「ハッピーバースデートゥーユー」がアメリカの映画やテレビドラマであまり歌われていない理由

By woodleywonderworks

アメリカの映画やテレビドラマのシーンでは頻繁にパーティーのシーンなどがあるため、誕生日パーティーであれば「ハッピーバースデートゥーユー」と歌うシーンもあってしかるべきはずなのになぜかそういうシーンが言われてみればあまり見覚えがない、というか非常に少ないわけですが、なぜなのでしょうか?

その理由は以下から。
Ever wonder why no one sings the real “Happy Birthday” song on television? - Your Mind Blown

Happy Birthday to You - Wikipedia, the free encyclopedia

理由は簡単で、「ハッピーバースデートゥーユー」の歌詞には著作権があるため。

もともとこの歌の曲部分は1893年にPatty Hillとildred J. Hillの姉妹によって作られた「Good Morning to All」という曲がもとになっており、現在の「Happy Birthday to You」の歌詞と曲とが出版されたのは1912年です。この段階ではコピーライト表記はありませんでした。

著作権が正式に登録されたのは1935年で、「The Summy Company」によるもので、「Preston Ware Orem」と「Mrs. R.R. Forman」名義でクレジットされました。そのため、曲ではなく「歌詞」に著作権がある、ということです。

1990年になってアメリカのワーナー(厳密にはWarner/Chappell Music, Inc.)がこの会社を1500万ドル(約12億1900万円)で買い取り、その際に「Happy Birthday to You」の価値は500万ドル(約4億円)であると見積もっています。ワーナーは「Happy Birthday to You」の著作権は2030年まで有効であると主張しており、2010年2月時点の実例ではこの歌詞の使用料は700ドル(約5万6000円)だそうです。

ほかの事例としては、ウォルトディズニーのテーマパークの一つでフロリダにある「Epcot」内のアトラクション「Horizons」で「Happy Birthday to You」の歌詞を使った際には5000ドル(約40万円)を支払い、別のケースでは「The Corporation」というドキュメント映画内で使用したために1万ドル(約81万円)をワーナーから請求されています。

このようにしてワーナーは「Happy Birthday to You」の使用料を合計で毎年200万ドル(約1億6000万円)も得ており、結果的にアメリカの映画やテレビドラマでは可能な限り「Happy Birthday to You」を使わないようにしています。外食店でよくあるような客の誕生日を祝う場合でも使用料金が請求されるため、この歌以外の歌を歌ってくれる、あるいはオリジナルの歌を歌うケースがアメリカで大部分であるのはまさにこれが理由です。使ったとしてもごく一部だけであるというようにしてできるだけ安価になるように工夫しており、「Happy Birthday to You」の歌詞が全部使われるケースというのはほとんど無く、歌詞すべてが映画内で使われたのは、最近では映画「バットマン ビギンズ」で使用されたケースだけだそうです。ちなみにこの映画はワーナーのものであったから可能だった、とのこと。

気になるのは日本での著作権ですが、日本国内では2007年5月22日で著作権が消滅しており、EU加盟国、つまりヨーロッパでは2016年12月31日まで著作権が存続しています。

なお、この件に関するもっと詳細な年表は以下のページが詳しいです。

log.ittousai.org: Happy Birthday to You, Professor Lessig.

ちなみに、これが「ハッピーバースデートゥーユー」の歌詞。

Happy birthday to you,
Happy birthday to you,
Happy birthday, dear [お祝いする人の名前],
Happy birthday to you.

厳密には「ハッピーバースデートゥーユー」と連呼しているだけなのですが、著作権が認められています。「Happy birthday to you」というようにしてワンフレーズで書くだけでは著作権は適用されませんが、連続して書くことによって著作権があると見なされるため、著作権関連問題の中でもかなり極端な例として取り上げられることが多く、以下のような主張も納得できます。

「ハッピー・バースデー」はもう歌えない - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記

しかし、この歌詞、見てみろよ。ハッピー・バースデーって言ってるだけだ。

曲ではなくて歌詞が問題なので、映画やレコードや漫画や本で、「ハッピー・バースデー」を何回か唱えるともうそれで著作権に抵触してしまうのだ。

著作権は本来、力の弱い表現者の権益を守るために作られたものと思ったが

現在は力の弱い表現者を大資本が抑圧するために使われているのだ。


・つづき
「ハッピーバースデートゥーユー」の歌の著作権はワーナーに帰属しないとの判決が下る - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse