メモ

GoogleのCEO、エリック・シュミットによる経営哲学とは?


現在、世界で最も注目されている企業と言えばGoogleですが、先ほどまで放送されていた「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」の中で、そのGoogleの最高経営責任者、エリック・シュミット氏の単独インタビューというものがありました。

「お前、クリエイティブになれ!と言われてもクリエイティブにはなれない」
「大事なのは間違いを認めすぐに修正すること」
「集団の方が個人より優れた判断が出来ると信じている」


などなど、なかなか示唆に富んでいる内容だったので、経営者のみならず普通の人にとってもなかなか考えさせられる面があるのではないかと。

詳細は以下の通り。
スペシャル (2007年5月29日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

「大事なのは、間違いは誰にでもあるということ。そして間違えたときには、すぐに修正をすることです」。そして、リーダーにとって最も重要な資質は、「聞いて学ぶ能力」だ。「話すことより聞くことのほうが効果をあげることも多い」だという。


このインタビューの中で、今のGoogleの経営を可能にした最大のものはインターネットであり、インターネットでつながっていれば東京にいてもアメリカにいるときと同じように仕事をすることが出来る、しかし問題は時差だけ、と言っています。また、Googleは決して無敵ではなく、大事なのは間違いを認めすぐに修正することである、とも。その中で例に出てきたのが新聞広告。かつて新聞広告についてのシステムを作ったが、全然ダメだったので違うシステムに作り替えたところ、成功した、つまり、2回目が1回目よりも優れたものになることは多い、と。

この件は以下の記事でも確認できます。2006年11月の話ですね。

Japan.internet.com Webマーケティング - Google、紙面広告プログラムの試験運用実施へ

最初はつまづいていたのですが、想定額の3倍にまで達しているらしい。今はどうなっているのでしょうかね?

メディア・パブ: Googleの新聞広告事業,来年早々にも本番サービスに拡大を

また、クリエイティブなアイディアを得るためには間違いを認めることが大切であり、リーダーが持つべき重要な性格や資質は「他人の意見を聞いて学ぶ能力」としています。つまり、誰もすべてのことを知ることはできない、と。例えば、役職を重んじる古い経営だと部下の話を聞かないで命令する上司が多かったが、Googleでは誰でもCEOであるエリック・シュミット氏と直接話す事ができるとのこと。そのため、日本訪問時においても日本のGoogleの社員には「もっと声高に主張しろ、もっと意見を出しなさい」と言っているそうです。

そして、最も気になるポイント、エリック・シュミット氏は一体どのようにGoogleを経営しているかというと、まず会議では「何が起きているの?」とみんなに尋ねて、それから「私はこう思うけど?」といって反論や意見をしばらく待つ。そうするとそのうちいろいろな意見が出てきて、結果的に参加している人みんなを巻き込んだ議論になればOK。その中には間違っていることもあれば、正しいこともある、そしてその過程で学ぶ。ひととおり意見が出てきて、話を聞き終えたら最後に「ほとんどの人が私を正しいと思うようだから、では私の意見の通りにしよう」あるいは「私が間違っているのか?」とみんなに聞いて、みんながそうです、と答えれば「ではみんなの言うとおりにしよう」というように決めていくそうです。

この会議のやり方の根本は、「集団の方が個人より優れた判断が出来ると信じている」点にあり、エリック・シュミット氏は「集団は個人より賢い」と信じているそうです。それを指し示すかのごとく、エリック・シュミット氏自身はもうここ何年も新しいアイディアを出していないとのこと。しかし、社員は常に新しいアイディアを提案してくるため、提案されたらすぐに「すばらしい、それつくってみてよ!」と言うことにしており、しばらく経ってから「この前言っていたあれはできたかい?」と聞く。あるいは「あの件はどうなっているの?」とメールを送るそうで。このようにして社員からのアイディアを覚えておくようにするのが経営のコツだそうです。確かにGoogleのサービスのほとんどは「就業時間の20%を自分の好きな研究などに費やす」という20%ルールから生まれており、そういう意味では有効な方法なのだと思われます。

つまり、リーダーにとって大事なのは「聞くこと」と「聞いたアイディアを結びつけること」、そして「創造的な人たちが話し合える雰囲気を作ること」の3つ。

また、Googleに対してはまるで怪物のようだという批判もあるが、そういう点にはもちろん同意する、と。しかしながら、クリック一つで選ばれる競争の中でユーザーは実際にグーグルを選んでいるという事実があり、これは個人個人にあって信頼されているからこそ選ばれている、誰もグーグルを使うことを強制されているわけではない、グーグルは検索の質やどんな端末でも使えるということで支持を得ている、としています。

そして、今の経営スタイルのままで当分は規模を拡大することが可能であるが、いつまでも今のような調子で拡大することは無理だということもわかっており、しかしここ数年は成長が止まることはなく、むしろ今のような雑然としている経営の方が合っていると思う、ということでインタビューを締めくくっていました。

全体的には、Googleのようなある種のエリート頭脳集団だからこそ成り立つ理論のような気がしないでもないのですが、ある意味での理想像ではあるのでしょうね……。

なお、過去の他のメディアにおけるインタビューや講演も合わせて読むと理解が深まります。

@IT:Google CEO、その強さの秘密を語る(2003年7月)

「社員の創造性を発揮させることが成功のカギ」と米グーグルCEO:ITpro(2005年10月)

social web rambling エリック・シュミット、WiredのインタビューでGoogleを語る(2007年4月)

ITmedia News:「Googleの買収は加速する」--シュミットCEO(2007年5月)

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?~前編~ - GIGAZINE

初代Googleのアルゴリズム解説 - GIGAZINE

Googleで効率よく新鮮な匿名プロキシを探す方法 - GIGAZINE

GIGAZINE - Googleが日本の法律に従うならば、Googleは確実に違法

Googleのオフィスはいかにして作られたのか - GIGAZINE

Google本社の観光案内マップ、ここを押さえればOK - GIGAZINE

Google Adsenseでクリック単価の高いキーワードの見つけ方 - GIGAZINE

Googleによると、ハードディスクは温度や使用頻度に関係なく故障する - GIGAZINE

Google マップで「ぼかし」がかけられ隠されている場所いろいろ - GIGAZINE

Googleと神の戦い - GIGAZINE

Googleでウェブカメラを根こそぎ探し出す方法 - GIGAZINE

Googleマップで経路検索すると「大西洋を泳いで渡る」と表示される - GIGAZINE

あなたがGoogleで検索する度に12セントがGoogleの収益に - GIGAZINE

GIGAZINEがGoogleブランド使用許諾を得るまでの物語 - GIGAZINE

8年前、Googleはこのガレージから始まった - GIGAZINE

グーグルは今のままでは日本人の人生を変えることはできない - GIGAZINE

Googleグッズが買える公式オンラインショップ「Google Store」 - GIGAZINE

GoogleからGIGAZINEにクリスマスプレゼントが届きました - GIGAZINE

Googleが保持するドメイン数は500個以上 - GIGAZINE

Google本社「Googleplex」内部ムービーや最新内部画像など - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse

You can read the machine translated English article here.