コラム

Wikipediaが財政危機でも広告を掲載しない理由


Wikipediaがこのままでは財政危機に陥り、閉鎖するかもしれないということで先週はネットのあちこちで話題になり、その際に一番多かったと思われる反応が「遅かれ早かれ広告を載せるしかないだろう」というもの。しかし現状では広告が掲載される予定は皆無。今まで通り、寄付に頼ることになっています。

広告が載っていない理由は中立性を保つためとかいろいろありますが、その根本的な最初の理由は極めて単純。Wikipediaの創設者が広告掲載に反対しているためです。そのため、現在に至るまで設立当初のこの考えが反映されているというわけです。

詳細は以下の通り。
Slashdot | War of Words Over Wikipedia Ads Continues

Wikipedia's Wales: Damn the advertising, full speed ahead!

個人的にWikipediaに広告が載るのは嫌いだということで反対しているのはジミー・ウェールズ氏。ウィキメディア財団の名誉理事長で、同財団が運営する百科事典プロジェクト「ウィキペディア」の創始者でありかつ、プロジェクトリーダーでもあるそうで。彼のブログは以下に。

Jimmy Wales
http://blog.jimmywales.com/

ただし、彼が反対しているのはWikipediaに広告を掲載することであって、金儲け自体に反対しているわけではない、と過去のブログに自分で書いています。その記事は以下に。

Jimmy Wales >> Blog Archive >> Advertising and Wikipedia

広告自体が悪いわけではないが、それはWikipediaにとってはよいこととは言えない、と。そして、世界中のうちの誰かがきっと、Wikipediaのようなフリーカルチャーを維持するために、単純に広告を掲載するよりももっとクリエイティブでよい方法を思いついてくれるであろう事を期待するとしています。

また、過去のSlashdotによる質問に対する回答でも明確に広告掲載に関しては拒否の姿勢を示しています。

JimmyWales - すらっしゅどっと翻訳部 12) 金銭問題 - by Achoi77)

広告についての質問はときどき議論に上るけれども、あまり「私達は生き残る為に広告を受け入れる必要があるのか」という話にはならない。この答えは明確に "no" だ。

この中で、もしも広告を掲載することに決めた場合は莫大な収入が見込まれるため、その収益においてWikipediaの維持以外に余った場合には、それらを発展途上国の書籍やメディアセンターに資金供与するために使うかもしれないとしています。

それから、こちらの記事によると、ジミー・ウェールズ氏は2007年3月に日本を訪問する予定だそうです。

その後かれは「3月に東京へ行く」と言いだした。なぜなら、彼いわく「日本語版の wikipedia は現在 英語、独語、仏語に続いて 第4位の大きさだが、この中で何が起こっているか我々はまったく知らない」からというのだ。そこで講演が終わってから彼のところへ行って、「日本語版の文化を理解するのはたぶんとっってもタイヘンですよ」と言っておいた。だいたいオレだって連中のやってることはよくわからんのである。そのあとひとしきり「日本語版の問題点」と新山が思っているものを彼に話した (でも、こういう時間がおしてる所で要点をサっと英語で伝えるのは苦労するなあ、まだまだ修行が足りんよ)。 wikipedia 日本語版は、日本の社会と同じように、根回しと暗黙の了解、コソコソやるのはいいことだ、そして「空気嫁」の世界である。たぶんオープンな議論に慣れた人間からみると、日本人の「議論 == ケンカ腰」っていう感覚はひどく perplexing だと思う。

なお、Wikipediaと広告については、過去にこのような議論がありました。Wikipediaを検索エンジンに対するSEOとして利用するという記事が元になって巻き起こった議論です。

スラッシュドット ジャパン | Wikipedia は広告の為の場所ではありません

最後に、Wikipediaにはこう書いてあります。

Wikipedia:ウィキペディアは何でないか - Wikipedia

ウィキペディアはいかなる広告宣伝活動も受け入れておりません。百科事典の項目として適切であるものだけを受け入れております。

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in コラム, Posted by darkhorse