乗り物

自宅のガレージにパンナムのファーストクラスの客室を再現してしまった男性


1930年代から1980年代にかけてアメリカのフラッグ・キャリアとして航空業界に君臨しながらも1991年に倒産したパンナム(パンアメリカン航空)ですが、「アメリカ帝国主義」「大量消費時代」の象徴としてその栄枯盛衰にドラマを感じる人や、当時の徹底したサービスを懐古する人、単純にロゴやグッズのデザインが好きという人も含め今でも多くのファンがいます。最近では「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」などの映画に登場したほか日本でも砂原良徳のアルバムジャケットに使用されたりもしているので、当時を知らなくてもポップ・カルチャーを通じて好きになったという人も多いのではないでしょうか?

当時の広告や制服、機内サービス備品などのグッズはコレクターズアイテムとして日本でも人気がありますが、アメリカには好きが高じて自宅のガレージにパンナムのファーストクラスのキャビンをまるごと再現してしまった人がいるようです。


詳細は以下から。In One Man's Garage, Pan Am Still Makes the Going Great - WSJ.com

ロサンゼルス近郊Redondo Beach在住のAnthony Toth氏は42歳。小さいころから飛行機が大好きで、飛行機に乗るたびに紙製のコースターや機内食のトレーに敷いてある紙など、普通の人が捨ててしまうようなものを大事に集めていたそうです。機内をカメラで撮影し、機内ラジオを家でも聴くためにテープレコーダーを持ち込み、ボリュームを最大にしたイヤホンにマイクをあてて録音したりもしていたとのことで、10歳の誕生日には両親にねだって飛行機の時刻表が載った専門誌Official Airline Guideの定期購読者になったほか、12歳のころには木でシートを作り家の地下室に全長7メートル弱のパンナムのファーストクラスの客室の模型を組み立てた、と語っています。


ユナイテッド航空でグローバル・セールス・ダイレクターとして働くToth氏は現在独身者ですが、2年前に2ベッドルームのコンドミニアムを購入した際には50以上の物件を見て、やっと客室が再現できる広さのガレージが付いたこの物件にめぐりあったそうです。


ガレージ。ここにパンナムのボーイング747型機のファーストクラス客室が再現されています。


このキャビンを再現するまでに20年以上の歳月と500万円以上の資金をつぎこんだというToth氏。当時実際に使われていたパンナム機の備品を求めて週末はモハーヴェ砂漠にある「旅客機の墓場」へ出かけることもしばしば。シートカバーのように状態の良いオリジナルが手に入らない場合は、専門家に作成を依頼して忠実に再現するそうです。


内部は赤と青のインテリアに2階(パンナムの747機の2階にはファーストクラス乗客用のラウンジがあった)へ続くらせん階段、照明や客席上部のラゲッジスペースまですべて忠実に再現されています。壁は実際にはDC-10機のもので747機の壁ではないと航空マニアは気付くかもしれませんが、近いうちに747機のものに交換したいとToth氏は考えているそうです。


コーヒーメーカーにもパンナムのロゴが。Toth氏は空席があれば無料で飛行機に乗れるという航空会社勤務の特権をパンナムグッズ収集にフルに活用し、例えばタイにヘッドホンがあるとの情報を得れば数日後には飛行機に飛び乗っているそうです。


将来はコレクションを博物館として公開したいと考えているToth氏(右)と友人のJohn Adams氏。現在キャビンは非公開ですが、同好の航空ファンや友人には大好評で、頻繁に集まっては機内食の食器で食事をし、くつろいでいるそうです。


緊急脱出の手順などが書かれた「Just in case」パンフレットとヘッドホン。もちろん当時の機内放送の録音をこのヘッドホンで聴くこともできます。客室前部にあるプロジェクター用のスクリーンは薄型テレビに交換し、機内ヘッドホンを使ってテレビや映画を見ることができるようにしたそうです。


Toth氏はファーストクラスの客室再現に使った以外にも大量のコレクションを所有していて、その中にはエコノミークラスのシートなどの大きな物も。それらは貸倉庫で保管しているそうです。


機内食の食器を手にするToth氏。コレクションの整理整頓をするのも楽しい作業なのではないでしょうか。


現在のファーストクラスの客室は水平リクライニングシートや専用テレビ、グルメな食事など物質的には1970年代や80年代の客室に比べはるかに進化していますが、今日のサービスとブランディングは当時にはかなわない、と語るToth氏。「当時は飛行機の中で眠りたくなかった。毎分毎秒、飛行機を楽しみつくしたかったんだ」

Toth氏の飛行機へかけるこの情熱は、航空会社の上司からも高く評価されているそうです。

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in 乗り物, Posted by darkhorse_log

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