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任天堂の著作権を侵害するとこのような「警告書」が送られてくるらしい


任天堂は著作権に非常に厳しいことで有名で、最近の例としては「ニコニコ動画」から「全自動マリオ」シリーズを全削除しており、古い例だと「ポケモン同人誌事件」など、俗に「任天堂法務部 最強列伝」と呼ばれてしまうほどです。もっとも、一般に言われているほど最強ではないという一面もあるらしいのですが、やはりどちらかと言えば強圧的なイメージがあるのではないでしょうか。

ところが実際にどのような「警告書」が任天堂から来るのかというのは長い間、謎のベールに包まれていました。今回、GIGAZINEに来た興味深いタレコミによると、ネット上で現在、その「任天堂からの警告書」と思われるものがPDFファイルとして公開されているようです。

詳細は以下から。
問題のPDFファイルはGIGAZINEでも過去に一度、以下の記事で紹介したことのある「NES2FOMA」というネットサービスのサーバ上にあります。

ファミコンソフトをFOMA向けiアプリに変換してくれる「NES2FOMA」 - GIGAZINE

任天堂のファミコン向けゲームソフトを、NTTドコモの「iアプリ」に変換してくれるサービス「NES2FOMA」です。

このサービスを使うと、昔自分が好きだったファミコンソフトなどをNTTドコモのFOMA端末で遊べるようになるというスグレモノ。実際に動作しているムービーもあります。

この「NES2FOMA」については、開発者自身による解説が以下のページにあります。

ファミコンのROMファイルをiアプリに変換するサーバを公開します。 - VENTURE VIEW

公開してからの反響がすさまじく、以下のページではさまざまな質問に開発者本人が答えています。

ファミコン→iアプリ変換(NES2FOMA)のみんなの疑問に答えてみるよ。 - VENTURE VIEW

ところがこのNES2FOMA、どうも2007年12月頃には閉鎖されていたようです。当時のページには以下のような文章が公開されていました。

サービス終了致しました。

株式会社任天堂をはじめとする多くのゲームメーカの皆様に

ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。

今後、このようなことのないよう、

法令遵守に気をつけて参りたいと思います。

過去の任天堂ファミリーコンピューター用のゲームを遊ぶ際には、

任天堂社製Wiiのバーチャルコンソールなどをご利用ください。

今後とも、株式会社クレイジーワークスを宜しくお願いします。

文面からは「どうやら任天堂などから苦情が来たらしい」ことがうかがえます。

GIGAZINEに寄せられたタレコミによると、

この記事で紹介されているサイト(http://nes.crazyworks.jp/)へ
アクセスしたところ、以前は「お詫び」のページになっていましたが、
今日みたところサーバのファイル一覧が参照できるようになっていました。
(index.htmlをリネームしてしまったのだと思います)

また、そのなかに、任天堂からの警告書PDFが置いてありました。

ということになっているらしく、さまざまなファイル一覧が公開されており、その中に「任天堂からの警告書」と思われるPDFファイルが公開されていました。

中身は以下のような感じになっており、全7ページ、大きく分けて「1」から「5」の5つに分かれています。

警告書

拝啓

当職は、京都市南区上鳥羽鉾立町11番地1所在任天堂株式会社(以下、「当社」といいます)の代理人として、貴殿に対し以下のとおり警告いたします。


文章構成としてはまず「1」と「2」で言葉の定義を行っています。このようにして最初の部分で言葉の定義をきっちりするところなどは、いかにもという感じです。

1 貴殿においてもご承知のとおり、当社は、「ファミリーコンピューター」(周知略称としては「ファミコン」、「NES」等があります)上で稼働する多数のゲームソフトについて著作権を有しております。
 当社が上記のファミコン用ゲームソフトについて有する著作権は、プログラム著作物にかかる著作権並びにゲームソフトの視聴覚著作物にかかる著作権がありますが、本書においては双方を総称して「当社著作権」といいます。
 当社が当社著作権を有するファミコン用ゲームソフトとしては、例えば「スーパーマリオブラザーズ」等があることは貴殿においてもご承知の通りです。


2 貴殿は現在、当社の「ファミリーコンピューター」についての上記の周知略称たる「NES」を冠した「NES2FOMA」の名称のウェブサイト(URLはhttp://nes.crazyworks.jp。以下、「貴殿サイト」といいます)を運営されておりますが、貴殿は平成19年11月8日付のブログなどにおいて貴殿サイトについて「ファミコンのROMファイルをiアプリに変換するサーバを公開します」と広く告知広告を行った上で、「ROMファイルを送信するとiアプリに変換します」と明記した貴殿サイトにおいて、ユーザに「ゲームの名前」、「NES ROMファイル」を記入させて、以下の内容からなるサービス(以下、「本件サービス」といいます)を提供しています。

 すなわち本件サービスにおいては、貴殿はファミコン用ゲームソフトの複製物であるところのROM形式ファイルを、ユーザからインターネットを介して貴殿サイトのサーバ(以下、「貴殿サーバ」といいます)にアップロードさせております。

 そして貴殿は、貴殿サーバにアップロードされたファミコン用ゲームソフトの複製物であるROM形式ファイルに、ファミコン用のエミュレータを結合してNTTドコモグループの携帯電話FOMAシリーズ等に動作可能なiアプリ形式に対応したファイル(以下、「本件iアプリ形式ファイル」といいます)を作成した上で、本件iアプリ形式ファイルを貴殿サーバに蔵置しています。

 さらに貴殿は、貴殿が本件iアプリ形式ファイルを貴殿サーバ上に蔵置した格納場所を示すURL情報(QRコードを含みます)をユーザに送信し、ユーザが貴殿により信頼された上記URL情報を用いて貴殿サーバにアクセスした場合に、貴殿において、本件iアプリ形式ファイルを当該ユーザの携帯電話にインターネットを介して送信しております。


そして続く「3」の(1)(2)において、一体「NES2FOMA」のどこがどのようにして著作権を侵害しているのかを説明し、「3」の(3)において、これだけに限定しないという念押しをしています。特に注目すべき点は「MYUTA事件判決」について触れているという点です。

3 而して貴殿による上記本件サービスは、少なくとも以下に述べる点において、当社著作権を侵害します。

(1)貴殿は、貴殿サーバにアップロードされたファミコン用ゲームソフトの複製物であるROM形式ファイルにファミコン用のエミュレータを結合して本件iアプリ形式ファイルを作成し、本件iアプリ形式ファイルを貴殿サーバに蔵置していますが、ファミコン用ゲームソフトの複製物たるROM形式ファイルを更に複製してなる本件iアプリ形式ファイルは、複製物の複製物として、ファミコン用ゲームソフトの複製物に当たります。

 貴殿は、かかるファミコン用ゲームソフトの複製物となる本件iアプリ形式ファイルを貴殿において作成し貴殿サーバの記憶領域に蔵置して、有形的に再製していますから、かかる貴殿による本件iアプリ形式ファイルの蔵置行為は、当社のファミコン用ゲームソフトの著作物を複製する行為に該当し、当社が有する当社著作権の侵害行為(複製権侵害行為)となります。

(2)貴殿は、上記のごとくに貴殿が貴殿サーバ上に蔵置した本件iアプリ形式ファイルの格納場所を示すURL情報(QRコードを含みます)をユーザに送信し、上記URL情報を用いてのユーザからの求めに応じて、本件iアプリ形式ファイルを上記ユーザの携帯電話にインターネットを介して送信しておりますが、既述のとおり貴殿がユーザに送信する本件iアプリ形式ファイルは、ファミコン用ゲームソフトの複製物に当たりますから、かかるファミコン用ゲームソフトの複製物である本件iアプリ形式ファイルをインターネットを介してユーザに送信する貴殿の行為は、当社のファミコン用ゲームソフトの著作物を公衆送信する行為に該当し、当社が有する当社著作権の侵害行為(公衆送信権侵害行為)となります。

 ちなみに貴殿は、本件サービスのユーザに限定を設けておらず、本件サービスは誰でもが利用できるサービスですから、貴殿サーバにROM形式ファイルをアップロードするユーザは貴殿にとっては「不特定者」に当たります。従って貴殿が、ROM形式ファイルをアップロードした「不特定者」たるユーザに本件iアプリ形式ファイルを送信する場合であっても、かかる「不特定者」への送信は著作権法所定の「公衆送信」に該当しますので、貴殿の行為が公衆送信権侵害となることに変わりはありません(この点につきましては、東京地方裁判所平成19年5月25日のMYUTA事件判決も御参照ください)。

(3)なお当社は、本件サービスにおける貴殿による当社著作権侵害の行為を、上記の行為に限定するものではありませんので、念のために申し添えます。


次の「4」では「NES2FOMA」の停止を要求し、停止しない場合には何が起きるのかを説明しています。

4 以上のとおり貴殿による本件サービスの提供は、当社のファミコン用ゲームソフトについて当社が有する当社著作権を侵害するものです。

 よって当社は貴殿に対して、本件サービスの提供を即時に停止するよう本書面をもって請求いたします。

 貴殿において本件サービスの提供を即時に停止されない場合には、当社はやむをえず貴殿に対して差止請求、損害賠償請求などを含む法的措置を執らざるを得ませんので、この旨を申し添えます。


そして最後の「5」が非常に注目すべき点です。もしこれが本当に任天堂から送られてきたモノであるならば、なぜ今までこのような「任天堂からの警告書」がネット上でまったく公開されてこなかったのか、その謎の一端がわかります。

5 なお当社は本書面をもって、貴殿に対して、著作権侵害行為を警告してその停止を求めているものであります。

 従って、万一、貴殿が本書面をインターネット上において広く一般に公開されるがごとき場合には、かかる公開は当社の意に反する公開であり、本来公開されるべきでない書面を貴殿が公開されたという意味において当社の社会的評価及び信用を毀損する行為となります。

 しかも貴殿が本書面をインターネット上に公開される場合には、かかる貴殿の公開行為は、本書面にかかる著作権についての侵害行為をも構成するものとなります。

 よって貴殿においては、かかる新たな権利侵害を惹起するインターネット上における本書面の公開行為をされることがないように、この点も念のために予め警告させていただきます。

敬具


というわけで、この文書が本当に任天堂から送られたものかどうか、現在、任天堂株式会社代理人を名乗るこの弁護士に確認中です。

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