サイエンス

一晩徹夜するのは3km歩くのと同じくらいエネルギーを消費する


寝ている間と起きている間では、起きて活動している時間の方がエネルギーを消費しているのは当然ですが、一晩眠ることと徹夜することの代謝コストは具体的にはどれほどの差があるのでしょうか?

ベッドに入ったもののなかなか寝付けずごろごろしたり、眠るのをあきらめて本を読んだりしていたら朝がやってきた……というような、ベッドから出ず特に体を動かしてもいないタイプの徹夜でも、一晩眠ったときと比べると2マイル(約3.2km)弱を歩く程度余分にエネルギーを消費していることが、コロラド大学ボルダー校で行われた実験により明らかになりました。

詳細は以下から。Metabolic Cost of Human Sleep Deprivation Quantified by University of Colorado Team | News Center | University of Colorado at Boulder

コロラド大学ボルダー校の生理学の准教授Kenneth Wright博士らによる研究は、初めて人間の睡眠の代謝コストを定量化したものとのこと。論文はJournal of Physiology誌に掲載されています。

実験では8人の若い成人の被験者に3日間研究所のベッドを離れずに過ごしてもらい、3日間ともまったく同じ時間にまったく同じメニューを食べてもらったそうです。食事の量は各被験者のエネルギー所要量に合わせた量だったとのこと。


3日間の実験期間は、まず16時間起きたあとに8時間眠り、つぎに40時間起き続けたあと8時間眠るという過ごし方をしてもらいました。つまり、1日目は通常の8時間睡眠、2日目は徹夜、3日目は徹夜明けにそのまま起きて1日目と同じ時間に眠る、というよくある「一晩徹夜」のパターンです。徹夜の間はベッドから動かず読書や映画鑑賞、会話をしたりして過ごしてもらいました。

その結果、ベッドの中で徹夜した8時間に消費されたエネルギーは、8時間眠ったときよりも約135kcal多かったそうです。「眠ることにより節約されるエネルギーはたったこれだけなのか、と思う人もいるかもしれませんが、これは我々の予想よりは大きな数字でした」とWright博士は語っています。

しかし、一晩の徹夜により余分に消費されたエネルギーは、徹夜明けの1日で帳尻合わせをするように取り返されています。実験2日目の徹夜中の消費エネルギーは1日目の夜眠っているときと比べ最大7%増加したのですが、「回復日」にあてられた3日目の夜(40時間起き続けたあとの8時間睡眠)では5%減少したとのこと。

これには、通常の睡眠と徹夜したあとの睡眠の質の違いが関係するようです。実験では、浅い眠りからレム睡眠やノンレム睡眠へ、そして眠りから覚めるときといった睡眠の各ステージを観察し、自然に目が覚める段階で最も消費エネルギーが大きいことが示唆されたそうです。徹夜した後の回復日の睡眠では中途覚醒の頻度が低くなっています。

不眠症睡眠時無呼吸症候群の人は「眠れなかったり夜中に何度も目が覚めるのでエネルギーを無駄遣いしてしまう」とも考えられるかもしれませんが、今回の実験結果が睡眠障害患者にも当てはまるかどうかは、さらなる研究が待たれるとのこと。

「実験で徹夜中にベッドから出て歩き回ることが許可されていれば、徹夜の代謝コストはもっと高くなったでしょう」とWright博士は語っています。実験では被験者がとる食事は厳密に管理されていましたが、睡眠不足により「レプチン」という食欲を制御するホルモンが減少することがわかっていて、このため食事が制限されていなければ徹夜中の被験者が夜食をとった可能性も高そうです。また、実験終了時(3日目の8時間睡眠後)に起こされなければ多くの被験者はそのまま眠り続け、もっとたくさんのエネルギーを「取り返す」ことができたと考えられるとのことです。

「なぜ睡眠中にもっとたくさんのエネルギーを節約でないのか、というのは睡眠に関する謎の一つです。睡眠にはたくさんの機能があり、睡眠により節約されたエネルギーの一部は、ほかの生理学的なプロセスに分配されているのではないかと考えられます」とWright教授。体を休めることにより節約されたエネルギーを、免疫系の機能や脳の神経細胞のつながりを強化したり、ホルモンを合成したり分泌したり、といった夜間の生理学的活動に回し、それでも余った分が「135kcal」というわけです。

なお、睡眠不足によるエネルギー消費は減量に「有効でも安全でもない」とWright博士は強調し、慢性的睡眠不足を認知障害に結びつける研究結果もある、と述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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