メモ

40年前に盗まれた財布が、家族の思い出の写真とともに持ち主の元へ返却される


2007年に43丁目の旧社屋(現タイムズスクエアビルディング)からレンゾ・ピアノ設計の超高層ビルの新社屋へ移転したニューヨーク・タイムズ

改装工事が進む旧社屋の壁の中から多数の写真や新聞の切り抜きなどが入った古い財布を発見し、思い出深いものであろう財布を持ち主かその家族に返したいと考えた警備員は、幸運な偶然の助けを借りて、1970年に盗まれたという財布を持ち主の元へ返却することができたそうです。


詳細は以下から。Wallet Found After 40 Years, Along With Special Photos - NYTimes.com

40-Year Reunion - Video Library - The New York Times

1970年のある日、当時ニューヨーク・タイムズの広報宣伝部でアートディレクターを務めていたRudolph R. Resta氏(77歳)は、出社した際コートのポケットに財布を入れたままクローゼットへかけてしまい、昼休みにランチを食べに行こうとコートを取り出した際には、財布は消えていたそうです。

「財布には大切な家族の写真など、お金には換えられないものが多数つまっていたのですが、もう二度と戻ってこないとあきらめていました」と語るResta氏。しかし、それから40年たった2010年に、「Resta氏ですか?あなたの財布を見つけました」という電話を受け、驚かされることになりました。


内装の取り壊しが行われている旧社屋ビル(タイムズスクエアビルディング)2階で、壁の穴から財布を発見した警備員José Cisneros氏は、財布を持ち主かその家族に返却したいと考え、上司のRafael Rodriguez氏に相談しました。

Rafael Rodriguez氏(左)とJosé Cisneros氏(右)


社員証や社員用輸血カードなどから財布の持ち主は元ニューヨーク・タイムズ社員に違いないと考えた2人は、現在のニューヨーク・タイムズ本社へ電話で連絡を取ろうとしたのですが、「特定の部門や人物へ連絡を取りたい場合は0を押したあとに名前を言ってください。それ以外のご用件の方は……」という自動応答メッセージを前に、「盗まれた財布を元社員へ返却したい場合はどうすればいいんだ……」と途方にくれてしまったそうです。

ニューヨーク・タイムズの社員であることを示すIDの入った財布。


この記者クラブの会員証は1972年1月31日が有効期限となっています。


そんな時、たまたま近くの映画館を訪れ、映画が始まる前の時間つぶしに懐かしい旧社屋の改装後のロビーへ立ち寄ったニューヨーク・タイムズの元インターネット部門長Gordy Thompson氏が、「昔ここで働いていたんだけど、飾ってある建築写真なんかを見ていってもいいかい?」と、セキュリティーデスクにいたRodriguez氏へ声をかけてきたそうです。Rodriguez氏はThompson氏の身分を聞くと、すかさず40年前の財布を取り出して事情を説明し、Thompson氏はニューヨーク・タイムズの現社員で社史に詳しいDavid W. Dunlap記者に連絡し、Dunlap記者は財布の持ち主Rudolph R. Resta氏が1999年に退職したものの現在もニューヨーク在住であると探し当てて連絡を取り、旧社屋での財布とResta氏の「再会」が実現しました。

財布が見つかった壁の穴。


使われていない窓と外壁の間のすき間に落ちていたとのことで、40年前に財布を盗んだ犯人が、現金を抜き取ったあとの財布をここに隠し、40年間発見されることがなかったようです。


発見者の警備員Cisneros氏から財布を手渡されるResta氏。


押し寄せてくる思い出に、しばらく無言で見入っています。


「何と言っていいのかわからない、本当にありがとう」と感謝のキスをするResta氏。


妻の若いころの写真を見つけ、「どうだい、美人だろう?だから結婚したんだ」と自慢する場面も。


1963年、プロスペクトパークへ出かけた際に撮影したという妻のAngela Restaさんの写真。「これは本物のジャガーの毛皮なんだ。プロスペクトパークへ行こうって言ったら、彼女はジャガーのストールをさっと羽織って、本当にゴージャスだった。いまも美人だけどね」とResta氏は語っています。


45年前に亡くなったというイタリア移民の父Nicola Resta氏の写真(左)と、庭で遊ぶ2人の息子ChristopherとPaulの写真(右)。Christopher氏とPaul氏は現在は47歳と42歳で、ともにResta氏の住居からそう遠くないクイーンズのBelle Harborに住んでいるそうです。


セントラルパークで撮ったというお気に入りの写真。


この息子2人の写真は、コニーアイランドで撮った25セントのスピード写真とのことです。


現金以外はすべて無事だったという財布には、写真以外にも時代を感じるものが多数残っています。現在は緑のカードでおなじみのアメリカン・エキスプレスですが、当時は白地に紫のカードだったとのこと。


ミサへ行ったときにもらうカード。


名刺や手書きのメモなども入っていました。


新聞の切り抜きは、1968年のロバート・ケネディ暗殺後の弟エドワード・ケネディによる追悼スピーチ。この切り抜きを持ち歩いていたことを覚えていたResta氏は、財布との「再会」の日に家を出る前に、妻のAngelaさんに、きっと財布に入っているはずだと話したそうです。


「あなたたちがいなかったら、あと20年、いや40年は見つからなかったかもしれない、本当に感激です」と感謝するResta氏。40年前に財布を盗まれたときには落胆したそうですが、40年後にタイムカプセルのように思い出の写真たちと再会することになるとは夢にも思わなかったとのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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