サイエンス

ロシアのサル、お世話ロボットと共に霊長類として初めて火星へ


近い将来、1匹のサルが霊長類として初めて火星に降り立つかもしれません。

ロシアの火星探査計画の一環としてサルが火星へ送られる予定であることが明らかになりました。ミッション中のサルにエサを与え世話をするロボットと共に送られるとのことですが、動物愛護団体などからは早くも抗議の声が上がっているようです。

詳細は以下から。Monkey to be sent to Mars - Telegraph

ロシア(ソビエト連邦)の宇宙開発に使われた動物としては、ライカをはじめ1950年代から1960年代にかけて宇宙へ行った宇宙犬たちが有名かもしれませんが、サルに関してはアメリカに遅れをとること34年、1983年12月12日に打ち上げられた人工衛星ビオン6号で初めてサルを宇宙に送ることに成功しています。ソ連から宇宙へ飛び立った霊長類としては人間の方がサルより22年先だったようです。

サルはミッション中ずっとこのようなシートに固定された状態でした。


ビオン6号に乗ったサルはAbrekとBionの2匹。その後もビオン計画ではロシアアルファベットの順に名前がつけられたサルが人工衛星に乗せられ、1996年12月24日から1997年1月7日にかけてビオン11号に搭乗したLapikとMultikの2匹が今日までに宇宙へ行った最後のサルとなっています。LapikとMultikは無事宇宙から生還しましたが、2匹のうちMultikは着陸1日後の1997年1月8日に麻酔を使った検査中に心臓発作で死亡したそうです。

LapikとMultikのどちらかは不明ですが、1997年1月7日カザフスタンに着陸した直後の衛星内のサル。


1980年代から90年代にかけてのミッションにサルを供給した、グルジアにあるInstitute of Experimental Pathology and Therapy(実験的病理学・療法研究所)のZurab Mikvabia所長により、研究所が火星ミッションの地上でのシミュレーション実験にサルを供給することについて、ロシアの宇宙航行学会と予備交渉の段階にあることが明かされています。

現在進行中のロシアとヨーロッパによる共同地上実験「MARS-500」では、2009年3月から7月にかけて6人のボランティアが火星ミッションを想定した閉鎖されたカプセル内で120日間を過ごしました。

「このプログラムでは当初は人間の宇宙飛行士を火星へ送ることを目標としていました」とMikvabia氏。「しかし、火星までのフライトの期間は長く、そこまで長期間の宇宙線被ばく対してはまだ確実な防護法が開発されていません。人間の代わりにサルを送ることが最近になって提案されています」

火星までの推定航行時間はミッションの種類によって異なりますが、欧州宇宙機関によると火星へ行って地球へ帰ってくる往復のミッションは滞在期間も含め約520日間、1年半ほどの期間を要するものになるだろうとのことです。

ハッブル宇宙望遠鏡で見た火星。太陽系で地球の隣の惑星ですが、公転周期が異なるため近づいたり離れたりを繰り返しています。平均でおよそ8000万km、最接近時でも5500万kmほどの距離があり、現在の宇宙船では近い時でも片道6ヶ月ほどかかるそうです。


もしロシアがこのままサルを火星へ送る計画を進めれば、Mikvabia氏の研究所では火星ミッションを想定した密閉されたバイオスフィアでサルを長期間観察する実験が行われることになるようです。また、火星探査機にはサルにエサを与え世話をするロボットが同乗することになるとのことです。

「ロボットがサルにエサを与え、後始末や掃除をします。我々の仕事は、ロボットに協力的にふるまうことをサルに覚えさせることです」とMikvabia氏は語っています。


2004年に探査機スピリットにより撮影された火星のパノラマ写真の一部。このような光景をサルや人間が肉眼で目にする日が来るのでしょうか。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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