取材

第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞は「ヒストリエ」、有名な「ば~~~っかじゃねえの!?」の原画も展示


例年、読んでいないともったいないような作品が選出されている第14回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で、今年の大賞には岩明均さんの「ヒストリエ」が選ばれました。

そのほか、優秀賞には「風雲児たち・幕末編」「ぼくらの」「孤高の人」「レッド」「うちの妻ってどうでしょう?」の5作品が選出されています。

詳細は以下から。
第14回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門大賞を受賞したのは岩明均さんの「ヒストリエ」。


会場にはその原画が複数展示されていました。これはカラー原画。


「よくもぼくをォ!!だましたなァ!!」


「ば~~~~~っかじゃねえの!?」、これは色々なコラ画像が作られた有名な1コマ。


この発言をしているのはメディア王国のハルパゴス将軍。メディア王アステュアゲスに息子を殺された上にその肉を食べさせられ、それでも臣従を続けるハルパゴスでしたが、反乱鎮圧の総司令官に選ばれた時に発したのがこのセリフ。実は反乱はハルパゴスが根回しをして行ったものだったという話だった、ということを、主人公のエウメネスが語るシーンです。レギュラーキャラクターではないのですが、このインパクトは絶大。


そのほかには以下のようなシーンの原画が展示されています。


優秀賞の1つ、みなもと太郎さんの「風雲児たち・幕末編」。パネルにはみなもと先生のサイン&イラスト入りです。


坂本龍馬ら史実の人物を描きつつギャグも織り交ぜた「歴史大河ギャグマンガ」の金字塔的作品。


展示されているのはカラー&モノクロ原画。


コレはネーム、この段階を一般人が見る事はまずないのではないでしょうか。また、作画に使っているペンも展示されています。


優秀賞の1つ、鬼頭莫宏さんの「ぼくらの」。ジアース&ウシロのイラスト入りパネル。


少年たちがロボットに乗って戦うという作品ですが、そのストーリーはとにかくズッシリと重いもの。アニメ化もされ、何かと話題になりました。


圧倒的迫力のジアース。


こちらがネームです。


このネーム(上)を仕上げると、原稿(下)になるわけです。


優秀賞3作品目、新田次郎さん小説を原作とした坂本真一さんの「孤高の人」。


人類が今だ登った事のない氷壁・K2東壁を目指す主人公の姿を描いた山岳小説をマンガ化したものです。


作画資料のピッケルやカラビナが展示されています。中央にあるのは原作小説。


優秀賞4作品目、山本直樹さんの「レッド」。


ベトナム戦争のころの日本を舞台にした作品で、学生運動に参加した若者たちが革命運動に身を投じるさまと、その行き着く先を描く群像劇。


山本さんは原画を全てデータ制作しているとのことで、その作画工程が動画で示されていました。


優秀賞5作品目、福満しげゆきさんの「うちの妻ってどうでしょう?」。漫画家の「僕」と、美人だけれど短気な「妻」の日々を描いたエッセイ風4コマ漫画です。


ネームはこんな感じ。


コレが……


こうなります。


こちらはカラーイラスト。何とも言えない色気があります。


その他、審査委員会推薦作品に選ばれたのは以下の作品。ストーリーマンガとしては羽海野チカ「3月のライオン」、今日マチ子「cocoon」、白井弓子「WOMBS」、島本和彦「アオイホノオ」、諫山創「進撃の巨人」、リチャード・ウー/すぎむらしんいち「ディアスポリス異邦警察」、望月ミネタロウ「東京怪童」、河合克敏「とめはねっ!鈴里高校書道部」、野村宗弘「とろける鉄工所」。


西炯子「娚の一生」、唐沢なをき「俺とねこにゃん」、木村紺「からん」、三嶋衛里子「高校球児ザワさん」、上野顕太郎「さよならもいわずに」、杉本亜未「ファンタジウム」、横山裕一「ベビーブーム」、岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」、岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」、市川春子「虫と歌」。


デジタルマンガからは三山恭徳「今日のキョムちゃん」、野村宗弘「十ヶ所くらいの穴」、平井志/藤井慶(藤井組)「神童仮面」。


自主制作マンガ、その他からは筑濱健一/筑濱和子(筑濱カズコ)「赤坂クミコの上海物語 2010」、相田裕「バーサス・アンダースロー」、SEAH Ze Lin「Busy Rider」、小林系「Note Book」、西野空男「漫画雑誌架空」。


功労賞には編集者の栗原良幸さんが選ばれました。栗原さんは1970年から週刊少年マガジンの編集者として、当時ちょっと低迷気味だった手塚治虫さんを担当しヒット作「三つ目がとおる」を送り出しました。また、「月刊少年マガジン」編集長を経て、「モーニング」「アフタヌーン」を創刊、両誌の編集長として数多くの作品を世に送り出しました。著名な作品だけでも、青木雄二「ナニワ金融道」、岩明均「寄生獣」、かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」、王欣太/李学仁「蒼天航路」、沙村広明「無限の住人」、弘兼憲史「課長 島耕作」、藤島康介「ああっ女神さまっ」、山下和美「天才柳沢教授の生活」などが出てきた、と言われるとその功績の凄まじさを実感します。

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in 取材,   マンガ, Posted by logc_nt

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