「Internet Explorer 9(IE9)」正式版、3月14日から提供開始

2010年3月にプレビュー版の提供が始まったマイクロソフトの最新ウェブブラウザ「Internet Explorer 9（IE9）」。1年経った現地時間2011年3月14日に、正式版の提供が始まることが明らかになりました。

IE9ではついにHTML5がサポートされるほか、これまでにIEに比べて大幅にパフォーマンスが向上しているとのこと。

詳細は以下から。
A More Beautiful Web Launches on March 14th

IE9 RTW Due Date, A Big Thank You, MIX11, and a Unicorn Named Frank | Charles | Channel 9

IE開発チームのブログによると、現地時間2011年3月14日21時からInternet Explorer 9の正式版提供が開始されるとのこと。日本時間では3月15日13時からの提供となります。

IE9の特徴としては、まずデザインが非常にシンプルになったということ。ほとんどのメニューは深い階層に入れられるかボタンをクリックしないと出てこない状態となり、何もしない状態なら基本的なメニュー以外表示されない、ウェブ表示中心の画面となりました。

IE7以降はタブブラウザ化していますが、このタブ機能もさらに強化されます。タブを使うと1つのウィンドウで複数のページを開いておくことができますが、これに加えてティアオフタブを使うことで、1つだけタブをウィンドウ外に出し、もとのウィンドウにスナップさせて並べて表示することができるようになります。

これがタブを切り離したところ。

そして、ウィンドウにくっつけて並べてみました。

ブラウザの「新しいタブ」画面も一新され、よく訪れるサイトが表示されるようになります。サイトはインジケーターが色分けされ、訪問頻度がわかるようになっています。

これまではアドレスバーと検索バーは別でしたが、アドレスバーでの直接検索も可能になりました。検索語句や不完全なURLを入力すると検索エンジンを使用しての検索が行われます。

通知バーもIE8まではウィンドウ上部(メニューバー下部)に表示されていましたがIE9では下部に移動します。また、タブはアドレスバーの真下に並びます。

ダウンロードマネージャーを搭載し、ダウンロードの一時停止や再開ができるようになるほか、ダウンロードしたファイル一覧から悪意のあるファイルを検出すると通知するといったことも可能になります。

危険ファイルを削除するかどうか、このように聞いてきます。

ブラウザにはアドオンを入れて機能強化することができますが、アドオンによってはパフォーマンスの低下を招くことがあります。「アドオンパフォーマンスアドバイザー」は、そのパフォーマンス低下をユーザーに告知し、アドオンを無効にしたり削除したりできます。

ウェブフォントもサポート。

セキュリティ面ではActiveXフィルターを搭載。インタラクティブコンテンツで用いられる技術である一方、セキュリティ上のリスクの原因ともなるActiveXをすべてのサイトで無効にし、信頼するサイトでのみ有効にできます。

ユーザーのウェブサイト閲覧時の行動を追跡するコンテンツがあった場合、ブラウザと追跡対策リスト内のサイトとの通信を制限してユーザー情報のプライバシーを保護してくれるそうです。

追跡対策リストは誰でも制作可能で、そのうち多くのリストから選ぶことができるようになるとのこと。

HTML5やCSS3のサポートはもちろんですが、重いグラフィックタスクの処理のためにGPUを利用してのハードウェアアクセラレーション機能も搭載。GPUのパワーを使うことでさらなる高速描画を実現します。以下はGPUのデモで「IE FishTank」をサクサクと動かしています。

すでにFirefox、Opera、Safari、ChromeとHTML5対応ブラウザが並ぶ中、大きなシェアを有するIEもHTML5に対応することで、HTML5の採用にも弾みがつきそうです。

一方で、未だにIE6のユーザーは少なくなくIE6の使用をやめさせるカウントダウンサイトが登場するほど。最新版への移行はなかなかスムーズには行かなさそうです。