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スティーブン・キング作品を原作とした映画のベスト5&ワースト5


スティーブン・キング原作の映画作品といえば、「スタンド・バイ・ミー」「グリーンマイル」など、映画が好きな人なら4、5本はすぐに思いつくかも知れませんが、実は映画になった作品だけでも30本以上あり、そのすべてを見るのは容易なことではありません。

「スタンド・バイ・ミー」などを見ると名作の印象が強いキングの作品ですが、映画化された作品の中にはとてつもなくひどい出来のものも多く含まれています。今回のランキングは、キング原作の映画で最も素晴らしいと思われる5本と、特に出来の悪かった映画5本をピックアップ。これらを合わせてスティーブン・キングの世界全体を見渡すと、またひと味違った楽しさが見つけられるかも知れません。


というわけで、スティーブン・キング原作の映画ベスト5とワースト5は以下から。The 5 Best and 5 Worst Stephen King Films - Topless Robot

ベスト5

5位:「キャリー」(1976年公開 監督:ブライアン・デ・パルマ

YouTube - Carrie 1976 part 3


スティーブン・キングの処女作「キャリー」は、出版の2年後に公開されたこのブライアン・デ・パルマによる映画によって一躍有名になりました。また、デ・パルマもこの作品によってメジャーシーンでの評価を高め、後に「スカーフェイス」「アンタッチャブル」「ミッション:インポッシブル」などの作品を監督することになります。学校でいじめられている内気な女の子キャリーが、恐るべき超能力を目覚めさせ、クラスメートと母親に復讐するというサスペンス作品。

ランキングを作成したVinny Orsillo氏の評価によれば「キャリーの復讐はいじめ撲滅キャンペーンが張れるほど容赦のないものだが、それ以上に恐ろしいのはキャリーの母親マーガレットで、マーガレットが笑顔でナイフを握りしめながら歩いてくるシーンは夢に見てしまうほどの恐ろしさ」とのこと。この作品でキャリー役のシシー・スペイセクとマーガレット役のパイパー・ローリーはともにアカデミー賞にノミネートされています。

4位:「ミザリー」(1990年公開 監督:ロブ・ライナー

YouTube - Favorite scene from "Misery"


「ミザリー」は超自然的な要素を排し、徹底的にリアルな恐怖を演出した作品。主人公であるポール・シェルダンは人気の小説「ミザリー」シリーズの作者ですが、新作を書き上げた直後に事故に遭い重傷を負います。そんなポールを助けて看病してくれるのは、ミザリーシリーズの大ファンという中年女性のアニー。アニーは看病と言いつつポールを監禁し、次第にその恐るべき本性をあらわにしていきます。

Orsillo氏によれば「アニー役を演じたキャシー・ベイツの演技は尊敬に値するもので、とりわけ上のムービーに取り上げたシーンは、すべてのホラー映画の中でも最も恐ろしいシーンのひとつに数えられるだろう」とのこと。キャシー・ベイツはこの作品で、アカデミー主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。

3位:「スタンド・バイ・ミー」(1986年公開 監督:ロブ・ライナー

YouTube - Stand By Me (trailer)


映画「スタンド・バイ・ミー」がキングの小説「THE BODY(死体)」を原作としていることはよく知られていますが、このストーリーはキングの他のホラー小説と比べるとかなり異色なもので、もの悲しい少年たちの成長の物語となっています。作品に登場する少年たちは、家族になんらかの問題を抱えており、主役のゴーディは兄が死んでから父に無視されており、ゴーディの友人クリスは両親がアルコール依存症。そんな少年たちが、森に放置されているという死体を探しに出かけるというのがこの映画のストーリーです。

Orsillo氏は「このストーリーはキングの作品の中では地味で平凡なものだと見られがちだが、そうした評価ではこの映画を見た人の心の中に残り続けるものを説明できない」と語っています。

2位:「シャイニング」(1980年公開 監督:スタンリ-・キューブリック

YouTube - The Shining - Hallway Scene (Sisters)


「シャイニング」はキング原作の映画の中でも最も親しまれ評価されている映画のひとつですが、その内容が原作から大きく懸け離れており、キングもそのことを強く非難していました。ストーリーの大筋は共通しており、小説家志望のジャック・トランスが、冬には雪に閉ざされて閉鎖されるホテルにシーズンオフの間の管理人として家族とともに住み込みますが、ホテルに潜む邪悪な力の影響で、ジャックは家族を襲うようになってしまうというもの。映画版と原作では、このジャックのキャラクターに大きな差が生じています。

Orsillo氏はこの映画を「象徴的なシーンの宝庫だ」と評価しており、「驚くべきことにこの映画もキューブリックの他の映画同様最初は評価されていなかったが、今ではキング原作の映画の中で最高のものではないかと考えられている」と語っています。

1位:「ショーシャンクの空に」(1994年公開 監督:フランク・ダラボン

YouTube - The Shawshank Redemption (Mozart Opera Scene)


この作品の原作「刑務所のリタ・ヘイワース」も、「スタンド・バイ・ミー」の「THE BODY」と同じくキングの作品集「恐怖の四季」に収録されています。監督のフランク・ダラボンも「キャリー」のデ・パルマ同様、本作を監督したことで一躍その名をとどろかせ、のちに同じくキング原作の「グリーンマイル」を監督、2010年にはテレビシリーズ「ウォーキング・デッド」も監督しています。

Orsillo氏はキングの小説を原作とした映画の中で最高のもののひとつとしてこの映画を評価。作品は第67回アカデミー賞7部門にノミネートされています。ちなみにOrsillo氏のランキングで「グリーンマイル」は惜しくも6位となっており、このリストには入らなかったとのこと。

ワースト5

5位:「スリープウォーカーズ」(1992公開 監督:ミック・ギャリス

YouTube - Sleepwalkers - Cat attack!!


「スリープウォーカーズ」はキングの同名の作品を原作としたものですが、小説の映画化ではなく、キングが映画用に書き下ろした脚本を使用しています。。ストーリーは、処女の精気を吸う吸精鬼スリープウォーカーの母子が獲物を求めるというもので、親子がスリープウォーカーに変身するSFX的な要素も取り入れています。作中にキング自身もカメオ出演

Orsillo氏は「この映画の主役は猫」としており、「実際この映画を見た人は映画そのものよりも猫の活躍を楽しむことになるだろう」と語っています。

4位:「死霊の牙」(1985年公開 監督:ダニエル・アティアス

YouTube - Stephen King's Silver Bullet (11/11)


原題は「SILVER BULLET」で、同名の小説が原作ですが、これもキングが脚本を書き下ろしています。アメリカの田舎町で満月の夜に決まって殺人が起こり、車イスに乗った少年が狼男の仕業と気づくも、大人たちは信用せず、少年はひとり町に潜む狼男と戦うというストーリー。ムービーに取り上げられたシーンに狼男も登場しますが、着ぐるみにチープさがにじみ出ており、ぬいぐるみのような愛らしさすら感じられます。

Orsillo氏はこの映画について「構成がゆっくりとしており、最終的な対決もあまりエキサイティングなものではない」としており、「これはこの映画が子供向けに作られたためだったかも知れないが、映画自体はR指定で年齢制限がかかっており、明らかにターゲットの設定を間違っている」と語っています。

3位:「地下室の悪夢」(1990年公開 監督:ラルフ・S・シングルトン

YouTube - Graveyard Shift (1990) Trailer


クトゥルフ神話と呼ばれる作品群を作り出した作家H.P.ラヴクラフトは、その作品群の舞台としてアーカムやインスマスといった架空の町を設定しましたが、ラヴクラフトの大ファンでもあるキングはこのアイデアを利用して、自分の作品でも「キャッスルロック」という架空の町を作り、複数の作品で登場させています。この「地下室の悪夢」もキャッスルロックが舞台と思われ、ストーリーも、大量のネズミがはい回る工場の地下に化け物が……という、どことなくラヴクラフトの「壁の中の鼠」を連想させるものとなっています。ちなみにあの「スタンド・バイ・ミー」の舞台も実はキャッスルロックです。

Orsillo氏の評価は「この映画で唯一楽しい部分はBrad Dourif(ロード・オブ・ザ・リングに蛇の舌グリマ役で出演)で、彼の演ずるエキセントリックな害虫駆除業者は本当に楽しい」とのこと。

2位:「マングラー」(1995年公開 監督:トビー・フーパー

YouTube - The Mangler (Trailer)


こちらもニューイングランドの片田舎が舞台ですが、キャッスルロックとは明言されていません。キングの初期の短編「人間圧搾機」を原作として、トビー・フーパーが好き勝手に映画化したという感じの作品で、ストーリーはクリーニング工場のプレス機「マングラー」に悪魔が乗り移り、人間を襲い始めるという荒唐無稽なもの。「羊たちの沈黙」でバッファロー・ビルを演じたテッド・レヴィンと、「エルム街の悪夢」でフレディ役を演じたロバート・イングランドが共演。監督のトビー・フーパーはほかに「悪魔のいけにえ」などを監督しています。

Orsillo氏は「映画のラストでマングラーが人々を追いかけ回すシーンは悪くないが、このモンスターが実はクリーニングのプレス機であることを思い出してはならない」と語っています。

1位:「地獄のデビルトラック」(1986年公開 監督:スティーブンキング)

YouTube - Death by Soda


堂々のワースト1はスティーブン・キング監督・脚本の「地獄のデビルトラック」。地球をかすめて行った彗星の影響で、地球上の機械が次々と暴走していくという設定を、アメリカの田舎のガソリンスタンドを舞台に描くという、あらすじだけでもとんでもない内容ですが、ストーリーも実に投げやりで荒唐無稽なものとなっており、キングがひそかに好むばかばかしい世界観を如実に見ることのできる作品となっています。音楽はキングもファンであるAC/DCが担当。

Orsillo氏は「この映画で最も魅力的なのはAC/DCによるサウンドトラックだ」とし、「『地獄のデビルトラック』は、スティーブン・キングが描くことのできる最大の恐怖とは、彼がまた別の映画で監督をすることだと証明した」と語っています。

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in 動画,   映画, Posted by darkhorse_log

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