メモ

英国王立化学会が「100%天然」の物質に1億4千万円の懸賞金


食品を中心として「100%天然」をうたった商品がたくさん出されていますが、そのような広告に対し英国王立化学会が「『100%化学物質不使用』な物質を本当に持ってきたら100万ポンド(約1億4千万円)の懸賞金を出す」とプレスリリースを出しました。どういう経緯があったのでしょうか。

詳細は以下から。
RSC Press Release: £1,000,000 for 100% chemical free material?

そもそものきっかけはイギリスで放映された有機肥料「Miracle Gro」のTVコマーシャル。

Miracle-Gro 'Organic Choice' TV ad - 20 sec advert



この動画の10秒付近の「It's 100% chemical-free(この製品は化学物質を含まない)」というナレーションに対し「有機肥料は化学物質を含まないわけではない」と視聴者からクレームがあがりました。


これに対し日本のJAROに相当する英国広告基準局(ASA-Advertising Standards Authority)は「広告中のchemical-freeという表現に対して、誰が『この肥料は化学物質を含まない』という受け取り方をするだろうか。常識的・一般的には『この肥料の原料はすべて非人工物』と受け取られるだろうから問題ない」というコメントを出しました

しかしながらこの「~free」という表現は一般には「~がない」という表現。例えば「fat-free milk」は「無脂肪乳」を表します。有機肥料はリンやカリウムなど多くの化学物質を含みますから「chemical-free」ではありません。

このような広告に対し、英国王立化学会はプレスリリースで「ごく当たり前のことだが、そもそも私たちの目に映るすべての物は『化学物質(chemical)』だ。もし明らかにそうでないものがここに持ち込まれて、それが証明されたなら私たちは100万ポンド(約1億4千万円)を支払うだろう」と宣言しました。

英国王立化学会は大変に権威ある団体ですが「完璧な紅茶の入れ方(pdf)」を発表するなどウィットに富んだ面もあります。今回のプレスリリースも、口調は冗談めかしてはいますが、昨今の「科学っぽければなんでもよい」「有機物ならなんでもよい」という風潮にうんざりしている様子がうかがえます。

「波動」「マイナスイオン」など疑似科学ニセ科学ビジネスがはびこっていますが、何が科学的で何がそうでないのか見分ける目を私たちは持たなければいけないのかもしれません。

2008/11/27 18:43追記
タレコミで「誤解しているのではないか」という質問がいくつか来たのですが、これは英国流のジョークです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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