サイエンス

旧ソ連版スペースシャトル「ブラン」、野ざらしの今と華やかな過去の画像


冷戦時代、アメリカとソビエト連邦はあらゆる分野で凄まじい競争を繰り広げました。特に宇宙開発では両者とも莫大な予算を注ぎ込み、どちらが先により遠くまで行けるかという文字通りデッドヒートが行われた訳ですが、そんな中ソ連で開発されたのが、このソ連版スペースシャトル「ブラン(ロシア語で吹雪の意)」。

無人飛行試験のために何機か生産されたものの、ソ連崩壊のあおりをくらって有人飛行はキャンセル。今は野ざらしとなってしまっているブラン試験機の現在と、実際に宇宙まで行って帰ってきたブランの在りし日の画像です。

詳細は以下。
English Russia >> Buran, The First Russian Shuttle

English Russia >> Where is Buran Now?

English Russia >> Buran. The Soviet Space Shuttle

野ざらしとなっているのはブラン開発における地上試験用の機体OM-K。

ブランの試験機OM-Kが保管されているのはバイコヌール宇宙基地の屋外の一角。


当時、ソ連のTu-160戦略爆撃機とアメリカのB-1戦略爆撃機など、複数の航空機の類似性が指摘されていましたが、このブランも画像左側のアメリカ版スペースシャトルとそっくりです。


アメリカのものより細長い機首。


後部から。


サイドハッチの位置もそっくり。


尾翼部分。あまりにもそっくりなのでどちらかがどちらかを真似しているという噂があったのも納得できます。


色あせた垂直尾翼が痛々しい。


1988年11月15日、ブランは無人でバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ206分の間、地球軌道を周回、同基地の滑走路に見事自動着陸を成功させました。

世界最大の輸送機・An-225ムリーヤはこのブランを運搬するために生産されました。こちらは2010年のハイチ地震の際に、陸上自衛隊ハイチ復興支援PKO部隊の資機材を輸送するため派遣されるなど今も現役で活躍しています。


クレーンでつり下げられるブラン。


工場から打ち上げ基地のバイコヌールまで輸送されます。


工場内でロケットブースターを取り付け。


線路上を引っぱって打ち上げ場まで運ばれます。


RD-0120液体燃料エンジン1基にRD-170補助ロケット4本を束ねたエネルギアロケットの上のブラン。


合計22本のノズルが並び、アメリカ製のスペースシャトルより物々しい後ろからの眺め。


打ち上げ場に設置されました。


サイドから。サイドハッチから斜め下に伸びている管は緊急脱出用のスロープ。地下シェルターに通じており、万が一の爆発事故の際にも乗組員の命を守ることができるようになっていました。


夕闇に沈むバイコヌール宇宙基地。冷戦当時この街は閉鎖都市として出入りが厳重に管理されていました。


打ち上げ。


そして無事に帰還したブラン。


再突入の際の高熱であちこちすすけています。


ちなみにこちらのほうの機体はその後もバイコヌール宇宙基地に保管されていたのですが、格納庫の屋根が落ちてきたため格納庫ごと崩壊してしまいました。もしソ連が崩壊せずにいればどのような機体に進化していたのか、興味はつきないところです。

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in 乗り物,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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