テレビや新聞で詳しく報道されない「毎日新聞英文サイト変態記事事件」、一体何が問題なのか?


インターネットのニュースによほど詳しい人でないと実は何も知らないに等しいのがこの「毎日新聞英文サイト変態記事事件」。

新聞やテレビなどでは散発的に取り上げられてはいるものの、内容があまりにも下品で性的な内容なので詳細に報道することもできず、週刊誌で取り上げられてもただのゴシップ記事と見分けが付かず信憑性が不明、ネットで調べてもヒステリックな論調でまとめられていて読む気すらなくなり、結局、何が起きているのかさっぱりわからない……という人も多いはず。

というわけで、GIGAZINE読者からも多くのリクエストがあったこの「毎日新聞英文サイト変態記事事件」について、一体何が問題なのか、何が起きたのか、そして今、どうなっているのかをまとめて見てみましょう。

~目次~
■そもそもの発端は毎日新聞の英文サイトに掲載された変態記事
■一体誰がこのような記事を書き続けたのか?
■度重なる問題点の指摘、でも誰も修正しようとしなかった
■2ちゃんねるに飛び交うコピペ、そしてまとめサイトの登場
■毎日新聞が対応ミスで炎上、火に油を注いで燃料大爆発
■mixiにて毎日新聞を訴える者が登場
■ついに毎日新聞社前でデモ、ネット経由で約1万1000人が生中継を見守る
■毎日新聞のサイトから広告が消え、収入源が消滅
■毎日新聞の変態記事で被害を受けるのは誰?
■毎日新聞はいつになったら、そして、何をすれば許されるのか?

※正確性を期すため、あえて引用部分を多くしていますが、できればそれぞれの引用元も上から下まですべて読むことをオススメします。また、あえて細かい経緯については触れていません。

■そもそもの発端は毎日新聞の英文サイトに掲載された変態記事


毎日新聞にはインターネット上で展開している国内のニュースサイトだけでなく、海外に対しても英語版のサイトが存在していました。その名は「Mainichi Daily News」。中でも問題となったのが「WaiWai」という名のコラムコーナー。どのような捉え方で外国の英語圏の人々が見ていたかというのが海外の最大手ソーシャルブックマークサイト「del.icio.us」のユーザーノートにあるコメントから垣間見えます。

MSN-Mainichi Daily News: WaiWai
http://mdn.mainichi-msn.co.jp/waiwai/index.html


全体的には「日本発の奇妙なニュース」「日本の低俗ニュース」「大衆向きニュース」「不思議な日本のニュース」といった感じであり、とてもまともに読んでいた人間などいなかったようです。なぜかというと、掲載されている内容についてあまりにも性的なもの、いわゆる下ネタが目立ったためです。以下のまとめサイトからその一部を見てみましょう。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - 「母は、成績を落とさないために堕落する」
毎日新聞問題の情報集積wiki - More moms going down, to ensure grades go up

要約:「アサヒ芸能」によると、38歳の母メイコは、15歳の息子ハルキが勉強せずにオナニーばかりしているので、勉強する前に毎回ハルキに15分間フェラチオをしたところ、成績が急上昇した。この話は本当で、よくある話だ。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - 「女性たちは昔の恋人との"リサイクル・セックス"によって全身全霊に活力を得る」
毎日新聞問題の情報集積wiki - Gals refresh body and soul by 'recycling sex' with old beaus

要約:高給取りの夫がホステスと関係している間、妻たちも昔の恋人たちとセックスしている

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - 「致命的な'イクイク病'は頂点に達している」
毎日新聞問題の情報集積wiki - Deadly 'iku iku byo' reaches a climax

要約:「週刊ポスト」によると、24時間ずっと性的興奮の最高潮(オルガズム)になる病気で苦しんでいる女性が増えており、それは「イクイク病」と呼ばれている。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - 「ファストフードは女子高生たちを性的狂乱状態におとしいれる」
毎日新聞問題の情報集積wiki - Fast food sends schoolgirls into sexual feeding frenzy

要約:ファーストフードを食べ過ぎることによって日本人の女子生徒は色情症になってしまった。若い人々に非常に人気のあるファースト・フードは貪食症が発展することを簡単にしており、身体に不自然に速く吸収されます。これによって中枢神経系をコントロールすることがより難しくなり、連鎖反応で他の中毒になることをより簡単にします。セックス中毒はその適例です。彼女たちはバイブレータを使い、アナルセックスをほぼ皆が経験しており、セックスの気分を良くするために麻薬も使います。彼女たちはちょっとでもセックスする気分になるとナイトクラブのトイレやゲームセンターのプリクラの中でもセックスします。彼女たちは性的衝動をコントロールすることができません。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - 「コック、野獣、悪徳とその偏愛者」
毎日新聞問題の情報集積wiki - The Cook, the Beast, the Vice and its Lover

要約:「実話ナックルズ」によると、六本木のとある高級クラブでは獣姦が行われており、ある弁護士はブタとセックスした後、そのブタを丸焼きのローストにして食べた。

ほかにも、かなりむちゃくちゃな内容のものが多く、以下のページから原文と日本語訳されたものを確認することができます。週刊誌のエロ記事を選りすぐってきたという感じであり、よくもまぁこれだけ書き続けることができたものです。

毎日新聞問題の情報集積wiki - 毎日新聞英語版から配信された記事一覧

毎日新聞問題の情報集積wiki - 毎日新聞英語版から配信された記事一覧その2

毎日新聞問題の情報集積wiki - 毎日新聞英語版から配信された記事一覧その3

■一体誰がこのような記事を書き続けたのか?


当然ながら機械翻訳の記事ではない以上、翻訳した誰か、掲載した誰かがいるはずです。それぞれの記事を見ればわかるのですが、記事末尾に署名が入っている場合が多く、最も多く変態記事を書いていた記者は「ライアン・コネル」という人物。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - ライアン・コネルとは何者か

なぜこのような人物の書いた記事がそのまま掲載されることになっていたのか、このあたりの経緯が今までは謎だったのですが、毎日新聞自体の検証によると「チェックなく素通り 外国人記者任せ」ということで、以下のようになっていたそうです。

毎日新聞社:英文サイト問題検証(1)

「WaiWai」は、毎日新聞が発行していた英字紙「毎日デイリーニューズ」のコラムの一つで、1989年10月に連載をスタートした。硬いニュースだけでなく、「軟らかい読み物」も扱おうと、国内の週刊誌や月刊誌の記事を引用しながら、日本の社会や風俗の一端を面白く紹介する狙いだった。

これがネット上に移行し、どんどん担当者数が縮小、担当記者1名と外国人ライター1名の計2名に。この担当記者こそが「ライアン・コネル」だったのです。

担当記者は、ニュース翻訳の傍ら、1日1本のペースで「WaiWai」の記事(600語程度)を更新し、雑誌の選択も1人でした。途中から、英字紙時代の「WaiWai」に記事を書いていた外部の外国人ライター1人も執筆に加わり、担当記者が週7本、外部ライターが週1本のペースで記事を更新。その中に、性風俗などに関し、掲載すべきでない記事が多く含まれていた。

「日本の社会や風俗の一端を面白く紹介する」コーナーではあるものの、「性風俗など」は掲載すべきではなかったらしい。このあたりが今回の問題の要であり、最重要ポイントです。これが毎日新聞ではなく、どこかの週刊誌であれば誰も騒がなかったし、さほど問題視もしなかったわけです。

担当記者は日本語を理解するバイリンガル。政治ニュースから話題物まで、硬軟双方をこなせる翻訳能力の高さを周辺は評価していた。

一方で、担当記者が性的な話題をおもしろがることを心配する声もあった。

「性的な話題を取り上げるとユーザーの反応がよかったので、そういう話題を取り上げた」とも述べている。

つまり、ページビューを稼ぐためにどんどんとエスカレートしたわけです。普通は上に編集長やデスクといった全体を統括してクオリティを一定に保つ役職の人がいるため、「あまりにもそういう記事だけ書くのは認められないから掲載しない」とか「別のも書いてはどうか」「同じものだけ書いていたらエスカレートするしかない、もうちょっと違う切り口で書くべきだ」などというアドバイスがあるのが通常です。しかしこの通常のシステムがあまりの少人数、そして日本人向けの本紙ではなく外国向けの英語版、しかも新聞記者から見れば当時は軽視しがちなインターネット版ということがチェック体勢の不備を招いたわけです。

 担当記者は、正確さが問われるニュース記事と「WaiWai」とは別の扱いと考えていた。このため、紙面でもサイト上でも「雑誌記事の翻訳で、表現やその内容には責任を負いません。記事の正確さについても保証しません」との趣旨の断り書きを英文で載せていた。

 しかし、「ネット上では毎日新聞の記事と区別しない人がいたので、毎日にとってよくないかもしれないと思っていた」と振り返る。

これはドメインの問題。「http://mdn.mainichi-msn.co.jp/waiwai/」というアドレスを見て「http://mdn.mainichi-msn.co.jp/」とは区別すべき、などと普通の人は考えてはくれないはず。むしろ逆に、「WaiWaiは毎日新聞である」ということがわかり、毎日新聞が今まで培ってきた信用や信頼が上乗せされてしまいかねない、というわけ。もっとも、日本人から見れば毎日新聞は大新聞社なのである程度以上の信頼や信用を得ているわけですが、海外ではまさにこのライアン・コネル記者が考えていたように「正確さが問われるニュース記事と「WaiWai」とは別の扱い」だと捉えられていたはずでした。しかし、これが現在にまでつながる大きな誤解と大問題のきっかけになっていくわけです。

■度重なる問題点の指摘、でも誰も修正しようとしなかった


当然ながら毎日新聞社内でも、このライアン・コネル記者の書く変態記事についてはさまざまな意見があったことが以下の検証記事で確認できます。

毎日新聞社:英文サイト問題検証(2)

外国人スタッフの一人は何度か内容について注意したが、担当記者は「批判されると僕も反発した。(編集長になってからはスタッフが原稿を)ボツにできる雰囲気ではなかったかもしれない」と振り返る。

毎日新聞社:英文サイト問題検証(3)

 女性記者は「取材先の米国人から『こんなひどい記事が掲載されているが、毎日新聞と関係あるのか』と聞かれたことがある。毎日新聞の信頼性という点から非常に深刻にとらえていた」と明かす。

 高橋は就任後に「WaiWai」を見て「低俗だな、セックス記事が多いな」という印象を持ったという。間もなく、担当記者に過激な内容の雑誌名を挙げ、「わいせつな記事は極力使わない方がいい」と口頭で注意した。その後も、「抑えめにしろよ」と2、3回言ったが、高橋はその後改善されたかチェックすることはなかった。

 結局、内部からの警告のサインは、いずれも関係者には深刻に受け止められず見直しに結びつかなかった。

何より問題なのは、2007年10月の時点で毎日新聞がこの事態を外部から指摘されていたという事実。

昨年10月、米国在住の大学勤務の日本女性から内容を批判する英文メールがデジタルメディア局に届いている。「正確さについて保証しない」との断り書きがあっても掲載すべきでないというもので、理由として▽論理的に考えれば記事はウソに違いないと思う▽日本文化をよく知らない人たちに誤解を与える ――ことを挙げた。

毎日新聞とWaiWaiとは別だからここに書いてあることを真に受ける人はいない、とライアン・コネル記者は考えていたというのが先の記述で明らかになっていますが、実際に最も危惧すべきだったのはこの「日本文化をよく知らない人たちに誤解を与える」という点。例え真実ではないにせよ、毎日新聞の看板、今まで培ってきた信用がやはりあるわけですから、「日本の有名な一流紙で信頼もある毎日新聞のサイトにこんな事が書いてある」となれば、やはり一定数の信じる人は出てくるわけです。みんながみんな理論的かつ冷静に判断してくれるわけではありませんし、むしろ新聞というのはそういう人たちのために情報を提供してきた側面があるわけです。特にネット上では情報が錯綜しがちである以上、新聞などの旧来メディアは速報性に劣る部分があっても信頼性という面を大切にしてきたはず。それを逆手に取られた形になり、「日本文化をよく知らない人たちに誤解を与える」ことになってしまったわけです。

昨年10月のこの警告のメールは結局、どういう扱いになったのか?以下のように書いてあります。

 このメールは当時、担当記者も目にしていたが具体的な対応は取らなかった。「返事を書きたい気持ちはあったが、きちっとした内容を書かなければならない。次から次へと仕事があり、できなかった」と理由を述べる。

もしこの場で改善していたのであれば、ここまでの大問題にはならなかったはず。しかし神は見放さなかったのか、さらに2008年3月、つまり今年の3月にもう一度だけチャンスが巡ってきます。

 今年3月にも国内在住という人から日本語で「WaiWai」の内容に疑問を投げかけるメールが届いたが、同様に顧みられることはなかった。

 この2本のメールの内容は、記者だけでなくデジタルメディア局内の他の人にもメールで知らされた。そのリストには局長や局次長、部長ら幹部も含まれていた。

 長谷川と高橋はともに「メールには全く気づかなかった」とし、高橋は「今回最も甘かった点だ。きちっと答えるべきだったと反省している」と述べる。

ここまでの流れをまとめると、

1回目:毎日新聞社内でも問題を指摘されていたがライアン・コネル記者は無視

2回目:2007年10月にメールで問題を指摘されたがライアン・コネル記者はまたしても無視

3回目:2008年3月にもメールで問題を指摘されたが黙殺された


というように、実に3回も改めるチャンスがあったにもかかわらず、何もしなかったわけです。やはり紙媒体の新聞というものを毎日出している以上、ネット上の記事についての感心や優先度といったものは相対的にかなり低かったと見て間違いないでしょう。

そしてそうこうしている間にネット上の誰かがこんな風にして気づいたのです。「毎日新聞が変態記事をネット上に英語で世界に向かって配信している!」、と。

■2ちゃんねるに飛び交うコピペ、そしてまとめサイトの登場


時期を同じくして、2ちゃんねるのあちこちにこの毎日新聞の英文サイトにとんでもないことが掲載されていると指摘するコピペが貼られるようになり、まとめサイトが登場しました。

毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - トップページ

しかし当初は今のように情報がまとまってはいてもあまりに冗長であり、中身も膨大な量に及ぶため理解しづらく、なかなか火が付くところまではいきませんでした。それでも散発的には以下のような感じで話題になっていました。

2008年4月24日:Mozu@の囀: 毎日新聞英語版は誰にハックされているのか

裏とりなどない創作記事がほとんどですからこれは端的にデマゴギーといっていいでしょう。それで問題なのはこれを読む読者の側に週刊誌リテラシーが必ずしもないという点です。つまりこれを事実として受け止めてしまう人が多いわけです。さらに問題なのは毎日新聞は記事の責任を負わないと明言し、この Connellなる人物もこれはただの翻訳なんだと開き直っている点です。つまり日本を代表する新聞が責任を放棄した上でデマを流しているという状況です。

実際、英語圏では毎日新聞というのは低俗タブロイド誌だと思われているわけです。

2008年5月30日:世の中を生暖かく見守るブログ : Ryann Connell pisses off Japanese cyber community - livedoor Blog(ブログ)

Ryann Connell という写真のとおりピザでキモめなおやじが担当してるんだが、実話ナックルズとかどうしようもない雑誌からお下劣な記事を勝手に英訳して毎日新聞のドメインで配信しているのだ。
つまり問題はありもしない話でも毎日新聞という看板で出していると外人は本当のことだと信じ込むかもしれない。(つか信じてるよ)
どうやら本人2chでの動きに気づいたらしく、ようつべとかflickrのアカを工作してますwww

2008年6月19日:毎日新聞の運営する英語サイトで日本を誤解させる怪しい記事が - やじうまWatch

まとめサイトが開設されていて、かつてWaiWaiで配信された記事が一部、日本語に再翻訳して掲載してある。読む人が当てにならない記事だと認識していれば問題ないわけだけれど、日本でトップクラスの発行部数の全国紙である毎日新聞のWebサイトだから、妙な信憑性をもってしまい世界中に日本に対する誤解を振りまきかねない状況だった。WaiWaiへの怒り方が右翼活動を連想させたのか、4月ごろからネットで批判があがっていたものの、あまり注目されなかった。

2008年6月20日:J-CASTニュース : 毎日新聞英語版サイト 「変態ニュース」を世界発信

「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」「防衛省の『ロリータ』漫画キャラクターで内実が明らかに」――なんと毎日新聞の英語版サイトでこんな驚くべき記事が配信されていた。中には「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」という、目も当てられなくなるような「変態ニュース」もある。これらの記事は国内だけでなく、海外のネット上でも話題になっていた。

2008年6月21日:痛いニュース(ノ∀`):「日本の母親、息子の勉強前に性処理」「日本の女子高生、食物でセックス依存症に」…毎日新聞、“変態ニュース”を5年に渡り世界発信→批判受け削除

15 名前:名無しさん@全板トナメ参戦中[] 投稿日:2008/06/20(金) 21:52:07 ID:S+Vfp7me0
これって、最近よくコピペが貼ってあったやつ?

16 名前:名無しさん@全板トナメ参戦中[] 投稿日:2008/06/20(金) 21:52:12 ID:uYqdz5990
前にコピペで見たけど毎日の英語版ってひどいらしいな。
誤訳というかあれは意図的だろ。

6月20日のJ-CASTが報じたあたりから火が付いていたのですが、6月25日、ついに毎日新聞が重い腰を上げて発表してしまいます。

毎日新聞社:英文サイトのコラム、読者におわびします

これで一気に火が付き、それまでまとめサイトの状況などを見ても半信半疑だった人たちが「やっぱり本当だったのかよ!」ということになって大騒ぎに。しかしこれだけならまだ1週間もすれば鎮火するようなレベルだったはずなのです。だが、毎日新聞はここで打つ手を間違えてしまいます。もっともしてはいけないことをしてしまうのです。
■毎日新聞が対応ミスで炎上、火に油を注いで燃料大爆発


ここまでであれば「まったくこれだから毎日新聞は……信用ならない自称クオリティペーパーだな」程度(それでも信頼度の低下という意味では大事件)で済んだのですが、やってはいけないことを2008年6月28日、先の発表からわずか3日後にしてしまいます。

毎日新聞社:役員・記者ら処分 英文サイトに不適切コラム

上記の発表が掲載された直後にはなかった以下の一文が突如、更新されて付け加えられたのです。

インターネット上には、今回の処分とは全く関係のない複数の女性記者、社員個人の人格を著しく誹謗(ひぼう)・中傷する映像や書き込みが相次いでいる。毎日新聞はこうした名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる。

この「法的措置を取る方針」というのが宣戦布告として捉えられた、つまり毎日新聞にとって都合の悪いことを言いふらす奴らは毎日新聞が片っ端から訴えてやるぞ!だまれだまれ!というように捉えられたわけです。要するに、「毎日新聞は逆ギレしている、反省していない」というように……。

毎日新聞が言うところの「インターネット上」とはどこのことかというと、主に2ちゃんねるのニュース速報+板というところ。いつもは「見えない敵と戦っている」と揶揄されるようなこともあったのですが、ついに本物の「見える敵」が出現してシューティングゲームのラスボスみたいに発狂モードに突入、当時は史上かつて無いほどの勢いで毎日新聞変態記事騒動のスレッドが立ちまくり、まさに発狂したかのようなスピードとコピペの嵐で何がなんだかわからない状態にまで超加速していました。その中で今回の記事を書いたとされる記者や関係していると推測された記者などに対するかなりひどいコピペが大量に貼られてしまい、頭に来た毎日新聞側が威嚇目的で例の一文をあとで追記した、というわけ。

当然ながら2ちゃんねるのニュース速報+板、ならびに既婚女性板は頭から火を出して怒りはじめます。あまりのスレ速度と発狂っぷりにもともと昔から存在している方のニュース速報板は完全にドン引き状態になり、以降、この毎日新聞変態記事騒動はニュース速報+と既婚女性板を中心にさまざまな活動が繰り広げられることになります。

■mixiにて毎日新聞を訴える者が登場


そうこうしているうちに、なんとこの追記が元でぶちきれた人がついに毎日新聞を訴えてしまいました。

低俗英語サイト問題で、毎日新聞に「法的措置」を実行予定の人 - やじうまWatch

さてこの「法的措置」を、毎日新聞に向けて実行することを宣言したmixiユーザーがいた。日記で公開されている訴状の文案は、「かかる記事は日本人全員を侮辱するものであって、原告も日本人の一員として、被告に対し強い憤りと、被告の行為について強い精神的苦痛を受けた」として、毎日新聞に10万円を求める内容となっている。提訴がほんとうに行われるかどうかも含め、今後の動きに要注目だ。

以下のサイトにて訴状を読むことができます。

散歩道 : 毎日新聞を告訴してみた

第1回の口頭弁論は8月7日に神戸簡易裁判所で行われるとのこと。どうなるのでしょうかね……。

■ついに毎日新聞社前でデモ、ネット経由で約1万1000人が生中継を見守る


この頃からニュース速報+上のスレッドでは、毎日新聞本社前にて抗議デモを行うので来て欲しいという旨のコピペが突如として貼られまくり、参加するように煽っていました。当日の様子は以下から見ることができます。

毎日新聞社前抗議ほか…今週の注目ネットニュース[動画有り]|トレンド|無料動画 GyaO[ギャオ]|

このデモはネット上にてスティッカムを利用して生中継され、最大で約1万1000人が同時アクセスするという事態に。以下がその際の様子。


この生中継の様子をGIGAZINE編集部からも見ていましたが、実態としては政治団体などに利用されていただけ、としか感じられませんでした。何度か毎日新聞本社ビル内に突入しようと突撃するものの警察や警備員に阻まれて何度も追い返させられ、あるいはなぜか毎日新聞と関係のないことを叫んだり……支離滅裂でなおかつ旧態依然としたデモであり、ほとんど何の収穫もありませんでした。

J-CASTニュース : 毎日新聞社への抗議デモをネット中継

主催したのは「在日特権を許さない市民の会」。抗議の模様はインターネットで中継された。協賛は「日本を護る市民の会」「せと弘幸Blog『日本よ何処へ』」「主権回復を目指す会」。主催者達は「君達は新聞記者としての誇りは無いのか!」などと拡声器で声を上げた。

探偵ファイル~スパイ日記~/毎日新聞本社に「変態ニュース」抗議デモ!!/大住

事前に心配されていたように、主催が「在日特権を許さない市民の会」ということもあり、変態記事に対する抗議もあったのだが、なぜか「在日」に関してのコールがあったり、「毎日」と「朝日」を間違えたりとやや「ズレた」抗議も目立った。

デモの最後は「切腹しろ!!」と全員で合唱するなど、「ズレた」まま終わった今回のデモ。
参加者の中には「ネットで見てかけつけた」「初めての参加だ」という人もいたのだが、どういう風に感じたのだろうか。

やはり今の時代、こういうスタイルのデモ抗議活動というのは受け入れられないようです。

では、今の時代にふさわしい抗議スタイルとは何か?その驚愕の全貌がついに明らかになります。これが毎日新聞を揺るがす非常事態、ひいては7月20日に毎日新聞本紙で詳細に掲載された内容へとつながってくるほどの破壊的威力を持つわけです。

■毎日新聞のサイトから広告が消え、収入源が消滅


紙の新聞は毎月の購読料を払うことによって読まれるわけですが、それでも広告が必ず掲載されています。ネット上のニュースサイトであれば無料で読むことができるので、紙の新聞以上に広告は重要です。そこに目を付けて、究極の抗議活動が行われました。

毎日新聞問題の情報集積wiki - 何をすればいいの?

毎日新聞問題の情報集積wiki - 毎日新聞に広告を出していた企業

そう、広告を出している企業に今回の変態記事騒動のことを連絡して密告、広告を外すように圧力をかけ始めたわけです。これが意外にも非常に効果的で、ビラを配ったり、クチコミで今回の騒動を広めるよりも強力なインパクトを与えました。

「毎日jp」が自社広告だらけに、ネット上に深いつめ跡残る:ITpro

毎日新聞社のニュースサイト「毎日.jp」で、先週末以降、広告スペースの大半が自社広告で埋め尽くされる事態が続いている

つまり、2ちゃんねる有志からの抗議を受け、広告を出稿してくれる広告主がどんどん撤退していき、気がつくと毎日新聞自身が自サイトに出している広告だけになっていた、というわけ。

このことは週刊新潮でも取り上げられました。

【毎日・変態報道】“ネットの敵”毎日新聞、スポンサー撤退が始まるも、名古屋などに大量の不動産所有のため経営はまだ大丈夫…週刊新潮

「スポンサーが逃げ始めた」とは、ある毎日新聞関係者。「しかも、『waiwai』が載っていた英文サイトに留まらず、
日本語版の『毎日.jp』にも広告が入らなくなってしまった『waiwai』があまりにも醜かったため、
うちのニュースサイトに広告を出すと企業のイメージが悪くなると」

具体的には、事情や形態に若干差異があるとはいえ、日産、キリン、JCB、富士通等々の有名大企業の広告が、
「毎日.jp」や毎日デイリーニューズから姿を消した。
「毎日.jp」のトップページを開くと、確かに毎日の自社宣伝以外は見当たらない。
朝日、読売、日経が共同で立ち上げた「あらたにす」、また産経新聞の「MSN」と比べても、見劣りは一目瞭然。

そして7月20日、毎日新聞は朝刊1面と特集面(東京本社発行版の22面と23面)に英文サイトのコラムに関するおわびと内部調査結果などを掲載、ネット上にも以下のように掲載しました。

英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします

今回のタイミングは以前から「7月中旬に発表する」と言っていたのでおかしくはないのですが、紙の毎日新聞しか読んでいない人には何が原因かわからず、ネット上で経緯を知った人にとっては甘く感じられる内容だったようです。

推測ですが、これはどちらかというと、先の記事でも触れたように「離れていった広告主たちへの言い訳」と考えた方がしっくりとくる感じがします。つまり、これ以上被害が大きくならないように、そしてイメージの悪化を心配している広告主に対して、反省してこれから改善するという姿勢を見せることでなんとかしようというわけです。

果たして、そううまくいくのでしょうか……?

なお、検証記事の中で最も興味深いのが「検証チームの分析」という部分。5つの点を指摘しています。

毎日新聞社:検証チームの分析

チェック機能に欠陥」「品質管理体制の不在」「記者倫理の欠如」「英文サイトへの認識不足」「批判への対応鈍く」という5点。何というか、これまで毎日新聞などが報じてきた食品表示偽装問題などと通じるところが多くあります。

■毎日新聞の変態記事で被害を受けるのは誰?


さて、ここまでの流れを見る限りでは「一体誰が被害者なのか?」「どのような具体的被害があったのか?」という点がまるで見えてきません。

毎日新聞が食らった打撃(=広告主の撤退による収益減、毎日新聞自体の信頼性の低下)は明白ですが、それ以外では何があるのでしょうか?まとめサイトによると、以下のようなWaiWai記事の引用による影響が確認されています。

毎日新聞問題の情報集積wiki - 記事が及ぼした影響

最初の時点で危惧されていたように、「毎日新聞」と「WaiWai」を完全に切り離して理解できない英語圏の読者によって、さらなる誤解が拡散されているというのが実情のようです。

つまり、日本では週刊誌のあのような変態記事はただのゴシップレベルの記事であり、興味本位の内容であり、鵜呑みにして信じることはできないということをある程度のレベル以上の知識と知性、理性を持った大人であれば理解できるわけですが、こういう日本独特の構造を理解できない英語圏の人にとっては「数少ない日本の実情を知ることのできるニュースソース」になってしまう、というわけ。信じる信じない以前に一番最初に触れたものを基準として人間は考える傾向が強いので、そういう意味では毎日新聞の変態記事の影響はこれから継続して確認していく必要性があるでしょう。

逆に、今回の騒動で一体誰が得をするのか?あるいは、誰が得をしたのか?そのあたりも考える必要があります。

■毎日新聞はいつになったら、そして、何をすれば許されるのか?


ヒステリックな糾弾を繰り返し、自分たちと違う意見はすぐに工作員認定しても、何も解決しません。建設的意見以外はすべて時間のムダです。しかし、最近の各マスコミがいわゆる食品表示偽装問題に絡んで、ヒステリックな報道を繰り返した結果、ブーメランとなって今、毎日新聞のところへ跳ね返ってきています。

ネット上で散見される毎日新聞への要求としては以下のようなものがあります。

「○年間掲載を続けたから○年間謝罪ページを掲載し続けろ」
「不二家がつぶれたのは毎日新聞とTBSの執拗な責め立てによるものだから、毎日新聞もつぶれろ」
「船場吉兆の問題に関してあれだけ責め立てたのだから同じようにして責め立てられろ」
「毎日新聞の一面にでかでかと掲載してすべての事情を詳細に誰が読んでもわかるように掲載しろ」
「訂正記事はまとめてごめんではなく、ひとつひとつ謝罪すべき」


つまり、毎日新聞がぶっつぶれて廃業するまで、反省しても許されず、関係者を処分しても「甘い処分」になるわけです。

おそらく、今回の騒動を最初から知っていて、ずっと関わっている人々が納得する方法というのはただひとつ、「毎日新聞の死」のみでしょう。

何を持って許すのか、何をすれば許されるのか、誰が許すのか、一度ミスをすれば二度と復帰できないのか、今まで生きてきて一度もミスせず神業的な人生を送ってきた人間などいるのか?関係者への処分が甘いのであれば、どうすべきなのか?死ぬべきなのか?誰かの人生が崩壊しないと気が収まらないのか?

そういうもろもろの問題について今まで報道せず、ただ扇情的に表層的な部分のミスを上げ連ねて執拗なまでに相手を追い込んでいく、そういうスタイルの報道が繰り返された結果、同じ事が毎日新聞に対しても求められるようになったわけです。まさに自業自得と言うほかないでしょう。

また、気になるのは「なぜほかのテレビや新聞ではこのことを報道をしないのか?」という点。これもまさに先ほど書いた「自業自得」と同じです。どこのメディアも、このことに関して報道すれば、もし何か起きたときには自社も同じような対応を求められることを知っているから、書かないし、報道もしないわけです。内容が変態的な記事が多いので直接的には取り上げにくいというのもあるかもしれませんが、それよりも何よりも、最終的に今回の件の責任は毎日新聞にだけあるわけではなく、付和雷同的にネットを敵視、新聞やテレビの方が格上であり、ネットには裏サイトがあるだの誹謗中傷があふれているだの、信頼できないだの、サブカルとキモオタの巣窟だの、そういうネガティブ報道しかしてきていないし、また、上の方にいる古参社員などは事実そう信じているらしいので、余計に今回の件に関しては「スルー」したいのでしょう。今まで散々バカにしていたネットに対する引け目などもあるのかもしれません。あるいは、今回の「広告主に対する攻撃」などで、一種の「恐怖」を感じているのかもしれません。

今回の騒動において最大の問題は「落としどころはどこなのか?」という点です。今までであれば、一定期間が経過すればマスコミ自身が次の事件に興味を移すので風化していったわけですが、インターネットは半永久的に情報を残し続けます。そのため、「万人が納得する答え」などあるわけがないのです。この騒動に深く関わっている人たちは自分たちの考えや意見以外すべてを否定していますし、それは毎日新聞も同じです。互いに妥協できる点を見つけ出そうという行動ができないわけです。というのも、肝心のネット側には誰か代表する人物がいるわけではないし、毎日新聞の側も誰かが総まとめで責任を取るだけのリーダーシップを示すわけでもない。ネット上のさまざまな人に向けて呼びかけて意見を求めるわけでもない。結果、これだけの大惨事になってもなお、先が見えないわけです。

一体、毎日新聞は今後、どうするつもりなのか?本音のところがさっぱり見えないわけですが、実際に社内ではどう今回のことは捉えられているのか?そのあたりのことを直接、GIGAZINEでは毎日新聞社に取材する予定です。取材にまったく応じてもらえないような気もしますが、もしそうであるのならば、もはやそれまで、ということです。

もしも取材が可能になった際、毎日新聞に聞いて欲しいことがあるという人はここをクリックしてGIGAZINE編集部に教えてください。すべて質問できるとは限りませんが、がんばって聞いてみます。

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