャンボジェット機でグランドキャニオンの谷間に着陸するほどの難事だそうです。


NECの公式サイトには、はやぶさ帰還1周年を記念して、その開発と運用の軌跡をたどる特設ページが開かれています。

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in 取材,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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