「Windows Vista Home Basic」はVistaではないとして、ついに訴訟へ

「Windows Vista Capable PC ロゴ」というのがVista登場前の商戦時にいろいろなパソコンに貼られていたのを覚えているでしょうか？このWindows Vista Capable PCというのは、中にはXPがインストールされているが、問題なくVistaが動きますよ、ということを証明するロゴです。つまり、買い控えを防ぐために作られたモノだったわけです。しかし当然ながらこのロゴが貼られているからといってVistaの全機能がフルに使えるわけではなかったため、さらに「Windows Vista Premium Ready PC」というものが登場。こちらはちゃんとVistaのウリであるAero機能などが使用できるようになっています。

で、今回問題になったのはまさにこの差異の部分。つまり、「Windows Vista Capable」と書いてあるのに、Vistaの機能がフルに使えず、しかもマイクロソフトが「Vistaとはこういうものですよ～」と宣伝しているのは「Windows Vista Premium Ready」の方であるため、これは詐欺ではないか？ということで今回の裁判に至ったわけです。

詳細は以下の通り。
既にあちこちのニュースサイトで報じられています。というのも、Vista関連裁判というのはこれが事実上初であるため。

Windows Vista marketing 'deceived' consumers | Channel Register

Microsoft sued over Windows Vista marketing

Microsoft Sued Over 'Windows Vista Ready' Sales Campaign - Windows Technology News by InformationWeek

T3chnology.Blogspot.com: Microsoft sued over Windows Vista marketing

Microsoft Sued Over Vista Advertising at Feed The Geeks - Technology News and Reviews

訴状によると、マイクロソフトはWindows Vistaの主要機能が動かないパソコンであっても、「Windows Vista Capable」と表示してパソコンメーカーを優遇したため、消費者はだまされてしまった、というもの。

実際のところ、Windows Vista Capable PCは「Windows Vista Home Basic」が動くというのが条件になっています。その条件は以下の通り。

最新のプロセッサ (800 MHz 以上)
512 MB のシステム メモリ
DirectX 9 対応のグラフィック プロセッサ

Windows Vista Premium Ready PCはAero機能がすべて動くと言うことになっており、以下が最小構成となっています。

1GHｚ 32ビット(x86)または64ビット(x64)のプロセッサ
1GBのシステムメモリ
WDDMドライバ対応のDirectX 9グラフィックのサポート、128MBのグラフィックメモリ(最小)、ピクセル シェーダ 2.0、1ピクセルあたり32ビットの表示色
40GBのハードディスク容量と15GBの空き容量
DVD-ROM ドライブ
オーディオ出力機能
インターネットアクセス機能

原告側によると、マイクロソフトは今まで様々なキャンペーンなどでVistaをデモとして動かす際にはAero機能が動いているモノばかりであり、このことからもAero機能が動作しない「Windows Vista Home Basic」は「Vistaではない」と主張しています。

さらに、発売当日にビル・ゲイツ会長がテレビ番組に出演して「XPからVistaには100ドル未満でアップグレードできる」と発言したのも、同様の理由から「真のVista」へのアップグレードではないため、人をだますようなマーケティングにビル・ゲイツ会長も協力しているとして非難しています。

つまり、マイクロソフト側は「Windows Vista Home Basic」がVistaのフル機能を利用することができない、アップグレード対象としてふさわしくないことをわかっていながら消費者を不公平なマーケティング活動によってだましたとしています。

これに対してマイクロソフト側は、それぞれのバージョンの差異を明らかにする努力をしているのにそれを見落としているだけだとして、抗戦の構えを見せています。