乗り物

ヘリコプターの難敵「騒音」にチャレンジする新型ローターブレード


ヘリコプターの機動性は、軍用・民間用問わず様々な分野で利用されていますが、巨大なブレードで空気を切り裂いて揚力を発生させるという機構上、どうがんばっても騒音が大きくなってしまうのが弱点です。

そこで、騒音を押さえるローターブレードを、ヨーロッパのヘリコプターメーカーが開発したそうです。実際に計測した動画の音声を聞く限りでは、騒音がはっきり分かるほど小さくなっており、かなり期待できそうです。

詳細は以下。
Eurocopter Moves One Step Closer to ‘Whisper Mode’ | Autopia | Wired.com

この「ブルーエッジ」ローターブレードを開発したのは、ヨーロッパ最大手のヘリコプターメーカーのユーロコプター社。ブレード端の特殊な形状により、ブレードの回転による空気の渦の発生を低減、渦同士の干渉による騒音の発生を抑えます。

また「ブルーパルス」テクノロジーにより、ブレード後部のフラップを自動で1秒間に15~40回動かすことで、降下時によく聞かれる周期的なスラップ音を低減、ブルーエッジブレードと合わせることで騒音を3~4デシベル抑制することに成功しました。


同社では、現在燃費のいいディーゼルエンジン搭載ヘリの開発を計画しており、ブルーエッジブレードもこのヘリに採用されるとのこと。騒音の面からも燃費の面からも環境に優しいヘリを目指すとしています。

条件を揃えて録音した場合どのように聞こえるかという動画も公開されています。

テスト機のEC155機内から計測した場合はこんな感じ。これは普通のローターブレードの場合の音。「パパパパパ……」という甲高い、波のある音質になっています。
YouTube - Eurocopter Blue Edge rotor blade noise reduction



ブルーエッジだとこんな感じになります。「ドロドロドロ……」というこもった、波の少ない音質に変化しました。


地上から計測した場合はこんな感じ。これは普通のローターブレードの場合の音。機内と比べて低くなりましたが「バババババ……」という規則的なパルス音が目立ちます。


ブルーエッジだとこんな感じになります。ジャンボジェットの音を遠くで聞いているような感じ。明らかな違いがあります。


アメリカ圏では環境対策を表す言葉としてよく「グリーン」が使われるのですが、欧州では環境主義の「緑の党」が一定の勢力をもっているため、フォルクスワーゲン社の「ブルーモーション」やメルセデス・ベンツ社の「ブルーエフィシエンシー」など環境対策技術に「ブルー」を使うことが多いようです。

ところで、1983年に公開された名作ヘリコプターアクション映画「ブルーサンダー」にはローター音を消してしまう「ウィスパー・モード」を採用したヘリコプターが登場しますが、劇中に登場する機体のベースはユーロコプター社の前身であるエアロスパシアル社のもの。このネーミングは単なる偶然なのか、それともユーロコプター社内部にシャレの分かる開発者がいるのか、興味はつきないところです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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