「分煙」について「JT(日本たばこ産業)」にインタビューしてきました


国内唯一のたばこ製造会社、「JT」に行ってきました。

最近推進されている分煙についてや、タバコ以外に手がけている飲料や冷凍食品、医薬品などはどうしてそういう方向に手を伸ばしていくことになったのかなど、いろいろ聞いてきました。
これがJT本社ビル、大きい、高い


受付にて本社ビルの模型を発見


本社ビル1階に併設されている携帯灰皿博物館Mobile Ashtray Museum


中はカフェのような作りになっており、なかなかオシャレ


店内では無線LANの「FREESPOT」が使える


この日は風が強かったので入口が締切になっているが、ふだんはテーブルを置いてオープンカフェのような感じになるらしい


各種携帯灰皿が展示・販売されており、いろいろと物珍しいタイプが多い


数も結構多い


いろいろな携帯灰皿


灰皿にもいろんなブランドがある


ビスケットやチョコレートを模した灰皿


iPodっぽいデザイン


◆JTと分煙について

GIGAZINE(以下、G):
今回のインタビューはメインが分煙ということなのですが、JTが分煙を推進し始めた時期というのは、分煙について明記された健康増進法が施行される2003年5月より前なんでしょうか?

中井(以下、N):
本格的に取り組みを始めたのは2003年以降ですが、それ以前から各所の施設で分煙をしないといけないとか、分煙を適切に行うためにはどうしたらいいかというテーマはありました。1995年にはJRと共同で車両内分煙の研究をやったり、1996年には大手ゼネコンの竹中工務店と一般の事務所内での分煙についての取り組みをやったり、1997年にはJALとの航空機の客室内での分煙の仕方などを研究していた経緯があります。

G:
必要があれば研究をしていた前例があるんですね。

N:
例えば、今はどこの空港に行ってもちゃんと喫煙室があるんですが、とっかかりはJTでやったんです。一番最初に手がけたのは2003年の新千歳空港で、始めて本格的に部屋の分かれた「喫煙室」というものを作りました。喫煙室を作るからには中にいる人が快適な環境で煙草を吸えないといけないし、煙が外へ漏れるとタバコを吸わない人からのクレームが来てしまう。新千歳空港にそういうことのないしっかりした喫煙室を作ることができたので、空港関係者が新千歳のものを視察に来て各空港で独自に喫煙室を作ったり、JTにどうしたらいいのかと連絡があったりしました。それで広がっていきましたね。

G:
なるほど、空港もそういう活動をするとは思いませんでした。

N:
煙草が問題になると言っても、航空会社等のサービス業にとっては喫煙者もお客さんです。完全禁煙にしてしまうと楽は楽ですが、日本には3000万人ぐらいの喫煙者がいるので、駅のホームに喫煙所がないと外に出てタバコを吸い、ポイ捨てして美観を損ねたり周囲の迷惑になったりしてしまう。

G:
確かにありますね。

N:
タバコというものがどういうものかとらえた上で、サービス業の一環として提供していこうと考えています。大規模な商業施設などは、多くの人に来てもらわないといけない。そんな時に全館禁煙だと、タバコを吸うお父さんと吸わない家族とが買い物に行ったときにすぐ帰ってしまう。喫煙室があれば、家族が買い物をしている間、お父さんは煙草を吸いながら待つことができます。

◆空気清浄機は役に立つのか

G:
分煙装置として空気清浄機や分煙機がありますが、実際は一酸化炭素などの有害物質は除去できていないと昔は言われていました。家電製品がかなり進化をしていることを考えると、空気清浄機もかなり改善されているとは思うのですが、今はどれぐらい役に立つんでしょうか。花粉などは書いてあっても、タバコについて書かれていることは少ないのですが、民生用の空気清浄機で大丈夫ですか?それとも、まだ力不足なのでしょうか。

N:
空気清浄機のメーカーといろんな話をしていますが、タバコの粉塵以外に花粉対策なども含めて、性能はちょっとずつ上がっている。粉塵は除去できますが、においまでは完全に全部取れるところまでいっていないようです。データの詳細はわかりませんが、メーカーの話だと性能は徐々に上がっているということで、JTもそういう認識を持っています。ですからオフィスの喫煙室の中でタバコの臭いが残って気になるという話になると、分煙機の台数をいくら増やしても解決しない。空港でもオフィスでも、より快適な空気にすることを考えると、排気が重要になってきます。

G:
なるほど、きっちり排気しないと空気清浄機や分煙機だけではダメだ、と。

N:
あとはメンテナンスですね。空気清浄機や分煙機は取り付けるとどうしてもそのままにしてしまいますが、フィルターのメンテナンスをしないとだんだん汚れがたまり、そこから臭いが発生して逆効果になってしまいます。商業ベースの施設やオフィスに設置している分煙機なんかは1~2ヶ月に1回メンテナンスしないといけないんですが、メンテナンス1回ごとに1台2万円ぐらいかかってしまうんです。しかし、きちんとやらないで放置しておくと臭いの元になってしまう。最初に施設に分煙機を導入した人はメンテナンスの必要性は理解していると思うのですが、現実問題なかなかメンテナンスができなかったりして、逆に問題になったりするんです。

G:
機械の性能はあがっていても、メンテナンスなどをしっかりしてもらわないと効果が出ないということですか?

N:
そうですね。

G:
ということは、排気を確保して機器のメンテナンスなどをしっかりやれば、性能自体は向上しているのである程度は効果があるんですね。

N:
空気清浄機や分煙機の性能向上は進んでいるのですが、これさえ置けば100%解決するというものは今のところ見当たらないですね。それが解決できる機械さえあれば、「これを喫煙室に置こう」ということで済むんですけどね(笑)

G:
確かに、そんな理想的な機械が出てきたらバカ売れするでしょうね(笑)

N:
まだなかなか技術的に難しいらしいです。

◆JT社内での分煙

G:
JT社内での分煙はどのように行われているのでしょうか?

N:
部署ごとに喫煙コーナーを作っていたりして対応しています。このビルの中にはないんですが、事務のセンターや食品関係の施設などではそれぞれでルールを決めていたり、喫煙室を作っていたりする。また、JTがタバコを商品として扱っている会社だからといって、タバコを吸うことを強要するようなことはありません。

乾(以下、I):
JTはもともと専売公社で、タバコしか売っていない会社でした。昔は分煙という運動もなかったし、社内でタバコを吸えない場所の方が少なかったんです。しかしその後、食品関係の事業を他社から買い取ったりして外の文化が入って広がると、このフロアは分煙にしようとか、借りているビルのルールに従ったりするようになりました。本社ビルはほとんどの場所で吸えるようになっています。というのは、分煙というより排煙システムがすごい。天井に機械が入っていて、一切煙がこもらないようになっているんです。

G:
中でタバコを吸う人が多いから排煙もきっちりやったということですか、それはすごい。

I:
採用の面から言っても、入社してから実はタバコの存在がダメなんですということになるとお互い不幸なんです。会社案内の時から、タバコを吸わない人でも大丈夫だけど、タバコの存在が許せないという人がJTを選ぶと後々、辛いときがあるかもしれないよという話はしています。ただ、医薬や食品も扱っているので、そちらで力を発揮したいという人はいたりします。

G:
社風や文化に合うか合わないかという話になりますね。

I:
社内の分煙は研究がスタートしたり、すでに分煙が始まっている部署もあります。

G:
具体的にはどの部署で始まっているんでしょうか?

N:
わかりやすいところだと、食品ですね。もともとは飲料だけをやっていて、食品は外部の会社と一緒になって始まったところなので、いろんな場所に事業所があって、そこのルールがあったりします。

G:
なるほど、差がけっこう出てくるんですね。外から見るとJTは一つにまとまって見えるので意外なんですが、言われてみると納得です。

野村(以下、M):
専売公社から始まって、事業を拡大していった歴史が大きいですね。

G:
いろんな分煙方法が存在しているんですが、JTが推進しているのは空間分煙だけなのですか?

N:
空間分煙は分煙の方法のひとつであり施設によって様々ですね。例えば施設を一から作る場合は空間を物理的に分けて分煙ということもありますが、すでにある喫茶店などの施設だとかなりのコストがかかるので空間分煙という場合もあります。このような状況もあり、一概にJTから空間分煙が理想ですと言うことは難しいので、場所によっては空間分煙がいいだろうし、時間で割ることもできるだろうし、物理的な分煙の場合もあります。いずれにしてもあまりコストのかからない分煙方法の提案希望が多いです。分煙方法としてパーティションにより仕切っているお店を見たことがあると思いますが、煙は壁沿いをはっていくのでパーティションだけでもかなり変わってくるんです。

G:
なるほど。

N:
こういうことは専門で研究しているメーカーやゼネコンの人は一般常識として知っているが、一般の人や事業主さんは知らなかったりするんです。今回サイトリニューアルをしたのは、そういう簡単なことを広めたいということがあります。分煙で検索しても、機器メーカーや健康増進法についてのことしか見つからず、分煙の具体的なやり方はわからなかったりするんです。そこで、お金をそれほどかけなくてもちょっとした工夫でできることもあるし、お金がある人はきっちりお金をかけてやってもいい、という実態に応じた方法を提供したいと考えています。個人的には、煙は分けても人は分けたくないんです。空間を分けると、家族で食事に行ったときにタバコを吸うお父さんと他の家族の席が分かれてしまうことになるけれど、それはいいとは思えないんです。技術が進めば、同じ空間にいても分煙できるなんてことができるかもしれない。ただ、まだ今の技術では無理なので、空間、時間などできる範囲で考えたいですね。実際いろんな実験を行っているところの意見なども聞いて、100%の答えではなくても、何かしらの答えが出せるように活動しています。

G:
先ほどからの話を聞いていると、やはりゼネコンでは分煙の研究は進んでいるように感じるのですが……。

N:
かなり進んでいますね。オフィスのビルを建てるときに各フロアにテナントが入りますが、全面禁煙にしたいとなった時に、タバコを吸う人が来た場合、オフィスでは吸えないので入口でタバコを吸うことになってしまう。そこで、共用部分にちゃんと喫煙場所を作っているとそれがアピールになるんです。マンションでも、共用スペースに子供の遊び場などと一緒に喫煙スペースを作っていたりする。ゼネコンはJTより進んでいる部分があるので、JTとゼネコンが一緒にできることがあればやっています。

◆ルールを守らない人にはどうすればいいのか

G:
分煙が進んでも、ルールを破ってところ構わずタバコを吸う人はいるんですが、JTではそういう人への対処法などありますか?

N:
個人的には、どんな話の中でもルールを守らない人というのは出てくると思います。タバコは世間から取りあげられる立場にありますが、そういうマナーの問題は個人のモラルの問題ですよね。例えば100人いて、95人が守っていて5人がどうしても守ってくれない時にJTのできることは、その5人が4人に、あるいは3人になるように粘り強く説得していくことだけだと思います。100人のうち、98人がきっちりしてくれれば先が見えますよね。

G:
なるほど。

N:
タバコは大人の嗜好品です。なぜ大人にしか許されていないのかということを考えるべきで、大人だからこそ許されたものなんですよね。罰金を取ったりすればその場はマナーを守るかも知れないが、そういう人は見えないところで吸ったりするかもしれない。であれば、粘り強く最善を尽くしていくしかないと思います。昔は駅のホームからタバコの吸殻が一番多く捨ててありましたが、今はホームでは吸えなくなってきているから捨ててあることはほとんど無いです。それに携帯灰皿もあるし、マナー自体は向上しているはずです。時間もお金もかかるが、JTはタバコという製品を売っている以上、楽しんでもらうからにはマナーを守ってくださいということを言い続けるしかないと思います。

G:
難しいところですね。

I:
ルールを守らない人がいるから啓発活動をやめた、ではちゃんとルールを守っている95人が報われないですよね。我々はタバコメーカーとして、タバコを吸う人も吸わない人も仲良くやって欲しいし、吸う人がちゃんと吸える環境を作りたいです。吸う人自身がマナーを守っていくしかないので、ここ数年は「あなたが変わればマナーが変わる」という一歩踏み込んだメッセージを送っています。残り5人の守らない人に何をするかと言われると、守っているところを見せること、守ることで先に何があるかということを見せることしかないと思います。それをタバコを吸う人にメッセージとして送り、吸わない人にも吸う人がどういう行動をしているかというのを知っていただく。タバコを吸うというのは大人が個人の選択で選んだ行為なのですが、日本のタバコのトップメーカーであるJTが何もしないというのは違うと思っています。

G:
かくあるべしというビジョンを見せると言うことか?

I:
JTから「これが喫煙者だ!」と押し付けがましい啓発はやりたくないです。個人のモラルの問題なので、WEBサイト「SMOKERS’ STYLE」やCMなどを通して、スマートにマナーを守って楽しもうよというメッセージを送っていきたいですね。

◆分煙している施設の情報

G:
口コミで分煙している施設の情報を共有しているサイトなどがありますが、JTではそういう施設は把握しているのですか?

N:
JTに運営コンサルタントの部門があって、実際に施設などから喫煙室を作りたいがどうしたらいいか、ニオイが漏れるがどうしたらいいかという相談を無料で聞いています。ですから、施設主や事業主がどういう状況かは把握しているんですが、すべての箇所から相談があるわけではないです。一般の人への情報提供をする場合、施設によっては一般の人も使えるところもありますが、一般の人は使えないオフィスの施設などもあるので、JTの持っている情報を普通に開示することはないと思います。しかし、すばらしい施設なので個別に紹介しても大丈夫というところがあればJTの分煙サイトで写真付きで紹介しています。口コミサイトの存在は把握していますが、例えば灰皿が設置されているという情報を出したときに、そこに人がわっと集まって設置者に迷惑がかかるとなるとJTとしても困るんです。

G:
ということは、口コミの集積サイトみたいなのを作る予定は今のところはないわけですね。

M:
前述の事情もありますし、個人商店の軒先などにあるような灰皿が常に使われてしまう事も困ります。昔設置したような古い灰皿まで紹介してしまうと、灰皿が一個あるだけで喫煙所となってしまうのもどうかと思います。クオリティの高い情報を提供したいので、出せる情報と出せない情報がありますね。

G:
出せるクオリティに達しているかというのは難しいところですね、確かに。

N:
一般の店舗の軒先にあるような灰皿だと、タバコを吸う人の目線だと喫煙所に見えますが、店の人からすればここでタバコの火を消してくれと言うことでもある。そういうのは設置者の考え次第になってしまうので、JTとして全部を把握することは正直難しいと思います。

◆今後世界が禁煙の方向に向かったときにJTはどうするか

G:
全世界的な傾向として分煙から禁煙になっていくのは明確です。JTの収益構造は100%タバコというわけではないわけですが、今後JTはタバコの会社ではなくなる可能性があります。今後、禁煙の動きが強まったとき、JTはその他の事業の方向に注力するのでしょうか、それともタバコ事業を継続していくのでしょうか?

I:
タバコ事業をやめるということはないですね。日本にはまだ3000万人の愛煙家がいるので、JTとしてはタバコを吸わない人にもタバコの存在を認めてもらいながら、愛煙家の人々にタバコを楽しんで欲しいです。だから、国内でのタバコ事業をとりやめるということはないですね。JTは国内タバコ事業だけをやっているわけではなくて、海外でもタバコ事業をやっており、お茶やパン、医薬品の研究開発などもやっています。タバコ、医薬、食品をJTの三本の柱として、持続的な成長をしていくような事業運営を行っていくという方針に変わりはないです。国内でタバコを取り巻く環境が厳しいのは事実ですが、それでやめるということはありません。それがJTとしての首尾一貫した方針ですね。

◆タバコ以外の事業について

JTの扱っている冷凍食品。


飲料。


G:
JTでは食品なども扱っているわけですが、どうして食品などの事業を始めたのですか?

I:
もともとタバコと塩だけを扱っていた専売公社だったので、始めてそれ以外の商材に手を出すとなった時に何をやったらいいのかと考えました。そこで経営として考えるのは、潤沢なキャッシュがあり、タバコという農作物を扱ってきたという強みがありますよね。

G:
ああ、言われてみれば確かにタバコは農作物ですね、普段はあまり意識しませんが。

I:
タバコという産業は生産、製造、販売と全てあるので、研究とか強いからバイオをやってみようとか、飲料をやってみようとかいろんなことをやったんです。代表的なものとして、アグリ事業では肥料やアマリリスの栽培セットの製造販売、食品事業ではファーストフード事業でバーガーキングの運営、不動産事業ではスポーツクラブの運営等を行っていました。その中で、タバコという本業を生かしながら「選択と集中」を行った結果、食品と医薬だったんです。

G:
いつごろからそういうタバコ以外のことをやろうと考えたのですか?

I:
1985年の会社化以降、関連事業を考える部署があって、JTの持っている資産を活かしてできることをやっていました。その結果として残ったのが今のタバコ、食品、医薬の三本柱ですね。

G:
とりあえず事業を始めてみて、利益が出るかどうかやってみるというスタイルになるわけですね、意外です。

I:
もともと硬そうなイメージがありますけれど、とりあえずやってみようという姿勢はありますね。

N:
やはりJTはタバコのメーカーなので、以前はタバコを吸う人にどういうメッセージを出すかというのが中心にあったのですが、吸わない人が7割もいる以上、吸わない人から後ろ指さされることなく吸える環境を作ることが一番の顧客満足かもしれないと思ったんです。そこで、うちの部署ではとりあえずやってみようということで、常に答えを探すべく試行錯誤しながらやっています。

G:
なるほど、かなり挑戦的な側面も持ち合わせているわけですね。

N:
例えば、分煙のサイトを作った、携帯灰皿のサイトを作ったというだけでユーザーに情報が届かないと自己満足に終わってしまいます。情報をユーザーに届けて、そのユーザーの声を受けてというのが社会のキャッチボールになるんだと思います。たまたま会社で扱っているタバコという製品がいろいろ言われていますが、我々はタバコが好きなのでこの世の中から無くなって欲しくありません。そのため、JTとして何ができるかということを常に考えています。

I:
タバコが確かに売上の9割程度を占めていますが、食品事業でも総売上2000億円を超えるんです。

G:
よく本屋さんとかで売っている各業界の1位とか2位とかを図示した業界地図を見ても、JTはかなり大きく、他の業界の会社と比べても、一つの部門が一般の上場企業ほどの規模になってますね。さすがJTです。

◆JTの社風など

G:
そういえば、海外でもJTのタバコは売っているんですが、あまり知られていないですよね。

I:
全世界で売れているタバコのベスト5にマイルドセブンやキャメル、ウィンストンといったJTの商品が3つ入ってるんですよ。

G:
JTのタバコって世界で見てもかなり安い方のようなのですが。

I:
値段付けはそれぞれの国によっての税率の差があったりするので一概には言えません。

G:
海外だとフィリップ・モリスなんかは幹部クラスの社員のほとんどがタバコを吸わないことにしていたらしいんですが、JTでは吸う人が多いんですね。

N:
かなり吸う人が多いですよ。

I:
他の会社などと比較すれば吸わない人のほうが珍しいくらい喫煙者が多いかもしれませんね。

M:
タバコを好きじゃないとやっていけないというのがあります。タバコ嫌いの人がマナーのためのサイトを作るというのはちょっと難しいですし。

G:
JTのイメージとして、JTの社員がタバコを吸っているようなイメージというのはなかったので意外です。タバコ好きな人がいっぱい社内にいるというのはかなり納得ですね。

N:
JTはどんくさいけれどマジメな会社ですね。たとえば飲料事業で、缶飲料はどんな材料を使っていても一度は煮沸しないといけないので、普通は目隠しして飲んでもわからないものなんです。ところが、JTではかなり品質の良いものを素材に使っているのでわかるんです。

I:
フワフワした仕事はなくて、なんでもマジメに考えるんです。でも、リーガルチェックや細かい計算などをマジメにやっているかと思うと、マジメに面白いことを考えていたりしますね。

N:
堅いリーガルチェックばかりやっているところはそのスタンスでお客さんの利益になるように考える。我々のように面白いことを考えてばかりいるところは、それで本当にお客さんが喜ぶのか考える。社風としか言いようがないですね。

◆JTについて

G:
全部ひっくるめてのJTの社員数はどれぐらいですか?

N:
単体だとおよそ1万人。連結だとおよそ3万人ですね。

G:
一日の平均的なスケジュールはどんな感じでしょうか?

N:
私は8時すぎに会社に来ます。早く来ると周りが静かで、電話も少ないんですよね。それからメールチェックが50件ぐらいで、午前中はメールチェックとその返信、あとは電話ですね。昼食のあとは部署が中心となってJTビル周辺の清掃活動を周りの企業さんなんかと一緒に30分ぐらい行っています。午後は打ち合わせで外に出ていることが多く、夕方ぐらいに終わりです。あとは事務処理などがあって、19時か20時には帰ります。時期的に忙しいときは遅くなりますが、帰るときにはちゃんと帰りますね。

M:
私の場合は9時ごろ出勤してメールチェック、うちで製作したもののチェックをして午前が終わって、昼食です。午後はサーバ管理をしたり、スクリプトを書いたりメンテナンスをやったり、新しい企画を考えたり打ち合わせがあったりして、早ければ18時半ごろ、遅いと22時ぐらいに帰ります。

I:
私は8時40分ぐらいに会社に来て新聞を読み、各種メディアをチェックします。9時半ぐらいからは取材があるなら取材の準備、ない場合は以前に受けた取材の原稿を見たり打ち合わせをして、昼食です。午後も取材を受けたり、記者クラブでリリースを出したり、帰ってきて別の取材準備などをします。早いと18時か19時には帰りますが、日によっては記者と懇談したりします。

G:
昼食はどうしているのですか?

I:
だいたいみんな12時に昼食をとります。

N:
あと30分早くすれば空いているんですけどね。この本社ビルの人はほとんど社員食堂です。

G:
種類が多いとか理由があるんですか?

M:
外に出るのがめんどくさいんですよ(苦笑)

N:
このへんはオフィス街なので、お昼時には混むんですよ。社員食堂のほうが値段が安いですし……。

I:
このビルの人間はほんとうにそうですね。他の事務所などの施設ではそれぞれに行きつけの店があって、代々受け継がれていると思います。

M:
社員食堂は景色もいいですしね。

G:
JTで働く上での自慢などはありますか?

M:
やっぱり、タバコを吸う人間にとっては居心地が良いですね。

I:
JTはバレーボールのチームを持っているので、マーベラスやサンダーズなどのバレーボール選手に会えることがあります。

N:
シーズンのあと、各部署をまわって報告してくれたりします。

M:
選手たちは普段は西宮にいるんですけどね。

G:
イベントなどはありますか?

I:
創立記念日が休みなので、各自でいろいろやってます。

G:
このビルの屋上にヘリポートがあるらしいのですが、いつ使うんでしょうか?

I:
何かあった際に社長を全力で逃がすためとかではないですし、お得意様にタバコを直送するためではないです(笑)。もちろん過去に使用したことはないので、災害時などの非常用です。

G:
JTで働いていて遭遇した伝説のエピソードやすごい事件などはありますか?

M:
ラジオの収録で、坂本龍一さんに会ったときは内臓に汗をかくほど緊張しましたね。

N:
とあるタンカー系の会社の人がふらりとやってきて、法律改正で船の上で火花が散るものが使えなくなるから、火花が散らないようなライターはないかと相談されたことがありますね。結局はマッチにすることになりましたけど。あとは、JTビル周辺を掃除していたらなぜかタイヤが落ちていたり。

G:
かなり色々ありますね。JTのサーバはどうなっているんですか?

M:
OSから使用機種や構成、全部企業秘密ですが、ごく普通のことをやっています。

G:
JTに勤めているとタバコを安く買える、あるいはタダでもらえるということはあるんでしょうか?

I:
JTだからといって、安かったりすることはないですね。

N:
社内販売なんかもないです。タバコはいっぱい吸いますが、全部自腹で購入しています。

◆今後の方針

G:
JTの今後の方針はどのような感じでしょうか。

N:
さきほどの話の通り、タバコ、医薬、食品を三本の柱に、タバコを吸う人はもちろん、タバコを吸わない人もお客さんだと言うことで、おたがい折り合える社会を目指していきたいですね。

G:
なるほど、本日はどうもありがとうございました。

in インタビュー, Posted by logc_nt