メモ

オンラインバックアップで転送量制限をオーバー、男性が回線停止処分に

by The_Jorr

アメリカの大手ケーブルテレビ会社であり、プロバイダでもあるコムキャストが、シアトルに住む男性に対して回線停止の処分を行いました。男性はオンラインバックアップサービスを利用しており、「2ヶ月連続で規定転送量をオーバーしないこと」と定めた規約を1年にわたって破っていたそうです。

Comcast Bans Seattle Man From Internet for His Cloudy Ways | WIRED
https://www.wired.com/2011/07/seattle-comcast/

シアトルに住むゲームコンサルタント、Andre Vrignaudさん(39)はコムキャストから「データ転送量をオーバーしすぎている」という警告を受け、回線停止処分を受けました。彼はコムキャストの「2ヶ月連続で250GB以上転送してはならない」という規約を1年にわたって破り続けていました。


「モデムのランプが2つ点滅していたから、おかしいと思ったんです」と語るVrignaudさんは「もしも僕がSkypeVoIPサービスに依存していたら……ぞっとしますね」と続けました。

最初にモデムのランプが点滅したとき、Vrignaudさんは何が問題なのかと考えました。最初はルーターの電源を落として再起動、続いて、ルーター経由で同じ回線を使用していたルームメイトに、YouTubeNetFlixPandoraのような転送量が多くなるサイトの使用を控えるように頼みました。その一方で、Vrignaudさんはコムキャストが原因だとは思いませんでした。

ちょうど最近、VrignaudさんはオンラインバックアップシステムをMozyからCarboniteに切り替えました。これはMozyがバックアップ容量無制限のサービスを取りやめるためで、Carboniteは容量制限なしで、ユーザーのアップロード量に応じて転送速度を調節するシステムを採用しています。

Vrignaudさんはハードコアなギークで、Xbox 360やXboxLiveの良さを広めるため、クラウド上に多くのデータを共有していました。また、音楽をFLAC形式でリッピングして、12TBのRAIDサーバーに置いていました(その12TBがぎっしりだったわけではないとのこと)。さらにアマチュアカメラマンでもあるVrignaudさんは、写真のRAWデータ(1枚あたり10MBほど)を大量に保有。これらのバックアップを取っていました。さらに、ちょうど7月初頭から容量無制限になったAmazon.comのクラウド型音楽サービス「Cloud Drive」に手元のコレクションをばんばんアップロードしていました。

先月はBitTorrentを使用したことも認めたVrignaudさん。しかし、これはあくまでアメリカでは見ることができない、イギリスのSF番組を何本かダウンロードしただけだと語っています。

そんなVrignaudさんに回線停止処分を下したコムキャストは、彼が速度は遅いものの転送量が無制限になるビジネスプランへ切り替えをしないからだと主張。Wired.comの取材に対して「Vrignaud氏は自らの帯域をコントロールしなかった過失がある」と語りました。

コムキャストのCharlie Douglas報道担当によると、この250GBの転送量制限は、P2P制限をしないという前提で2008年10月に導入されたもので、Vrignaudさんのようなユーザーが隣人に影響を与えないように設定されたもの。コムキャストユーザーの月毎転送量の中間値は4GB~6GBだそうで、「我々から言えることは多くはありません。Vrignaud氏には規約を繰り返し読んでもらい、もしも6ヶ月以内に再び規約を破るようであれば、アカウント停止処分にする。それが我々の方針です」と語りました。

ケーブルを利用したインターネットでは、ケーブルは共有物で、多数のデータ転送があるほど全体のスピードは遅くなります。アメリカでは夜になると回線が非常に遅くなるそうですが、これは多くの人が娯楽のためにネットに接続するため。これに対応するため、コムキャストではDOCSISのバージョンを上げるなどして速度向上に努めてきました。

Vrignaudさんらは、コムキャストは転送量制限をかけることで、コムキャスト本来のコアビジネスであるケーブルテレビ事業をNetFlixやHuluから守っているのではないかと考えています。彼は現在、隣人のアクセスポイントやネットカフェを使って仕事をしています。ただし、この回線もコムキャストのもの。大手通信会社であるベライゾンもシアトル近くまで光ファイバーを敷設しているのですが、コムキャストのフランチャイズによって市内展開を阻止され、このエリアでの展開を諦めたそうです。

このままコムキャストに降参するつもりはないというVrignaudさん。今後、政治家や規制当局への嘆願も視野に入れており「本当に悪い会社が改善を求められていない状況に失望している」と語っています。

一方のコムキャストは「テラバイト級のバックアップが必要な人々は、自分が回線をどの程度消費しているのか、もっと注意深くマネジメントするべきだ」とコメントしています。

ちなみに日本では2008年の時点でプロバイダの4割がヘビーユーザーの帯域を制限していました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
転送量をリアルタイムにグラフ化し、あらかじめ設定した転送量を超えそうになったら教えてくれるフリーソフト「NetWorx」 - GIGAZINE

インターネット全転送量の3分の1はBitTorrent - GIGAZINE

海外の安い専用サーバプランをいろいろ並べて検討してみた - GIGAZINE

KDDIやGoogleなどが日米間の光海底ケーブルを敷設、YouTubeの転送量増大の影響も - GIGAZINE

各社が規制する中、「UQ WiMAX」は帯域制限を行わないことを社長がムービーで直々に明言 - GIGAZINE

in メモ, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.