メモ

「読みにくいフォント」で学んだ情報の方が記憶に残る


教科書や参考書などを選ぶ際は、内容だけでなくフォントまで吟味して選ぶべきなのかもしれません。

プリンストン大学の研究によると、文章を読んでそこから得られる新しい情報を覚えたり概念を学ぶときには、すらすらと苦労なく読める「読みやすいフォント」より、解読にちょっと苦労するような「読みにくいフォント」で読んだ内容の方が記憶に残りやすいそうです。

詳細は以下から。Princeton University - Font focus: Making ideas harder to read may make them easier to retain

プリンストン大学の心理学の准教授Daniel Oppenheimer博士らは、「読みにくいフォントは学習する内容を実際より難しく感じさせ、それにより生徒はより深く注意を払って学習するようになるのではないか」と仮説を立て、一連の実験により検証したそうです。論文はCognition誌に掲載されています。

研究ではまず最初に、18歳から48歳の28人の被験者に架空の地球外生物についての情報を90秒間で覚えてもらい、15分後にテストするという実験を行いました。その結果、地球外生命についての情報を「読みやすいフォント」(サイズ16ポイント、文字色ブラックのArial)で与えられたグループは正答率72.8%だったのに対し、「読みにくいフォント」(12ポイントで文字色が薄めのComic Sans MSまたはBodoni MT)で与えられたグループは正答率が86.5%と、読みにくいフォントで読んだ被験者の方が正確に記憶していたとのこと。

読みやすいフォント(Arial)と読みにくいフォント(Comic Sans MS)の例。


Oppenheimer博士らは次に、論文著者の学生の1人Connor Diemand-Yauman氏の出身地であるオハイオ州Chesterlandの高校の協力を得て、実践的な環境でこのセオリーを検証しました。さまざまな科目や学年で222名の高校生にランダムに「読みやすいフォント」(これまで使っていた教材と同じフォント、多くはTimes New RomanまたはArial)と「読みにくいフォント」(HaettenschweilerMonotype CorsivaComic Sansの斜体)の教材を振り分けたところ、「読みにくいフォント」で学習した生徒の方が定期的に行われる小テストで良い成績をおさめるという結果が得られたそうです。

「読みにくいフォント」と「読みやすいフォント」の例。(上からMonotype Corsiva、Comic Sans斜体、Times New Roman)


この研究結果を生かして、教材のフォントを操作することにより現在のカリキュラムや指導法などを変えることなく、予算もかけることなく教育効果を上げることができるのではないかと期待されています。ただし、「読みにくい」を通り越して「読めなく」なってしまったり読むのに必要以上に時間がかかるようでは学習効果が下がり、また同じ「読みにくさ」のフォントでも生徒の能力や「あきらめやすさ」によっては逆効果となることもあり得るので、教育の現場での導入にはさらに慎重な調査を経る必要があると、Oppenheimer博士らは強調しています。

大学の教材や講義録がオンラインで配布される場合はちょっと読みにくいフォントで表示してみたり、仕事で頭に入れたい資料を印刷する際にもフォント選びを工夫してみると、学習効果が上がるかもしれません。また、「手書きのノートが最高の参考書」ということもあり得そうですが、「読みにくい」を通り越して「判読できない」ほど字が汚い場合は逆効果となってしまうのでしょうか。

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