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映画や漫画に頻出する知っておきたいアイルランドの神話や伝承トップ10

by Alejandra Mavroski

アイルランドと言えば神話や伝承の宝庫ですが、「ハリー・ポッター」シリーズなどの現代の映画や、「ベルセルク」などの漫画、神話を題材にしたゲームなど、ファンタジーを扱う作品にはさまざまな形で取り込まれ、欠かせないものとなっています。そんな中で、元ネタとして特に知っておきたい最も広く知られているアイルランドの神話や伝承のトップ10は以下から。

Top 10 Irish Myths and Legends | Top 10 Lists | TopTenz.net

10位:バンシー(banshee、bean sidhe)


バンシーは人の死を予告する女の妖精で、ぼろきれを着た老女の姿や、美しい少女の姿、あるいは血まみれの服を洗う女の姿で現れるとされています。バンシーの泣き声が聞こえた家では近いうちに死者が出るとされ、伝承ではケルト神話の英雄クー・フーリンの死を予言したともいわれています。

9位:プーカ(Puca, Pooka, Phouka, Puka等。 Glashtyn, Gruagach)


プーカはアイルランドやウェールズの農村などで信じられた妖精で、主に黒馬の姿で現れるとされます。プーカが現れると、運が良ければ農場の柵などを壊されるだけで済みますが、運が悪いと、家人が外に誘い出されてプーカの背に乗せられ、どこかへ連れ去られるか殺されると伝えられています。また、このプーカが元になり、いたずら者の妖精パックが生まれたと考えられています。

8位:取り替え子(Changeling)


伝承では、妖精やエルフ、トロールたちは、時に醜い子供を産むことがあるとされ、「取り替え子」は、そうして生まれた醜い子供と人間の子供がすり替えられたものとされます。取り替え子の代わりに連れ去られた実子を取り戻すためには、取り替え子に辛く当たると良いとされ、しばしば奇形児や知的障害児が取り替え子と疑われ、悲惨な扱いを受けたこともあったと言われています。取り替え子を扱った作品として、ウィリアム・シェークスピアの戯曲「夏の夜の夢」がよく知られています。漫画「ベルセルク」の登場人物であるパックは、この作品に登場する妖精のパックから名付けられたようです。

7位:ダグザのハープ


ダグザはケルト神話に登場する「ダーナ神族」の最高神で、知識、大地、豊饒を司り、美しいハープを持っているとされます。ある時、ダグザのハープが敵の部族に盗まれた時、ダグザは単身敵の城に乗り込みます。ダグザがハープを呼ぶとハープはダグザの手に戻り、ダグザがひとつめの和音を奏でると、城の兵士は悲しみに包まれて号泣し、次に和音を奏でると大笑いし、最後に奏でた和音で深い眠りに落ちてしまい、ダグザは無事ハープを取り戻し、敵の城から脱出できたという神話が伝わっています。


6位:リルの子供たち


リルは海の神で、4人の子供を持っています。彼は、妻が死ぬと、妻の妹と結婚しますが、新たな妻はリルの子供たちに嫉妬し、彼らを排除しようとします。新しい妻は、ある日子供たちを湖に連れて行くと、呪文を唱え、彼らを白鳥に変えてしまいます。白鳥に変えられた子供たちは、聖人のベルの音を聴くまで元の姿に戻れないとされ、後にアイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックのベルで初めてその姿を取り戻すことができたと言われています。

5位:聖パトリック


聖パトリックはアイルランドにキリスト教を広めた聖人で、ウェールズで生まれ幼少時に奴隷としてアイルランドに連れてこられました。牧場で働く内に神の声を聴き、脱走して、神学を学ぶためにヨーロッパ大陸に渡り、7年の修学ののち、残りの生涯をアイルランドへの布教に尽くしました。彼は死後しばらくの間、聖人として指定されておらず、人々の間から忘れられていましたが、後の宣教師たちが彼の物語を語るようになり、人々の間に再び聖パトリックの名前が知られることとなりました。

4位:シャムロック


クローバーなどの葉が3つに分かれている草を総称して「シャムロック」と呼び、アイルランドの国花とされています。キリスト教伝来以前から、ドルイド僧やケルトの人々などに聖なる力を持つ葉として扱われ、聖パトリックは「シャムロックの葉が3つに分かれているのは、三位一体を表しているのだ」として布教を行ったそうです。現在、3月17日は聖パトリックの日と呼ばれ、シャムロックを胸に飾るか、緑色のものを身につけて祝うようになっています。

3位:フィン・マックール


フィン・マックールはアイルランドの伝説にたびたび登場する戦士で、彼と鮭の伝説は世界中で広く知られています。フィンが師事するドルイド僧フィネガスは、ある時弟子たちに、食べると知恵が得られる知恵の鮭を調理させ、しかし決して食べてはならないと言い渡します。フィンは鮭を調理しますが、鮭を焼いている最中に油が跳ね、その親指についた油を舐めたため、それからフィンはあらゆる難題に立ち向かうたびに、親指を舐めると素晴らしい知恵が得られるようになったとされています。

2位:フェアリー


妖精というのは、世界中の神話や伝承に幅広く登場しますが、アイルランドの伝承では特に重要な意味を持っています。アイルランドのフェアリーは、人間の生活に極めて近いところにいるとされ、美しい姿で強い力を持ち、主に不幸を運んでくるとされ、ピーターパンのティンカー・ベルのイメージとはかなり遠いものとなっています。人の姿をとらないフェアリーも多く、鬼火のようなウィル・オ・ウィスプや、猫のケット・シー、川馬ケルピーなどもフェアリーの一種とされます。前述の「夏の夜の夢」には、妖精王オーベロンとその妻タイターニアが登場し、妖精たちの社会を生き生きと描いた喜劇となっています。

1位:レプラコーン (Leprechaun)


レプラコーンは、アイルランドに住まう妖精たちの中で、最もよく知られた種族のようです。中世のアイルランド伝承からその姿は見られ、伝統的には背の高い妖精で、老人の姿で人の前に姿を表すとされ、現在よく知られている緑色の服を着た背の低い姿とはかなり違ったものだったようです。レプラコーンは黄金を集めるのを好み、壺に入れて売り、虹の根元に隠すとされています。もし人間がレプラコーンを捕まえると、彼らは解放してもらうお礼に3つの願いを叶えてくれるとも言われています。

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in メモ,   マンガ, Posted by darkhorse_log

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