Winnyなどのファイル共有ソフト常習者に対しインターネットを切断することに


読売新聞の報道によると、国内のプロバイダ各社が加盟する4つの業界団体が、ファイル共有ソフトを使って違法なファイルを常習的にダウンロード・アップロードしている利用者に対して、インターネット接続を強制的に切断することで合意したそうです。

今回の方針について、一体どのような経緯でこのような結果になり、そしてどういったことが予想されるのかを考えてみました。

詳細は以下。
違法コピー常習者はネット切断、プロバイダー業界が合意 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

これによると、この4団体で国内の主要プロバイダ約1000社を網羅しており、具体的な方針作りを既に始める予定で、2008年中には実施する予定。

方法としては、「社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC」や「ACCS 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会」が専用のソフトを使ってファイル共有ソフト利用者のIPアドレスを特定し、所属するプロバイダに通知し、プロバイダはこのIPアドレスを分析してどの利用者かを特定して警告メールなどを送信。警告メール送信後も無視して利用を繰り返した場合には一定期間の接続停止処分や利用契約の強制解除による退会処分などを行うとしています。

上記方法によって、いわゆる「通信の秘密」などには抵触しないことが既に総務省からも確認されており、さらに警察庁も加わることで悪質な利用者を取り締まっていくとしています。

なお、この4団体についてですが、過去の総務省のリリースなどから推測すると以下の4つであると思われます。

社団法人テレコムサービス協会
http://www.telesa.or.jp/

社団法人電気通信事業者協会(TCA)
http://www.tca.or.jp/

社団法人日本インターネットプロバイダー協会
http://www.jaipa.or.jp/

日本ケーブルテレビ連盟
http://www.catv-jcta.jp/

今回の「Winnyなどのファイル共有ソフト常習者に対しインターネットを切断する」という方針についてですが、これは著作権団体とプロバイダ、双方の利害が一致した結果であると考えられます。

まず著作権団体は言うまでもなく、ファイル共有ソフトによる被害が多いと推測され、「Winny」による被害額を以下のようにして発表しています。

「Winny」による被害相当額は、音楽ファイル4.4億円、コンピュータソフト等95億円、
合計で約100億円の規模と推定


また、プロバイダ側については、ファイル共有利用者を追い出して、全体のトラフィック(アップロードやダウンロードに伴う転送量)を下げ、設備投資を抑制したいと考えられ、そのことは総務省のサイトにある以下のPDFファイル中にも記載されています。

(PDFファイル)通信キャリア/ISPから眺めたP2P

トラフィックの急増に伴い、加速的に増大する設備コストの課題

○WinnyのようなP2Pファイル共有や、無料インターネットVOD等の普及により、従来のネットワークインフラでは、まかなえないほどの情報流通が発生している。

→通信キャリアやISPは爆発的なP2Pトラフィックの流通により、際限ない設備投資を求められることとなっている。

既に各プロバイダは設備投資を抑制するため、以下のサイトでまとめられているように通信速度規制などを積極的に行っているという現状があります。

ISP規制情報Wiki
http://isp.oshietekun.net/

これだけならまだしも、YouTubeやニコニコ動画のようなストリーミングコンテンツが増加しており、既にファイル共有ソフト(P2Pソフト)によるトラフィックを抜いてしまっています。

ITmedia News:YouTube人気が影響、HTTPトラフィックがP2Pを抜く

特に日本国内において深刻な影響を与えていると考えられるのがニコニコ動画で、なんと日本全体のトラフィックの10分の1を既に占めています。

「感情の共有」,「負荷との戦い」---ニコニコ動画の技術:ITpro

開設後1年足らずで400万人の会員を獲得,日本全体のトラフィックの約10分の1を占める。その成長速度はmixiも上回り,日本史上最速と見られる。

ニコニコ動画は最近になってテレビ局に著作権侵害動画を全部削除することを宣言していることに加え、通信の秘密を侵害せずに違反者を特定する手間がかなりかかると考えられるため、今回のような著作権団体からの申告とそれによるプロバイダからの警告、そして最悪の場合には退会処分という方針が決められたと推測されます。

また、実際には文化庁の川瀬室長の発言にもあるとおり、違法アップロードしているユーザーに対して日本レコード協会などが警告すると9割がアップロードをやめるそうなので、警告をとにかく発し続けることでユーザーを萎縮させて被害額を抑え、なおかつ悪質な場合には警視庁の協力も得て著作権侵害の刑事罰を適用して5年以下の懲役または500万円以下の罰金にして一罰百戒の効果を狙うと考えられます。

ただ、実際に侵害しているかどうかは通信内容を調査することができない以上、誰にもわからないことに変わりはなく、著作権団体の調査方法にしても公開されていない以上、実際に正しいかどうか、つまり本当に常習的に使用している悪質な利用者であるかどうかを完全に間違いなく特定できているのかどうか、間違って違う人物に対して警告を発する可能性もあり、あくまでも「警告」とその警告に従わないという「規約違反」の双方の組み合わせ技で封じ込める方針のようです。

なお、個人的な経験談ですが、ファイル共有ソフトを使っていないのに、ダウンロードした覚えのないファイルについて、所属するプロバイダから「著作権侵害しているということで著作権団体から警告メールが来ている」という連絡を受けたことがあり、逆にこちらから抗議したことが最近ありました。ぶっちゃけ、いわゆる「えん罪」、無実の罪になるケースもかなりあると思われますので、今後の展開については要注目です。

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in メモ,  コラム, Posted by darkhorse