メモ

ハニートラップを使って「アメリカに対する陰謀を企てた」としてロシア人女性が逮捕される



1989年にミハイル・ゴルバチョフ元ソ連共産党書記長とジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が会談し、「冷戦は終結した」と宣言されたとはいえ、アメリカとロシアの間では21世紀になってもスパイによる水面下での諜報戦が繰り広げられています。そんな中、2018年7月15日に「アメリカに対する陰謀を企てた罪」でロシア人女性が逮捕されました。

Maria Butina: Alleged Russia agent 'offered sex for job' - BBC News
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-44865626

Mariia Butina Allegedly Used Guns, Sex and Billionaires | Time
http://time.com/5342260/mariia-butina-russian-agent-court-filings/

外国や敵対的な組織に潜入して諜報活動を行うスパイには、男性だけでなく女性も多くいることが知られています。中には色仕掛けを用いて重要人物から情報を引き出す、「ハニートラップ」を利用して関係を持った男性から情報を盗み出すスパイもいますが、今回逮捕されたマリア・ブティナ容疑者も「女性としての魅力」をスパイ活動に利用していた疑いが持たれているとのこと。

アメリカ合衆国司法省によれば、逮捕時に29歳だったというブティナ容疑者はロシアの諜報機関からの命令を受けて、アメリカの右翼系団体や共和党のメンバーと関係を築いたそうです。アメリカの捜査機関は2018年4月にブティナ容疑者のアパートを捜索しており、押収されたノートPCやiPhoneなどの電子機器からは、ロシア連邦保安庁(FSB)とブティナ容疑者のつながりを示すドメインやFSBに所属する人物の連絡先などが発見されました。

ブティナ容疑者は2016年のアメリカ大統領選挙の前後に保守系の団体に取り入り、アメリカの意思決定に関連する組織とのつながりを持とうとしていたとのこと。裁判所に提出された文書には明確な団体名などは記されていないようですが、ブティナ容疑者のSNSからは全米ライフル協会(NRA)のイベントに頻繁に顔を出していたことが判明しています。


2015年7月にはトランプ大統領が行ったタウンホールミーティングで「トランプ氏のロシアに対する感情」を尋ねたり、2016年にはNRAの集会でトランプ氏の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏と面会するなど、ブティナ容疑者は活発に大統領選挙に関連する人物と接触していたとのこと。また、NRAの集会ではウィスコンシン州の知事であるスコット・ウォーカー氏とも面会していたことがわかっています。

ブティナ容疑者は銃所持の権利を訴える活動家としても知られており、2015年にはアメリカのラジオ番組にも出演していました。その中でブティナ容疑者は、「私はシベリアの森で育ち、父親によって狩りを教えられました」と話していたそうです。その後ブティナ容疑者はモスクワに移り、私的な銃所持の権利を求める活動を行う団体を設立したとのこと。

また、ブティナ容疑者はNRAと接触するだけでなく56歳の保守系アメリカ人男性と同居までしており、「個人的な関係を持っていた」と、裁判所に提出された文書には記載されています。文書には個人名が記載されていませんでしたが、SNSの記述などからこの「56歳のアメリカ人男性」は、ポール・エリクソン氏というサウスダコタ州を拠点にする保守系の活動家だと推測されています。


ブティナ容疑者は、「アメリカに対する陰謀を企てた罪」および「外国人エージェントとしての登録がされていない罪」によって逮捕され、記事作成時点ではスパイ活動に関する罪には問われていないとのこと。アメリカでは外国人エージェント登録法により、外国の利益になる活動を行う外国人エージェントは、公的な届け出を行う必要があります。ブティナ容疑者の場合は、この届け出を出していないにも関わらず、外国人エージェントとしての活動を行った点が罪に問われているそうです。

ブティナ容疑者に指示を与えていたロシア政府側の人間が誰だったのかは特定できていませんが、アメリカ司法省はロシアの政治家であり、ロシア連邦中央銀行の副総裁でもあるアレクサンドル・トルシン氏が命令を与えていたのではないかと推測しているそうです。ブティナ容疑者は2016年に学生ビザを申請した際、「トルシン氏の特別助手として雇われていた経験がある」と語っていました。

なお、ブティナ容疑者は2016年8月に学生ビザを取得して、ワシントンD.C.にあるアメリカン大学に入学し、国際関係学の修士号を取得しています。

・関連記事
色仕掛けで機密情報を盗み出す「ハニートラップ」を第2次世界大戦時に実行したMI6の美女スパイ - GIGAZINE

またもイギリスで神経剤「ノビチョク」の被害者発生、ロシアの元スパイ暗殺未遂と同一物質 - GIGAZINE

CIAはスパイ活動の一部をAIに置き換えることを視野に入れている - GIGAZINE

放射性物質を使ってのスパイ暗殺疑惑と事件の背景とは - GIGAZINE

人気マジシャンが1950年代にCIAに伝授した極秘スパイテクニックの数々 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik