コラム

【閲覧注意】口蹄疫に感染した牛の殺処分や感染後の写真資料いろいろ

by Eduardo Amorim

既に宮崎の「口蹄疫(こうていえき)」がどのような影響を与えているのかまとめでも書いているように、今回の件については現地に取材のマスコミが入ると今度はその報道陣を経由して日本国中に蔓延する可能性があるため、報道カメラが入ることは難しく、結果的に4万頭以上の家畜を殺処分するというとんでもない規模の大事件になっているのに、さらっと流されることが多くなっています(テレビなら映像がないとニュースにできないため)。そのため、実際にはどれぐらい大変なことが起きているのかというのが非常に伝わりにくい状態となっています。

そこで、イギリスで口蹄疫が発生した際の殺処分の様子、さらには口蹄疫に感染した牛や豚はどのような症状を起こすのかという写真資料を集めてみました。現状に対する認識が深まるのではないかと思います。

なお、ショッキングな画像ばかりなので、閲覧はすべて自己責任でお願いします。詳細は以下から。
まずはイギリスの口蹄疫の場合。

Foot and mouth disease outbreak: EU bans import of British livestock | Mail Online

イギリスで2001年に発生した口蹄疫では政府の初動の緊急対策がまずかったため、600万匹の牛を殺処分しました。


これは2007年にイギリスで発生した口蹄疫。殺処分された牛を運ぶところ。


感染の拡大を防ぐため、焼却処分されていく牛たち。


殺処分した牛を穴を掘って埋めています。


口蹄疫に感染していたので死亡させた牛たちを並べているところ


では実際に口蹄疫に感染した場合、どのような症状が牛や豚に発生するのでしょうか?宮崎県が提供する写真資料(PDFファイル:522KB)を見てみましょう。このような症状を確認した際にはすぐに連絡するように、ということで提供されているものです。

口内の水ぶくれ(初期の症状)


口内の水ぶくれ


多量のよだれ


豚の場合


豚の水ぶくれ


鼻の水ぶくれ


蹄部の水ぶくれの破れ


蹄部の水ぶくれ


そのほかにも以下のページにいろいろと画像がありますが、どれもこれもかなりショッキングな内容を含んでいますが、これが現実です。

AVIS - Image Library
http://aleffgroup.com/AVISFMD/Image-Lib/Tools/cs-fmd-fl.html

FMD ageing of lesions - Eufmd
http://km.fao.org/eufmd/index.php/FMD_ageing_of_lesions

ちなみに、口蹄疫かどうかという最終的な診断は現時点ではどこが行っているのかというと、以下の動物衛生研究所が行っています。

動衛研:口蹄疫について

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所では、「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」に基づき、農林水産省からの依頼を受けて口蹄疫の診断を緊急病性鑑定として実施しています。検査結果はすべて農林水産省に報告しておりますので、対応も含めてそちらをご覧ください。

口蹄疫は人間に感染せず、感染した牛や豚の肉を食べることができるにもかかわらずなぜ殺処分するのかというと、放置しておくと上記画像のような症状になった家畜は痛みのために餌を食べることができず、どんどん衰弱していき、その家畜の肉質が落ちたり、乳を出さなくなったりしてしまうため、飼育にかかるコストの方が売る価格を上回り、結果的に損をしてしまうためです。

加えて、口蹄疫は空気感染・飛沫感染を可能とするほど強力な感染力を持ち、家畜は密集状態で飼育されているため、1匹が感染するとそのほかの家畜にもあっという間に感染し、全滅してしまいます。子牛の場合は99%の確率で死亡するほどです。結果、口蹄疫が発生すると大赤字になり、廃業してしまうケースも出てくるというわけです。


もし殺処分した肉を食用に流すと、すさまじい量の食用肉が発生し、消費しきれなくなります。そうなると市場全体で価格が下落してしまい、口蹄疫と関係ないところまで被害が拡大してしまうわけです。そのため、非常にもったいなく、また悲惨でもあるのですが、口蹄疫に感染した家畜は殺処分するしかない……というのが現状です。

なお、さらに現実的なこととして、口蹄疫にはワクチンが存在するのですが、以下のような理由によって使えないそうです。

人獣共通感染症 第96回 宮崎で発生した口蹄疫(10年前の件について、2000年4月19日に行われた霊長類フォーラムの内容です)

ウイルス感染の場合、有効なワクチンがあれば流行を阻止するためにはそれを使用 するのが常識ですが、口蹄疫の 場合には簡単にはあてはまりません。OIEが口蹄疫清浄国とみなす条件としてワクチ ンを使用していない国で病気が 発生していないこととなっています。口蹄疫の監視は抗体調査に依存しています。も しもワクチン接種したウシがい ると、感染による抗体か、ワクチンによる抗体か、区別ができなくなります。発生が 疑われる場合でも、これはワク チンによる抗体だと言い逃れされることにもなります。  
 今回のような限局した発生であればワクチンを使用せずに、発生のあった農場の動 物をすべて殺処分することが清 浄国の立場を保つのに必要なわけです。もしも発生地域の周辺でワクチン接種を行っ たとすると、ワクチンを接種さ れたウシがすべていなくなったのち、3ヶ月間病気の発生がないことという条件にな ります。一度ワクチンを使用す ると、清浄国にもどるには大変な手間と期間が必要となります。有効なワクチンが あっても、畜産の保護という観点 からワクチンの使用は簡単には実施できません。

現実はかなり厳しいようです。

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in メモ,   生き物,   コラム, Posted by darkhorse

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