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5.1chを超えて前後左右上下の3次元音響を実現する「22.2マルチチャンネル」が市販のヘッドフォンで再現可能に


NHKが5.1chサラウンドを超える「22.2マルチチャンネル」をスーパーハイビジョン(画素数4320×7680)のために開発中なわけですが、この度、ついに市販のヘッドフォンでも正確に22.2chを再現できるヘッドフォンプロセッサを開発したそうです。このヘッドフォンプロセッサを使用することにより、前後左右や上下に広がる音(3次元音響)を、ヘッドフォンでも忠実に視聴できるようになるとのこと。

一体どういう技術なのか、また、そもそも22.2chというのはどうやって録音するのか、各種詳細は以下から。
NHK INFORMATION「技術情報 一覧」

まず、人間はさまざまな方向から到来する音を左右の耳で聞きとることにより臨場感を得ているため、事前に音源から耳に到達するまでの音の伝わり方(これを「頭部伝達関数」と呼ぶ)を測定し、その値を今回開発したヘッドフォンプロセッサにあらかじめ入力しておくことにより、22.2マルチチャンネル音響による3次元の音の広がりを、ヘッドフォンでも正確に再現することができるようになったそうです。


この「頭部伝達関数」というのはどういうものかというと、人は両耳を使って音の方向を知覚しており、音の方向を知る手がかりとなるのは、左右の耳に届く音の強さの違いや時間差、人の頭や耳の形による音色の変化などであるため、これらの手がかりを数学的に表現した関数のことを頭部伝達関数と言うそうです。今回開発したプロセッサは、この頭部伝達関数をあらかじめ測定しておき、この値を用いるようにしているそうです。

頭部伝達関数を求めるための測定の様子


そもそも22.2マルチチャンネル音響というのはスーパーハイビジョンの音響として開発を進めている3次元音響システムのことで、上層に9チャンネル、中層に10チャンネル、下層に3チャンネルと、三層に配置したスピーカーと、2チャンネルの低域効果(LFE:Low Frequency Effects)スピーカーにより3次元音響を実現するというもの。これによって、前後左右とともに上下からの音もきめ細やかに再現できるとのこと。


これが今回新開発した「22.2マルチチャンネル ヘッドフォンプロセッサ」

どうやって録音しているかというと、1箇所で効率的に集音するように、マイクロフォンを放射状に配置したマイクロフォンアレイ(配列)システムを使用していたようです。


が、これだと場所の制約があり、さらに機動性が低くなるため、今回新たに遮音板を用いて1箇所の空間を複数に区切り、それぞれの中に小型マイクロフォンを配置する構造のワンポイント・マイクロフォンを開発したとのこと。コンパクトな構造になっているものの、隣接するマイクロフォン同士の干渉を避け、3次元の音響を収音することが可能だそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse

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