南極海に400時間潜ったダイバーが撮影した幻想的な水中写真
ジョージア州アトランタ出身のNorbert Wu氏は12年間、のべ400時間以上にわたり南極海に潜り、美麗な水中写真の数々を撮影してきました。人間の手が届かない極寒の海の底では、時として「人為的に演出されているのでは?」と思ってしまうほど幻想的な光景が繰り広げられています。
詳細は以下から。Extreme diver Norbert Wu's journey into the Antarctic underworld - Telegraph
日傘を差した貴婦人のようにも見えるこの生き物は、鉢虫綱旗口クラゲ目に属するCyaneidae Desmonemaというクラゲです。
ダイバーを威嚇するウェッデルアザラシのオス。
Odontaster validusというヒトデ(赤)がAcodontaster hodgsoniというヒトデ(肌色)を攻撃し、捕食する様子。
ウェッデルアザラシの子どもの死体を食べるヒトデ(Odontaster validus)。
猛スピードで泳ぐコウテイペンギンの群れ。撮影には寒さ以外にも危険が伴うようです。
氷の縁に立つコウテイペンギン。
水中を流れ落ちる滝のように見えるのは、氷河から滴り落ちた真水が氷点下の海水に触れ凍結したもの。
海底の花畑のように見えるのは火山性のスロープに生息するIsotealia antarcticaというイソギンチャク。
上述のIsotealia antarcticaとUrticina antarcticaという2種のイソギンチャクが、クラゲを補食する様子。
Norbert Wu氏はジョージア州アトランタ出身の48歳。1997年以来7度に渡りマクマード基地やPalmer(南極半島南部)にあるアメリカの南極観測基地を訪れ、写真を撮影してきました。一度の南極訪問につき12週間・週6日海へ潜り、これまでに合計千回以上のダイブでのべ17日間を氷点下の海中で過ごしているそうです。
「マクマード基地付近の海温はマイナス1.8℃で、世界で最も冷たい海の一つですが、潜る価値がある光景が見られます」とWu氏は語っています。「どれほど寒さを感じるかは、非常に心理的な問題です」
これは海中ではありませんが、ガイドと命綱が必要な危険なクレバス「アイマックスクレバス」で。アイマックスの撮影隊がここで撮影したため、こう呼ばれるようになりました。
海氷の割れ目の下を泳ぐダイバー。島の近くの圧力の集中する場所では、潮流の変化により海面の氷が割れます。
上から見るとこんな感じ。
マクマード基地のダイブホールから海へ潜るダイバー。海温は氷点下、わずか90分で凍死してしまうほどの過酷な環境です。Wu氏は南極海の写真を撮るようになった経緯を、「スキューバダイバーの多くは、海中で目にした光景を趣味として記録に残すため、水中写真に興味を持ちます。そこからは自然な流れでした」と語っています。
研究者はこのようなチューブに入り、海中の観察をすることも。Wu氏は来年再び南極を訪れ、付近の海洋生物を記録する次のプロジェクトを完成させる予定とのことです。
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