取材

なんと12時間ものバッテリー稼働を実現した新型ネットブック「U115 Hybrid」の秘密を探る in CeBIT2009


世界金融危機のあおりを受け、昨年比でおよそ出展企業が1000社減ったと伝えられているドイツで開催されている「CeBIT 2009」。そんな逆境下においても台湾のPC/マザーボードメーカーは元気。そのうちの1つ、MSIのブースにはノートPCやネットブック、各種ボードほか新製品がところ狭しと並べられており、終日、人垣が絶えないという状態です。

そんな中で展示された数多くの新製品のうち、ユーザーの注目を最も強く浴びていたのが新型ネットブック「U115 Hybrid」。U115 Hybridの最大のウリはなんといってもその驚異的な「稼働時間の長さ」。従来製品の場合、標準バッテリー使用時の平均稼働時間がおよそ2~3時間と決して長くないネットブックが多いなか、カタログスペックとはいえ12時間という稼働時間はすさまじいレベルを実現しています。

一体何がどうなってここまで長時間の稼働が実現されているのか、その秘密の一端を垣間見てきました。詳細は以下から。
長時間稼働の実現には、3つの技術的な理由があります。

・1つめ「CPUにIntel Atom Z530を搭載」
消費電力の少ないネットブック向けCPUのデファクトスタンダードと言えるAtomのラインナップのなかでも、Z530の消費電力はさらに少なくなっています。

・2つめ「液晶パネルのバックライトに省電力型の最新型LEDを採用」
LEDを変更することで、従来製品と比べて省電力化を進めることができたとのこと。

・3つめ「記憶媒体がSSDとHDDのハイブリッド仕様」
これによって、システムとおもなアプリケーションをSSD上で動作するように設計しています。HDD上でシステムを動作させる場合は磁気ディスクへの頻繁なアクセスが必要なため、そのぶん電気を食うものの、SSD上でシステムを動かせば、いくらSDDにアクセスしようとも、HDDを使う場合と比べて大幅に消費電力を少なくすることが可能になるというわけ。なお、このU115 Hybridには、SATA接続の160Gバイト2.5インチHDDと8Gバイトもしくは16GバイトのSSDとの組み合わせを予定しているそうです。

また、注意するべき点が1つ。12時間稼働には6セルのバッテリーを使用する必要があり、U115 Hybrid用バッテリーは3セルと6セルの2種類のバッテリーが用意されています。6セルのタイプは3セルのものより多少厚みがあり、どちらを付属バッテリーとして本体と一緒に販売するかについては、取材時点で明確な答えをMSI側からもらえませんでした。


とはいえ、3セルのタイプが付属されたとしても稼働時間はおよそ6時間。他社製ネットブックを含めた現行製品と比べても決して短くはなく、MSIが取り組んできた省電力化策は十分に効果を発揮していると言っても過言ではない状態です。

気になる価格は600ユーロから700ユーロ。2009年3月5日のレートでおよそ7万5000円~8万8000円前後。日本市場には2009年4月中に投入予定とのこと。なお、MSIの担当者に訊いたところ、早ければ2009年3月後半頃、発売に先行して秋葉原にデモ機を置くプランも検討中とのことです。


MSIブースのネットブックが展示された一角。U109、U110、U123ほか数種類のネットブックが展示されていたわけですが、一番注目されていたのはやはりこのU115 Hybrid。


コンパクトかつ安価なネットブックにヨーロッパのユーザーも興味津々。次々に集まっては実際に手に取っていました。


U115 Hybridでは、SSDとHDDを上手くコントロールして、極力電力を消費せずにシステム動かす技術が採用されています。加えてECO Engineという省電力機能でPC全体を制御。マルチメディアコンテンツの再生やゲーム、事務文書の作成など複数のタスクを行う際の電力消費を低めに抑えられるようなシステムになっているとのこと。


これはU115 Hybridの隣に展示されていたU110 ECO。基本的な仕様はU115 Hybridと同じですが、こちらに搭載されているのはHDDのみ。SDDとのハイブリッドでないため販売価格は500ユーロから600ユーロ。日本円にしておよそ6万円~7万5000円前後と、U115 Hybridと比べて割安です。


(取材・文:渡邊浩行、編集:GIGAZINE編集部)

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in 取材,   ハードウェア, Posted by darkhorse

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