ジーンズはアメリカでもフランスでもなくイタリア発祥?17世紀の絵画からルーツが発見される


ジーンズといえばアメリカ発祥と思っている人が多いかもしれませんが、デニム生地自体はフランスまたはイタリア生まれと言われ、ニーム(de Nimes)が「デニム(denim)」の語源であるというフランス発祥説とジェノヴァ(Genova、フランス語ではGenes)が「ジーンズ(Jeans)」の語源であるというイタリア発祥説の間で、歴史学者たちの議論が分かれるところでした。

その「イタリア発祥説」を裏付ける強力な手がかりが新たに発見され、話題を呼んでいます。

詳細は以下から。AFP: 'Master of blue jeans' holds key to fashion riddle

最近になって発見された無名の北イタリアの画家による17世紀半ばの絵画が、デニムのルーツを知る新たな手がかりとなりそうです。この画家は「Master of the Blue Jeans」(ブルージーンズのマエストロ)とあだ名され、10点発見されている作品のうち9点にデニムが描かれているとのこと。

作品ではデニムを身につけた市井の人々や物乞いの少年が描かれ、そのディテールは詳細に描き込まれていて、破れた部分から布の構造を見ることもでき、現在のデニムと同じように青い縦糸と白い横糸が綾織りになっていることもわかります。


これらの作品は今週からパリで開催される展覧会で展示される予定で、「貧しい人々の姿をここまで詳細に描いた画家は珍しく、非常に貴重なものです」と作品の鑑定に携わったキュレーターのGerlinde Gruberさんは語っています。

服飾史を彩る豪華絢爛な王侯貴族たちの衣服とは異なり、その誕生の時代から「労働者の服」であったデニムはぼろぼろに擦り切れるまで着古され、その発祥を知る手がかりとなるような布のサンプルは現存しないそうです。そのため、これまで歴史学者たちは輸出入の記録や17世紀のイギリスの仕立て屋の帳簿など、ごくわずかな文字による記録を手がかりにデニム発祥の地を推理するしかありませんでした。

「Woman sewing with two children(縫い物をする女性と2人の子ども)」と呼ばれるこの作品に描かれた白い頭巾などのディテールにより、舞台となったのはイタリア北部のヴェネツィア近郊であると判明しています。


これらの作品に描かれた青い厚地の布は、見た目がどう見てもデニムであるだけでなく、デニムの染料に使われているのと同じインディゴを用いて描かれているとのこと。古くから染料としても顔料としても用いられてきたインディゴが絵画に使われること自体は珍しくないのですが、この場合にはデニムの染料と知った上でデニムを描くのに使っていたと考えると興味深いのではないでしょうか。

「Beggar boy with a piece of pie(パイを持つ物乞いの少年)」と呼ばれる作品。このジャケットなどは、現代の若者が身につけていても違和感ないかもしれません。


ストーンウォッシュを開発したフランスのファッションブランドマリテフランソワジルボーのデザイナーで、今回パリで行われる展覧会を共催するフランソワ・ジルボー氏は「人々はジーンズといえばマリリン・モンローやジェームズ・ディーンを連想し、アメリカを象徴するものととらえられてきました。ニーム発祥かジェノヴァ発祥か、答えが明らかになったわけではありませんが、1655年にはすでにジーンズが存在していたというのは非常に面白いことです」と語っています。

このイタリアの画家の作と現在認められている作品はすべてパリの画廊のオーナーMaurizio Canesso氏が所有し、暗い背景に鮮やかなブルーが浮かび上がるキアロスクーロの技巧や、市井の人々の生活に光を当てた資料的にも興味深い題材も考慮すると、6万ユーロから80万ユーロ(約670万円~8900万円)の価値があるとされています。

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in アート, Posted by darkhorse_log