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製造業を低賃金国へ外注し続けたことでアメリカは赤字に

byhpebley3

アメリカの国家予算が赤字になっている理由は、国内の製造業が中国やインドといった低賃金国へ外注をし続けたことにあるそうです。日本でも衣料品などにおいて「デザインは国内、生産は中国」という話はたくさん聞きますが、アメリカの実態はどのようになっていて、一体どれだけの赤字が発生しているのでしょうか。

詳細は以下から。CHART OF THE DAY: Want to grow jobs and cut deficits? Boost manufacturing. | Alliance for American Manufacturing

Outsourcing Caused State Deficits, Not The Unions

「Alliance for American Manufacturing」などによると、アメリカの国家予算の赤字は、製造業が中国やインドなどの低賃金国に仕事を外注し続けてきたことにあるそうです。財政赤字は「アメリカ国内での雇用不足」を原因として発生しています。アメリカではここ10年間で5万8000の工場がなくなっており、工場が倒産するたびに国家に入るお金が減っています。

この図は、「アメリカ国内で製造業の仕事が減ることは国家予算の赤字につながる」ということを示したものです。赤の棒グラフは累積している国家の財政赤字を10億ドル単位で表し、青の折れ線グラフは製造業の仕事が減っていく様子を1000件単位で表しています。図によると、アメリカは過去10年間で550万件もの製造業の仕事を失い、それにより賃金換算で少なくとも2450億ドル(約20兆6500億円)を失っているそうです。なお、これはほかの分野からの経済波及効果を含んでいない数字になります。


もしも、アメリカが中国への為替操作をやめれば100万件以上もの仕事が国内で生まれて経済は成長し、次の6年間で5000億ドル(約42兆円)ほどの財政赤字を削減することになるとのこと。また、カリフォルニア州の製造業者が2000年から2007年まで国外への外注をしていなかったら、国家予算は赤字ではなく釣り合いの取れたものになっていたそうです。

今でもアメリカ国内の保守層の人々は「国家が介入しない自由貿易というスローガンは誰にとっても良いものである」と信じており、また、アメリカで発行部数一位を占める新聞ウォール・ストリート・ジャーナルでは、「WTO:アメリカが実施している中国産鋼管に対する措置に同意せず」というニュースに対して「アメリカと中国の取り引きでは悪いニュースが多いが、最近の世界貿易機関が下す判断は、まるで新鮮な空気を吸っているかのようだ」と評し、世界貿易機関と中国共産党への支持を示唆しています。


この保守層やウォール・ストリート・ジャーナルの意見は別として、現在、外注を行っている多くのメーカーが上昇する物流と輸送コストに苦しみ、アメリカ国内へ拠点を戻すことを目指しているとのこと。ビジネス研究を行うアクセンチュアのレポートによると、アメリカで製造業を営む幹部社員のうち61%は「国内へ拠点の移動を検討している」と述べたそうです。

アクセンチュアの常務Matt Reillyさんは「現在、石油の値段と輸送コストは上がりましたが、それに対して生産性の上昇はあまり大きくはありません。そして複数の企業間で統合的な物流システムを構築する『サプライチェーン・マネジメント』が持つリスクという問題があります。今、企業は顧客の住む場所と、代わりになる原材料がどこにあるのかを調べ始めています。」と語りました。

これから先の数年間で、製造業の工場はアメリカ国内へと戻っていき、それによって財政赤字は解消され始めるのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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