改変ヘモグロビンの開発に成功、人工血液の時代はもうそこまで来ている


映画「トワイライト」シリーズでは動物の血しか飲まない「ベジタリアン」な吸血鬼が登場し、アメリカの人気テレビシリーズ「True Blood」では日本の科学者が合成血液を開発したという設定になっているそうですが、現実の世界でも人工血液・血液代替物の探求は長い歴史を持ちます。

エセックス大学の研究により、その人工血液の開発に転機が訪れたようです。もし吸血鬼が本当に居たとしても、人類と平和に共存できる時代はすぐそこまで来ているかもしれません。

詳細は以下から。Search for an artificial blood substitute

人工血液の開発はビッグ・ビジネスで、過去20年間に10億ポンド(約1500億円)以上の費用がつぎ込まれてきたそうです。現在世界中の病院で年間7500万パック以上の献血された血液が使用されていますが、その供給確保や安全性への懸念は年々高まっています。理想的な血液の代替物は、保管期限が長く、病院で保管する必要がなく、輸血が必要な患者の血液型にかかわらず使用でき、あらゆるウィルス汚染の心配がないものになるだろうとのことです。

これまで血液代替物の開発素材として使われてきたものの中には、原子爆弾の製造に用いられる化学物質や、ウシの血液、バクテリアの中で培養された血液などが含まれます。しかしこうしたすべての試みは、ヒトの血液に代わる安全な人工血液の開発には至りませんでした。

特殊なヘモグロビンの国際特許を最近出願したエセックス大学の研究者たちは、世界の人工血液開発競争を一歩リードする位置に立ったかもしれません。

エセックス大学の生化学者Chris Cooper教授によると、これまでの人工血液が失敗してきた要因はヘモグロビンにあるとのこと。ヘモグロビンは体内で酸素を運ぶ役割を持つ赤血球中のタンパク質ですが、血球の外に出されると、ヘモグロビンは人体にとって毒となります。

通常ヘモグロビンは体内で酸素を運ぶうちに鮮やかな赤色からボルドーワインのような赤紫色に変化します。しかし、ヘモグロビンが損傷を受けたときには鉄が酸化し、機能を果たさない緑色や茶色の物質(いわゆるサビ)となるそうです。

Cooper教授らが特許出願中のヘモグロビンは、この毒性を低くすることに成功したものとのこと。

「ヘモグロビンから遊離したフリーラジカルが、心臓や腎臓などを傷つけるのです」と語るCooper教授。「毒性が低く、かつ酸素を運ぶという重要な役目を果たすようヘモグロビンを改変することが、人工血液開発の鍵となります」


先ごろイギリスやアメリカで公開されたばかりの吸血鬼ホラー大作「Daybreakers」では、人類と吸血鬼が共に絶滅一歩手前という設定で、人工血液の開発が時間との戦いとなっているとのこと。現実にはそこまでドラマチックな展開はありませんが、開発競争は日夜続いているようです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log