1976年にアメリカ軍で発生した「豚インフルエンザ」の人間への集団感染事例とは?


人から人への感染が増加する段階に入ったとして世界保険機構(WHO)が警戒レベルをフェーズ3からフェーズ4に引き上げ、段々と危機感が迫りつつある豚インフルエンザですが、メキシコの各新聞は今回のインフルエンザの発生源は世界最大の養豚会社であるSmithfield Foods社が経営する高密度の養豚場だと伝えており、発生が始まったと予想されているLa Gloria村には同社の養豚場があるそうです。

また、厚生労働省の出した「メキシコ及び米国におけるインフルエンザ様疾患の発生状況について」という資料によると、豚インフルエンザの集団発生の事例として、1976年にアメリカ軍の中で発生していた事例が紹介されており、なかなか興味深い内容になっています。

詳細は以下から。
[PDFファイル]メキシコ及び米国におけるインフルエンザ様疾患の発生状況について

豚インフルエンザの集団発生の例は他にありますか?

おそらく、最もよく知られているのは、1976年にニュージャージー州・フォートディクスで起きた、兵士たちの間で流行した事例です。X線検査でウイルス感染からの肺炎が確認され、少なくとも4人の兵士にウイルス性肺炎を認め、1名が死亡しました。この5人とも感染前は健康でした。基地での訓練中に密接に接触したグループ内で感染したものと考えられています。このウイルスは約1か月間まん延し、その後、消滅したと思われます。ウイルスの由来や、フォートディクスへ侵入した正確な時期、および感染拡大の要因とその流行期間とについてはよく解っていません。このフォートディクスでの集団発生は、冬の間に人口が集中する施設内に動物由来のウイルスが侵入したことだったかもしれません。フォートディックスの兵士から収拾された豚インフルエンザウイルスはA/New Jersey/76(Hsw1N1)と名付けられました。

結局のところ、侵入経路は不明、侵入した時期も不明、感染拡大の要因も不明といった感じで不明だらけになっており、なかなか不気味です。

また、この資料によると、今回の豚インフルエンザが通常のインフルエンザと違っているのは、若年健常人、要するに20歳から45歳程度の年齢の健康な人の間で感染が広がっているという点。通常のインフルエンザは幼児や高齢者が罹患していくわけですが、メキシコではこれらの年齢層では重大な影響が特に見られないとのこと。

さらに、今回検出された豚インフルエンザウイルス(H1N1亜型)はこれまでに豚や人で検出されたことがないというのも不気味さに拍車をかけています。

なお、現時点では治療薬として抗インフルエンザ薬の投与が行われており、アメリカではオセルタミビルやザナミビルの投与が推奨されているものの、既にアマンタジンやリマンタジンへの耐性が認められており、これらの事実から考えて、世界中で爆発的流行をする可能性が高くなってきたと判断し、フェーズ4がWHOから発令されたというわけです。

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in メモ, Posted by darkhorse