取材

2ちゃんねるのテレビ番組実況レスを分析・解析することも可能な「情報環流システム」 in 技研公開2009


スポーツ中継やバラエティ、アニメなどのテレビ番組などに対してリアルタイムにみんなが「キタ━━━(゜∀゜)━━━!!」などのコメント(要するにレス)をつけている様子が2ちゃんねるの「実況板」ではよく見られます。この行為は「実況」と呼ばれていて、たとえばプロ野球の中継を見ながら応援の書き込みをしたり、バラエティ番組を見ながら思わずツッコミを入れたり、推理ドラマなら作中の探偵よりも先に犯人を考えたりと、いろいろな使われ方をしています。そこに書き込まれる内容は雑多ですが、番組に対しての視聴者の反応であるということは間違いありません。

ここにNHKが目を付けないわけがなく、現在「情報環流システム(Intelligence Circulation System)」というものが考えられているそうです。これはリアルタイムに書き込まれたコメントを分析・解析して今後の番組作りに活かしたり、視聴者のコミュニティ形成を目指すものだそうです。

詳細は以下から。
ネット世代の接触率向上を目指しているらしい


このシステムで、放送局の利点として挙げられているのは「マーケティング」「ネット世代への接触率の向上」「実時間視聴への動機付け」。番組が好評なのか不評なのかがわかるのは当然大事ですが、録画ではなくリアルタイムで見てもらえるというのも重要なようです。また、視聴者の利点としては「感想の共有」「嗜好に応じたサービス」「コミュニティ形成・促進」が挙げられています。


テレビ番組に対するコメントは、その書き込みだけを追っていくと「面白い」と書かれていてもどのシーンに対するものかわからなかったり、「良い」「悪い」の二択だけでは分けられないものがあったりします。そのため、従来の評価分析技術が使えないそうです。


サンプルは大河ドラマ「天地人」に対するコメントです。例えば「阿部ちゃんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!」は意味だけ取ると「(上杉謙信役の)阿部寛が登場した」ということにしかなりません。


実況をしていると、みんなのテレビに映っている場面は同じなので主語を省いても通じるため、独特の言い回しが使われたりします。前述の「キター」のほかには、ちょっと男同士で怪しい雰囲気を醸し出していると「アッー!」、野球中継でピッチャーが三振を取ると「ズバッと三振毎度ありっ」などが使われます。


そこでコメント分析を行うときに、まず主語の確かなコメントを確定させ、次に書き込みのあった時間の字幕データから主語を補えるコメントを推定、それでもダメなら周りのコメントとの比較を行うという手順を踏んで、番組に対するコメントなのかそうではないのか処理していきます。主語が確かなコメントだと正解率は96%ほどで、全8000件のコメントのうち6930件が番組内容に対するコメントだという結果が出たそうです。


書き込みで使われる独特の感情表現を「肯定」「悲嘆」「軽蔑」「驚愕」「否定」「突込」の6パターンに分類。機械的に処理すると顔文字は記号でしかないので分析が大変なようです。


類似コメントをまとめるクラスタリング。


コメント入力をする側の課題としては応答速度。「天空の城ラピュタ」の実況では以前クライマックスのシーンで「バルス」というセリフが出た瞬間にサーバが飛ぶほどの負荷がかかったことがあり、その次のラピュタ実況の時には「バルス」に多くの人が備えたにもかかわらずそれより前のシーンで「人がゴミのようだ」というムスカのセリフが出た時にサーバが飛んだというエピソードがあります。


解析結果はこのように活用される予定。


これは実際に大河ドラマに対してつけられたコメントのサンプル。どうやら直江兼続と上杉景勝の幼少期の回だったようで、樋口与六(のちの兼続)を演じていた加藤清史郎がカワイイだとかいうコメントがつけられていました。


NHKによればまだまだ実装については考えていないとのこと。2chのDATファイルを分析するシステムができれば、実況板のいろんな番組のスレッドを分析させてその番組が面白かったのかどうなのか生の声が聞けるようになるのではないかと思うのですが、わけのわからないアスキーアートが飛び交うような実況では難しいでしょうか。

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in 取材, Posted by logc_nt

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