取材

あまりにもすごすぎる超高速インターネット衛星「きずな」によるスーパーハイビジョン多チャンネル衛星伝送実験 in 技研公開2009


今のハイビジョンをさらに上回る「スーパーハイビジョン」についても着々といろいろな技術が進展していっており、今回の技研公開2009では、現在放送されているハイビジョンの16倍にあたる3300万画素、5.1chサラウンドを凌駕する22.2マルチチャンネル音響が体験できるスーパーハイビジョンシアターというのが用意されています。それ以外にも地味にすごいのがこのWINDS衛星によるスーパーハイビジョン伝送実験。ムービー編集を実際に行ってエンコード&デコードしたことのある人であれば、さらにそのすごさがよくわかる内容になっています。

内容としては放送技術研究所の入り口近くにでーんと鎮座しているアンテナを使って、札幌からスーパーハイビジョンによる生中継(映像のビットレートは実に24Gbps、音声だけでも27.6Mbps)をリアルタイムにH.264などで符号化して100Mbps以内に抑えて超高速インターネット衛星「きずな」(速度は370Mbps~500Mbps)経由で受信し、なおかつ同時に鹿島宇宙技術センターからも同様に別のスーパーハイビジョン映像(符号化済みでビットレート100Mbps)も伝送するという壮大なスケールの実験です。

NHKのおそるべき技術力を垣間見ることができるレポートは以下から。
スーパーハイビジョン多チャンネル衛星伝送実験
~ 広帯域衛星によるスーパーハイビジョン放送を目指して ~


全体的にはこうなってます


スーパーハイビジョン衛星伝送実験の概要


北海道の札幌から東京の世田谷区までどうやって届くのかという経路の説明


具体的にはこうなってます


デカい


アンテナの先端部


打って変わって今度は屋内展示の方へ。これがチャンネル切り替え機。


こういう手順で符号化しています。非圧縮のスーパーハイビジョン映像は実に24Gbpsというすさまじいビットレート。音声だけでも27.6Mbps必要です。これを映像はMPEG-4 AVC/H.264方式で符号化し、音声はMPEG-2 AAC方式で符号化します。これによって符号化されたスーパーハイビジョンの映像・音響ストリームは100Mbpsに収まり、衛星経由でリアルタイム復号されるという仕組み。単純に言えば、ムービーのエンコードとデコードの組み合わせに過ぎないのですが、規模が大きい上にデータ量もスピードもリアルタイム性も半端じゃないのがポイント。ムービー編集をしたことのある人であればこれがどれだけすごいかがよく実感できると思います。


衛星伝送パラメータはこんな感じで、伝送ビットレートは方式によりけりですが、370Mbps~500Mbps。確かに超高速インターネット衛星の名に恥じない仕様です。


あらためて見てみると、一体NHKはどこから何を生中継しようというのか100万回ほど問いたくなるような図。おそらくかつてないレベルでの臨場感が実現できるのでしょうが、NHK以外の民放はもう追いつけないのでは……。


これが衛星から送られてきたスーパーハイビジョンを復号化する装置。というかサーバラックにしか見えない。


超高速インターネット衛星「きずな」からの受信信号などもリアルタイムにモニタリングされています。宇宙経由での電波を感じます。


「衛星」などというラベルを作って一度でいいから貼ってみたい気分にさせてくれます


そしてこれが実際に札幌から生中継で送られているスーパーハイビジョン映像。


こんな感じでデモを行ってくれます。なんというかモニターを見ていると言うよりは、「窓」から外を眺めている感じ。


札幌からの生中継の様子。ムービーでは音響がわかりにくいのですが、本当に札幌のこのカメラのある位置から外をのぞいている、そういう気分になります。


さらに同時に送られてきているスーパーハイビジョン映像。映像だけで96Mbps、音声は2Mbpsです。


こんな感じです。もう目の前にあるのと何が違うのかわからない。


インターネットのストリーミングも将来的にはこのレベルで可能になる日が来るのかもしれませんが、ここまでの臨場感を遠隔地にいながらにして実現できる技術がココまで到達しているという事実に驚くばかりです。あと悲しいのは、このすごさが手持ちのカメラなどではまったく伝わらないこと。今週の日曜日、24日までやっているので、一度は見に行って体験することをおすすめします。「テレビなんてもう誰も見ねーよ」などと思っていましたが、認識を改め、「もう将来は誰もNHK以外見ねーよ」という気持ちになりました。

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in 取材,   動画, Posted by darkhorse

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