アート

歴史とともに大盛りになりつつある「最後の晩餐」、特盛りとなる日も近いかもしれません


最後の晩餐」というとキリストの体と血を象徴するパンとワインの質素な食事と考えられていますが、最も有名なレオナルド・ダ・ヴィンチによるものを始め、過去1000年間に描かれてきた数々の「最後の晩餐」の絵画を分析したところ、キリストと使徒たちが囲むテーブルに盛られた食事は徐々に豪華に、大盛りになっていることが明らかになりました。

これは、人々の食卓に並ぶ料理の「盛り」が1000年間に徐々に大きくなり、人々の食べる量も増えてきたことを示唆するそうです。

Growing by Biblical portions: Last Supper paintings over Millennium depict growing appetites
https://phys.org/news/2010-03-biblical-portions-supper-millennium-depict.html

消費者行動とマーケティングおよび栄養学を専門とするコーネル大学Brian Wansink教授と、Virginia Wesleyan Collegeの宗教学教授であり長老派教会の牧師であるCraig Wansink博士の兄弟は、2000年に出版された「Last Supper」に収録されたうち最も有名な「最後の晩餐」の絵画52作をサンプルとし、食事の盛りつけの量・皿の大きさ・パンの大きさを、描かれた人々の頭の大きさとの比較により分析しました。研究結果はInternational Journal of Obesity誌の2010年4月号に掲載されます。

研究では構図にかかわらず絵画の中の食品をスキャンし、回転し、測定するためCAD技術を用い、「平均的なパンの横幅は平均的な使徒の頭の幅の2倍である」との仮定のもと、皿やパンの大きさの分析を開始しました。その結果、約1000年間に最後の晩餐の料理の盛りの大きさは1.69倍、皿の大きさは1.66倍、パンの大きさは1.23倍となっていることが明らかになったとのこと。

というわけで、「最後の晩餐」を題材とした絵画で代表的なものをいくつか集め(研究でサンプルとされた52枚の中に含まれているとは限りません)、年代順に並べてみました。食事の「盛り」に着目してみると面白いかもしれません。

ジョット・ディ・ボンドーネによる「最後の晩餐」は1320年~1325年ごろに描かれたもの。ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク蔵。


パンの大きさはこぶしより小さいくらい。ちなみに左端の人物がキリスト、手前の黄色い服の人物がユダです。


スペインの画家Jaume Huguet(1412-1492)による「最後の晩餐」(1470年)


細部。パンはこぶし大程度でしょうか。


最も有名で、その後数々の芸術家によって構図が引用されているレオナルド・ダ・ヴィンチによる「最後の晩餐」(1495-1498年)


細部。テーブルの上に着目して「最後の晩餐」を見てみると、パンが皿に載っている場合とテーブルクロスに直接置かれている場合、パンとワイン以外の料理がある場合とない場合、テーブルクロスがある場合とない場合など、同じ食卓を描いた絵画でも、いくつかのパターンがあるようです。


パルマ・イル・ヴェッキオ(1480-1528)による「最後の晩餐」(1510年以降)


今見るとかなりごちそうっぽい感じですが、動物の丸焼きは当時は日常的な調理法だったのかもしれません。


Jacopo Bassano(1510-1592)による「最後の晩餐」(1542年)は、やや酒がまわって宴会っぽい雰囲気になったところのようにも見えます。


パンとワインのほかに果物やヤギの頭のようなものも。


スペインの画家Vicente Juan Masipによる「最後の晩餐」(1560年代)


細部。


ティントレットによる「最後の晩餐」(1594年)は、ダ・ヴィンチ以降のものとしては特徴的な構図で有名です。


キリストと使徒以外に、給仕する人々などが描かれている点も珍しいかもしれません。


テーブルはこんな感じ。


フィリップ・ド・シャンパーニュによるルーヴル美術館蔵の「最後の晩餐」(1648)も、見覚えがあるという人が多いのではないでしょうか。こちらはキリストが手にしたパン以外に料理や皿は描かれていません。


パンは割と大きめ。使徒たちに分け与えるにはこれくらいの大きさは必要なのかもしれません。


ロシアのイコン画家Simon Ushakovによる「最後の晩餐」(1685)


皿は人の頭よりひとまわり大きく、パンは人の顔くらいでしょうか?


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロによる「最後の晩餐」(1745-1747年)


料理はかなり大盛り感があるように思えます。


ギュスターヴ・ドレによる版画「最後の晩餐」(1870年)


食器などがかなり現代的になっているのではないでしょうか。


「過去1000年間に、食品の製造・供給・安全性・量・低価格性は劇的に向上しました。芸術は現実を模倣するため、この変化が歴史上最も有名なディナーを題材とした絵画にも反映されていると考えられます」とBrian Wansink教授は語っています。

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in アート, Posted by darkhorse_log

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